夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『オフィシャル・シークレット』

2020年09月27日 | 映画(あ行)
『オフィシャル・シークレット』(原題:Official Secrets)
監督:ギャヴィン・フッド
出演:キーラ・ナイトレイ,マット・スミス,マシュー・グード,リス・エヴァンス,
   アダム・バクリ,インディラ・ヴァルマ,レイフ・ファインズ他
 
TOHOシネマズなんばにて4本ハシゴの2本目。
 
スパイ容疑で逮捕された人の話って多いですねぇ。
この1週間ほど前にも『ジョーンの秘密』を観たばかり。
だからさして珍しいネタとも思えないのですが、
どれもこれも実話に基づいているというのが凄いとこ。
本作も英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)の実在の女性職員の話です。
 
GCHQの職員キャサリン・ガンの職務は、各国政府の通信を傍受して、
国家に危機を脅かすようなやりとりがあればそれを報告すること。
 
ある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から送られてきたメールを見て驚く。
それは、是が非でもイラク戦争を始めたい米国政府が、
戦争を正当化するために必要な違法工作を英国政府に指示するものだった。
 
こんな馬鹿なことが許されてよいわけがない。
キャサリンは友人の反戦運動家にメールのコピーを渡し、
マスコミにリークしてほしい旨を伝える。
 
メールが持ち込まれた先はオブザーバー紙。
一面で大きく報じられ、世紀のスクープとなる。
 
しかし英国政府は事実を認めようとせず、GCHQ内では犯人探しが始まる。
同僚がひとりひとり呼び出され、執拗な尋問に遭う様子に心を痛め、
ついにキャサリンは名乗り出るのだが……。
 
キャサリンを演じるのはプロデュースも務めたキーラ・ナイトレイ
裏工作を強要するかのようなメールに腹を立ててリークを決意しますが、
こんなことをしてバレないはずもなく、
マスコミに出るのを待つ間に気持ちが揺らぎはじめます。
一旦はメールを渡した友人に撤回を言うも、そりゃ友人は了承しません。
さしたる覚悟もなく、エライことをしてしまった心の裡がよく表れていて、キーラ上手い。
 
腹を括って名乗り出てからの彼女がまたいい。
政府に仕える身でありながら政府を裏切ったんですよねと言われると、
自分が仕えているのは政府ではなく国民だ、
政府が正しい情報を国民に伝え、国民を危険にさらさないようにするのが自分の役目だと。
自分は国民を裏切ってなどいないという毅然とした態度。そのとおりです。
 
政府のやり方は卑劣。
キャサリンの夫がクルド系トルコ人であることから、無理やりフセインと結びつけ、
ちゃんと正規の方法に則って英国に住んでいるにもかかわらず、
いきなり強制送還しようとするのですから。
キャサリンの夫を強制送還しようとする政府に、
「そんなことしたら国民はいじめだと思うよ」と弁護士が言うと、
強制送還を止めることにするって、やっぱりいじめと認めているじゃあないか。
 
政府から起訴された彼女を全力で守ろうとするのは、
レイフ・ファインズ演じる弁護士ベン・エマーソン。
レイフは以前より少しふっくらしていて、最初誰だかわかりませんでした。
一瞬エディ・マーサンかと思った。エディよりは整った顔か(笑)。
 
最後は法廷での応酬かと思ったら。え、そういう結末!?
ほんと、政府は情けない。
 
見応えあります。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ソワレ』 | トップ | 『青くて痛くて脆い』 »

映画(あ行)」カテゴリの最新記事