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『To Leslie トゥ・レスリー』

2023年07月04日 | 映画(た行)
『To Leslie トゥ・レスリー』(原題:To Leslie)
監督:マイケル・モリス
出演:アンドレア・ライズボロー,アンドレ・ロヨ,オーウェン・ティーグ,
   マーク・マロン,アリソン・ジャネイ,スティーヴン・ルート他
 
シネ・リーブル梅田にて。
 
少し前から目にしていた予告編がよかったので、絶対に観に行きたいと思っていました。
インディーズ作品でありながら主演のアンドレア・ライズボローの演技が評判となり、
第95回アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされました。
後にライズボローの友人がアカデミー賞会員を含む友人を招いて試写会をおこなっていたことが発覚。
せっかくのノミネートに味噌を付けてしまいましたが、素晴らしい演技であるのは間違いありません。
 
テキサス州西部の田舎町で暮らしていたシングルマザーのレスリーは、
あるとき地元の宝くじで19万ドルを引き当てる。
テレビ局の取材に、この金で愛する一人息子ジェームズを幸せにすると満面の笑みで答える。
 
それから6年後。金はすべて酒代に消え、モーテル路上を転々としながら極貧生活を送るレスリー。
そのモーテルの支払いもできなくなったせいで、レスリーは息子のジェームズを頼る。
 
早々と母親に見捨てられたジェームズは祖母に育てられたから、母子は疎遠になっていた。
地元を離れて手に職をつけ、堅実に働いているジェームズは、レスリーからの連絡に応じ、
仕事が見つかるまでは居てもかまわない、その代わり、酒は絶対に飲むなと条件を付ける。
 
しかし、アルコールなしでは生きていけないレスリーは、ジェームズの留守中に、
ジェームズばかりかルームメイトの金まで盗み、酒を買いに行く。
もう自分の力では母親をどうすることもできないと感じたジェームズは、
もともとは故郷で家族同然の関係だったナンシーとダッチに連絡、レスリーを引き渡す。
 
ところがそこでもまた酒を飲んで追い出されたレスリー。
路頭に迷う彼女を見かねて声をかけたのは、モーテルの経営を任されているスウィーニー。
レスリーの過去を知るロイヤルが実はオーナーを務めるモーテルで、
ロイヤルは良い顔をしないが、スウィーニーは彼女を雇うことに決めて……。
 
息子のため、自分を拾ってくれた人のために酒を断つと思うじゃないですか。
でもアルコール依存症はそう簡単には治らない。
そんなにすぐに酒を断てるなら、アル中にはなっていないわけで(笑)。
 
同情の余地がないほどレスリーの酔っぱらいぶりは酷い。
金もないのに飲みに行き、自分にはまだ男に奢らせるぐらいの魅力があると思っているのか、
色目を使うところなどは気持ち悪くすらあるうえに痛々しい。
 
そんな彼女がきっぱり酒を断つことにしたきっかけは、わからないけどなんとなくわかる。
決意したときの彼女の目がとてもいい。
そして、ひとりではどうしようもないことがあるのだなと思う。
幸運が訪れていることを気づかないままではもったいない。
スウィーニーが彼女を見放さない理由も中盤以降に明らかになります。
 
ナンシー役のアリソン・ジャネイは相変わらず凄い女優。
本作の彼女を見ると、こんなふうに認めて謝ることの大切さを考えさせられます。
 
第95回アカデミー賞の主演女優賞を受賞したのはミシェル・ヨーでしたが、
このアンドレア・ライズボローの演技のほうが好きだなぁ。
 
よかった。

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