夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『白鍵と黒鍵の間に』

2023年10月17日 | 映画(は行)
『白鍵と黒鍵の間に』
監督:冨永昌敬
出演:池松壮亮,仲里依紗,森田剛,クリスタル・ケイ,松丸契,川瀬陽太,
   杉山ひこひこ,中山来未,佐野史郎,洞口依子,松尾貴史,高橋和也他
 
シネ・リーブル梅田ではずいぶん前から予告編がかかっていて、クリスタル・ケイの歌を覚えるほど聴きました。
ここでは東京テアトルグループが開発したという“odessa(オデッサ)上映”を売りにしています。
オデッサは「劇場ごとに最適化されたサウンドシステムに、劇場独自の映画体験が付加される」ということですが、
なんのこっちゃわかりませんね。とにかく、音にこだわったという意味なのでしょう。
 
ちなみに「オデッサ」という名前は、『戦艦ポチョムキン』(1925)に登場するウクライナの港湾都市オデッサから。
オデッサにある巨大な階段は「ポチョムキンの階段」と呼ばれています。
この階段シーンが映画史に大きな影響を及ぼしたことにちなんで、東京テアトルはオデッサと命名したらしい。
 
と、書いてはみたけれど、私が鑑賞したのは109シネマズ大阪エキスポシティです。
上映開始2分前になっても私以外に来場者は無し。今年6度目の“おひとりさま”
あれだけ宣伝していたシネ・リーブル梅田ではもっと客が入っているのでしょうか。
なんだって他に客がいないのに、私はエグゼクティブシートの端っこに座っているのか(笑)。
移動してもいいかなと思いましたが、動くのも面倒になってそのまま端席で。
 
原作は現役のジャズミュージシャン、南博の回想録『白鍵と黒鍵の間に ジャズピアニスト・エレジー 銀座編』。
普通にジャズの話だと思っていたら摩訶不思議な世界。原作未読なのでなんとも言えず。
こうなったのは冨永監督だからですか。それとも原作からしてこんな感じ?
 
舞台は昭和も終わりかけの夜の銀座
クラシックピアノを学んでいた博(池松壮亮)は、本当はジャズピアノをやりたい。
師事していた宅見(佐野史郎)から「硬い。キャバレーへ行け」と言われ、本当に場末のキャバレーへ。
 
仮面をつけてピアノを弾いていた博に、ふらりと現れた謎の男(森田剛)がある曲をリクエスト。
ところがその曲『ゴッドファーザー 愛のテーマ』は銀座では弾いてはならない曲として有名。
というのも、それをリクエストできるのはただひとり、界隈を牛耳る会長・熊野(松尾貴史)のみ。
しかも演奏を許されているのも会長のお気に入りのピアニスト・南(池松壮亮の一人二役)だけで……。
 
もう最初から摩訶不思議なんです。
こういうタイプの作品だと最初からわかっていれば戸惑わなかったのですが、
若かりし頃の博と人気ピアニストになってからの南どちらも池松くんが演じているとは。
いや、ま、南と博はもともと同一人物ですから、ひとりで演じるのが妥当なわけだけど。
 
博の横を南が通り過ぎて、会長がやってくるクラブへと向かう。
過去と現在を同時に見せられているというのか、どっちも現在でそこに昔の僕と今の僕が居合わせているというのか。
南と博を別人に見立てる構成は面白いけれど、とてもついて行きづらい。
特に終盤はぐだぐだで、もっと音楽を聴きたかった身としては、なんじゃこりゃになってしまいました。
川瀬陽太とか高橋和也とか、芸達者な人たちが揃っているから余計にぐだぐだ感がツライ。
 
余談ですが、予告編を観たときには南のマネージャー役なのかと思っていた仲里依紗は、
博の先輩でもあり、南と同じ銀座のピアノ弾きでもあるのですね。
そして南の母親役で登場する洞口依子の太りようには目が点になってしまいました。
その昔はモデルでトレンディドラマにも出演していたはずなのに。時の流れは残酷。(--;

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『旅するローマ教皇』 | トップ | 『オクス駅お化け』 »

映画(は行)」カテゴリの最新記事