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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ルー、パリで生まれた猫』

2023年10月08日 | 映画(ら行)
『ルー、パリで生まれた猫』(原題:Mon Chat et Moi, la Grande Aventure de Rrou)
監督:ギヨーム・メダチェフスキ
出演:キャプシーヌ・サンソン=ファブレス,コリンヌ・マシエロ,リュシー・ロラン,
   ニコラ・カサール・ウンデンストック,ジュリエット・ジル他
 
なんばパークスシネマにて。
どう考えても仕事帰りになんばに着くには無謀な時刻からの上映でしたが、
誕生月の割引クーポンの有効期限が迫っていることだし、
初めのほうは見逃してもいいやと思って行きました。
 
ギヨーム・メダチェフスキ監督ってどちらのご出身なのですかね。
本作はフランス/スイス作品ですが、監督デビュー作は『アイロ 北欧ラップランドの小さなトナカイ』(2019)という、
フランス/フィンランドのドキュメンタリー作品でした。
ウィキペディアで調べても情報はないけれど、監督ご自身のHPはありまして、
「私は野生動物映画のディレクターです」と自己紹介していらっしゃいます。
 
その紹介通り、フィクションでありながらメインは
CGではない本物の猫って、やっぱり可愛さが違う。ちょっと感動を覚えるくらいの愛らしさでした。
 
一応の主人公はパリに暮らす10歳の少女クレム。
私が見逃した数十分の間に、クレムと子猫の出会いがあった模様。
屋根裏で母猫とはぐれた子猫はクレムに拾われてルーと名付けられます。
 
クレムの前では仲良く装っているものの、両親は不仲であることが丸わかり。
罵り合う声に耳を塞ぎたくなっているクレムの心を癒やしてくれるのがルー。
 
離婚を決めた両親はそれをクレムに伏せたまま、思い出づくりに別荘へ。
クレムがもっと幼い頃から訪れていたその別荘は森の中にあり、
隣家に犬と共に暮らしている老女マドレーヌのことがクレムは怖くてたまりません。
まるで魔女のようなのです、マドレーヌは。
 
別荘の屋内に留まっていられないルーは、隙あらば表に出て駆けずり回ります。
最初はたやすく見つけられていたのに、だんだん外出時間が増えてくる。
クレムたちがパリに戻る日、いなくなったルーを探してクレムは森の中に入るのですが……。
 
森の中の別荘といっても、小さな子どもが訪れるような場所ですから、
そんな危険な動物がうろうろしているとは思えません。
しかしそこは「野生動物映画監督」だもの、ありえないぐらい獰猛なやつがうろうろしていて(笑)、
クレムはイノシシに襲われそうになったところ、間一髪でマドレーヌに救われます。
 
結局戻ってこなかったルーをパリで毎日想うクレム。
時折ルーを見かけるマドレーヌが捕まえようとしても無理。どんどん野生化していきます。
最後にルーは雪の中、鉄条網に引っかかって動けなくなっているところを発見され、
パリから駆けつけたクレムとマドレーヌが看護することに。
 
子猫だったルーが大きくなって行く過程が捉えられています。
顔つきは可愛いままではあるものの、簡単には抱き上げられないんじゃないかと思う。
外で生きるのは大変だけど、外で生きるのを選ぶのですね。
 
私はとにかくキジトラ好きなものですから、観ている間じゅうニコニコでした。
だけど、うちの猫が遊んでいたときのことを思い出したりもして、たまに涙。
「金縛りやと思ったら、胸の上にミーニャが乗っとった」と弟が話していたことなども(笑)。
弟とミーニャはいま一緒にいるのかなぁ。

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『ロスト・キング 500年越しの運命』

2023年09月30日 | 映画(ら行)
『ロスト・キング 500年越しの運命』(原題:The Lost King)
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:サリー・ホーキンス,スティーヴ・クーガン,ハリー・ロイド,マーク・アディ
   リー・イングルビー,ジェームズ・フリート,ブルース・ファメイ,アマンダ・アビントン他
 
仕事帰りにシュッと行ける劇場で上映してくれていたらありがたかったけど、
本作を観るにはなんばか西宮まで行くしかありません。遠いなぁ。
でもどうしても観たかったから、意を決してTOHOシネマズ西宮へと向かいました。
 
スティーヴン・フリアーズ監督は、実在の人物を取り上げた物語を撮るのがお得意。
私はかつてジョン・キューザックが好きだったから、『ハイ・フィデリティ』(2000)からの監督ファン。
 
これまた衝撃の実話に基づく。
500年以上もの間みつからなかったリチャード三世の遺骨を普通の主婦が発見したという話。
彼女の夫役のスティーヴ・クーガンがプロデューサーとしても名を連ねています。
 
フィリッパ・ラングレーは夫のジョンと別居中。
持病のあるフィリッパと息子たちのことを気にかけてジョンはしょっちゅう家に寄ってくれるが、
家庭もこんなふうだわ、仕事も上手く行かないわで落ち込むことばかり。
 
ある日、息子たちと共に『リチャード三世』を観劇した彼女は、
本物のリチャード三世がはたしてシェイクスピアが描いたような王だったのか疑問を抱く。
本を読み漁ったフィリッパは、“リチャード三世協会”という組織の存在を知って参加。
それはいわばファンクラブのようなもので、一般的に冷酷非情なイメージのある王について、
本当はそうではないとメンバーたちは確信している。
 
彼らと談義を交わすにつれてリチャード三世に親愛の情を持ちはじめたフィリッパが
王の墓参りをしたいとつぶやくと、それは無理だと皆から言われる。
なぜならば、王の遺骨はいまだ発見されず、埋葬できないから墓がないのだと。
 
なんとしてでもリチャード三世の遺骨をみつけて正当な評価を受けてほしい。
そう考えたフィリッパは、専門家にコンタクトを試みて資金を集めようとするが、
アマチュアの中年女性の言うことに耳を傾けようとする人はほとんどおらず……。
 
フリアーズ監督は実話を基に巧みにファンタジーも織り込む。
本作ではフィリッパの目の前にイケメンのリチャード三世が現れます。
執念と直感で遺骨を発見したと言われるフィリッパ。その直感の部分がこんなふうに表される。
 
腹立たしいのは研究者や大学の面々。
終始フィリッパのことを見下していて、金もろくに差し出さなかったくせに、
本当に遺骨が出てきそうだとなると大きな顔をして手柄を横取り。
世の中こんなもんだなぁと思わずにはいられません。おまえら、恥ずかしくないのかよ。
 
そんななかで、別居中でも良き夫のジョンとわんぱくな息子たちはフィリッパの心強い応援団。
ふだんはクソババァ呼ばわりする息子たちに応援されるとさぞ嬉しかろう。
 
シェイクスピアが書けばいかなる人も悪人になるのか。
容姿が悪けりゃ性格も悪いなんてことは、断じてない。

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『リボルバー・リリー』

2023年08月27日 | 映画(ら行)
『リボルバー・リリー』
監督:行定勲
出演:綾瀬はるか,羽村仁成,長谷川博己, シシド・カフカ,古川琴音,清水尋也,ジェシー,
   佐藤二朗,吹越満,板尾創路,橋爪功,石橋蓮司,阿部サダヲ,野村萬斎,豊川悦司他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
どういう話だか全然知らなくて、TVドラマの劇場版なのかなと思っていました。違うんですね。
長浦京の同名ベストセラー小説を行定勲監督が映画化した作品とのこと。
原作者の名前も私は初めて聞きまして、何も知らずすみません。(--;
 
舞台は1924(大正13)年の東京。
明治期に各国の要人を何十人も暗殺した伝説の殺し屋・小曾根百合(綾瀬はるか)。
今は東京の花街玉の井の銘酒屋で女将として慎ましやかに生きている。
 
ところがある日、郊外にある細見家という屋敷で使用人全員が殺される事件が起きる。
犯人は百合のよく知る筒井国松(石橋蓮司)であるとの報道で、
しかも国松はその事件を起こした直後に自決したというではないか。
国松がそんなことをするわけがないと、現地をひそかに訪れる百合。
と同時に、花街の顧問を務める弁護士・岩見良明(長谷川博己)に細見家の情報収集を依頼する。
 
すると、屋敷の主は投資家の細見欣也という男であり、
国家予算の10分の1にも当たる莫大な陸軍資金を彼が持ち逃げしたために、
陸軍が血眼になって欣也の行方を捜していたことがわかる。
 
現地から命からがら逃げてきた欣也の息子・細見慎太(羽村仁成)と出会った百合は、
欣也が慎太に「玉の井の小曾根百合を訪ねるように」と言われたと聞かされる。
自分とは面識のないはずの欣也がなぜ息子にそんなことを言い残したのか。
 
てな感じの物語でございます。
 
殺し屋だって服装にこだわれ。そう指導されてきた百合の格好を見るだけでも楽しい。
楽しいんですが、それだけの作品という気がします。(^^;
 
豪華キャストで、それぞれは魅力があります。
長谷川博己演じる岩見弁護士はものすごく頼りになるし、
陸軍、海軍それぞれの上官を板尾創路阿部サダヲ
テーラーの職人役の野村萬斎がシブい。わずかな出番しかないのに存在感抜群。
また、銘酒屋のスタッフで百合を強力に援護する奈加にシシド・カフカと、
さすがに「本当は17歳」というのはキツい(笑)琴子役の古川琴音もカッコイイ。
 
なのになぜこんなにもつまんのか。
いろいろと無理がありすぎるんです。
リリーなんて速攻で殺せるでしょうに、これで生き延びるって、ありえない。
そりゃまぁ、主役が簡単に殺されたら話にならないわけだけど、
ムリムリムリムリの連続で。呆気にとられるしかありません。
 
全部架空の話っぽいところ、阿部サダヲ演じる役だけが実在の山本五十六
彼はそれぐらい戦史のなかでキーパーソンだということなのですか。
 
戦いでは何も生まれない。平和な世の中を望み、そこに金を使おうとした欣也。
陸軍と海軍は金を取り合うけれど、海軍にすべてを委ねることにした百合は、
山本五十六にも銃を向け、金の使い道を問います。
納得できる答えがあったから、百合は慎太を山本に預けるのでした。
山本五十六についてはもうちょっと知りたくなる作品です。
 
それにしても結局オイシイとこどりなのは豊川悦司
そして最後に一瞬鈴木亮平が出てきて目を疑いました。得した気分。(^O^)
んー、見どころはそれぐらいか。

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『658kn、陽子の旅』

2023年08月13日 | 映画(ら行)
『658kn、陽子の旅』
監督:熊切和嘉
出演:菊地凛子,竹原ピストル,黒沢あすか,見上愛,浜野謙太,吉澤健,風吹ジュン,オダギリジョー他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『イビルアイ』の次に。
あんなホラー映画がその日観る最後の作品では寝付きが悪くなりますから(笑)。
 
“TSUTAYA CREATORS' PROGRAM”で2019年に脚本部門の審査員特別賞を受賞した室井孝介の脚本を映画化。
“TSUTAYA CREATORS' PROGRAM”には企画部門と監督・脚本部門があるようです。
『マイ・ダディ』(2021)とか『この子は邪悪』(2022)は準グランプリ受賞作とあります。
脚本部門の受賞作で映画化された作品って、ほかにあるのかなぁ。
 
自ら監督するのもいいでしょうが、自分の脚本を一流監督に撮ってもらえるのも嬉しいものでしょうね。
本作は熊切和嘉監督がメガホンを取り、ご自身の劇場映画デビュー作で起用した菊地凛子を主演に迎えています。
彼女の演技を過去にすごく好きだと感じたことはない気がしますが、これはとても好きでした。
 
42歳の独身女性・工藤陽子(菊地凛子)は、20年以上前に青森から上京し、ひとり暮らし。
引きこもりコミュ障でアパートからはほぼ出られずにいたが、
ある日、いとこの茂(竹原ピストル)が陽子の父親(オダギリジョー)の訃報を携えてやってくる。
茂は妻子と共に車で青森に向かうから、陽子にも一緒に乗っていけと言う。
 
なんとか車に乗り込んだ陽子だったが、サービスエリアで置き去りにされるはめに。
茂一家にトラブルが発生したためで、わざとではなかったのだが、
荷物はすべて茂の車に積んだまま、財布には2千円ちょいしか入っておらず、
スマホはたまたま出発前日に壊れて連絡手段がない。
公衆電話から青森の実家に電話するも、話し中だったり、陽子の状況を伝えられなかったり。
 
父親の出棺は明日正午と聞いている。それに間に合うようになんとかせねば。
致し方なく勇気を振り絞ってヒッチハイクを試みた陽子は……。
 
学生の頃、何度かヒッチハイクをしたことはあります。けれどもそれはごくごく近場。
男子2人と私1人でその辺の山の帰りに単に疲れたからと、軽トラなどに乗せてもらったことがありました。
でもこれ、完全にひとりきりだったら、怖くてできなかったと思います。
乗るほうもそうだし、乗せるほうだって怖い。世の中いい人ばかりじゃないですし。
 
コミュ障の陽子は、誰かに声をかけるのもままならない。
トイレの個室にこもって人に声をかける練習をする様子は、姿が見えないから可笑しくも切ない。
意を決して出てくると、そこら中の人に声をかけてみるけれど、
明らかに「おかしな人」の彼女には誰も優しくはしてくれません。
 
そんな中でも「いいよ」と呆気なく言ってくれる人はいる。
でも、お金を貸してほしいという頼みまでは聞いてくれません。
凍えそうになっている陽子を拾ってくれた男は下心丸出しで、それを断れない彼女は悲惨。
心も体もズタボロになっているとき、心底彼女を心配してくれる人。
握手のシーンには胸がジーンとしました。
 
自分の親が今の私の歳だった頃、私は何歳で、親はどうしていたっけと最近よく考えます。

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『リバー、流れないでよ』

2023年08月08日 | 映画(ら行)
『リバー、流れないでよ』
監督:山口淳太
出演:藤谷理子,永野宗典,角田貴志,酒井善史,諏訪雅,石田剛太,中川晴樹,
   土佐和成,鳥越裕貴,早織,久保史緒里,本上まなみ,近藤芳正他
 
梅田のおでん屋さんでひとり呑みした後、性懲りもなくTOHOシネマズ梅田へ。
これ、絶対寝るパターンに決まってるやんと思ったけれど、
呑む前に観る映画がなくて、呑んだ後にレイトショーのみのこれを観るしかなかったのよ。
 
で、予想どおり寝たのですけれど、それでも面白かった1本。
人気劇団ヨーロッパ企画主宰の上田誠が脚本を手がけるタイムループコメディです。
 
京都・貴船が舞台。この季節に公開するのだから、夏の話かと思ったら、まさかの冬。
むしろ涼しげでよいですねぇ。
 
雪のちらつく貴船。料理が美味しい老舗旅館“ふじや”で働く仲居のミコトは、
あるときふと、自分がなぜか2分前と同じ場所にいることに気づく。
 
ミコトだけではなく、他の従業員や宿泊客たちも同様に異変を感じはじめており、
2分経つと時間が巻き戻り、誰もが皆、元いた場所に戻っているという状況。
ただし、2分前の記憶が失われているわけではなく、記憶はしっかり引き継がれている。
 
2分間だけが何度も繰り返され、そのたびに記憶が増えていくことに混乱しつつ、
この状況からなんとか脱却しようと、知恵を出し合って原因究明に臨むのだが……。
 
酔っぱらっているから予告編の時点で居眠り。
まずいなぁ、これと思っていましたが、面白いから客みんなが笑う。
そのおかげで目が覚めて、なんとか話についていけました。
 
タイムループするのはたった2分間だけ。
そしてそのことにその場の全員が気づくというのが可笑しい。
 
記憶はしっかり残っているけれど、どうせ戻るんだから何でもあり。
一度髪を短くしてみたかったんだとハサミでジョキッと切ってみたり、
言ってもどうにも変わらないことを口走ってみたり。
告白したらそれを相手も覚えているのですから、言わないほうがいいこともあるでしょうけれど。
 
終始笑えて、良い雰囲気が劇場に流れる作品であったことは間違いないですが、
ところどころ寝てしまってその笑いに乗り切れない部分もあったため、
もう一度、完全しらふの状態で観たいです。どこかで上映してくれないかなぁ。

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