夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2017年9月に読んだ本まとめ

2017年10月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
いやはや楽しいがな、“読書メーター”
いろいろ戸惑っていた使い方にもようやく慣れてきました。
それにしてもレビューを255字以内にまとめるのって難しい。
文字数制限のない“ブクログ”に、時間と体力のあるときにはこれらのロングバージョンをUPしています。

2017年9月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4920ページ
ナイス数:1414ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■あかんべえ (PHP文芸文庫)
上下巻に分かれた新潮版ではなく、1冊のPHP版を選択、690頁也。舞台は江戸、いわく付きの土地と知らずに料理屋を始めた夫婦。その娘で12歳のおりんには、亡者を見るのみでなく彼らと会話する能力が備わっていた。そんな物語ですが、そもそもそこに店を持つまでの経緯も面白く、分厚さが全然苦痛にならず。本を開く手は痛いけど(笑)。おりん、はよ「見える」ことを明かしてしまえ〜と叫びたくなることしばしば、大騒動を含むラスト150頁には涙がにじむ。妬み嫉みの気持ちが消えるならば、亡者になるのも悪くないなんて思ったりもして。
読了日:09月04日 著者:宮部 みゆき
https://bookmeter.com/books/8200146

■鬼の蔵 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
夏の暑さ対策で選んだはずの本。急に朝晩涼しくなるんだもの。読んで心身共に寒くなると困るので、ホラーを読むときの私の常、お酒を飲んで酔っ払った状態で。旧家の跡地に「道の駅」を建てることになるが、敷地内に文化財に指定された土蔵が遺されていることが判明。タヌキ親父の設計士から話を受けた広告代理店勤務の春菜は現地調査に赴く。春菜は美人、因縁物件の「曳き屋」はイケメン、映像化に向きそう。三津田信三ほどは切なさを感じさせてくれないけれど、土の下を思うと胸が痛む。酒が飛ぶことのない程度の怖さ、軽さも頁の薄さも適度です。
読了日:09月06日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/11228076

■眺望絶佳 (角川文庫)
なんとも風変わりなスカイツリーと東京タワーとの往復書簡。その間に挟まれた8つの短編は、それぞれにまったく別の様相を呈し、主人公も老若子ども男女バラバラ。相互に繋がりがあるわけでもなし。すべてを繋ぐのはただ東京の空。スカイツリーと東京タワーが見つめる空の下、人はあたふたしながら生きています。同年代の小川洋子と似た雰囲気を持っていますが、静謐さや円熟味を感じる点で、私は小川さんのほうが好き。中島さんならば『小さいおうち』やユーモアもたっぷりの『平成大家族』のほうが好みです。だけど、なんだか不思議な余韻は残る。
読了日:09月07日 著者:中島 京子
https://bookmeter.com/books/9046079

■シャッター通りに陽が昇る (集英社文庫)
香川県丸亀市をモデルにしたとおぼしき「さぬき亀山市」の町おこしの物語。大手化学製品会社に勤務するアラフォーの英里子は、同じ会社の年下の彼氏をキャピキャピの新人女性に寝取られる。別れを切り出されたまさにそのとき、実家から父親が倒れたとの連絡あり。会社も辞めて破れかぶれで故郷に戻ると、寂れた商店街を活性化させる話になんとなく乗ってしまう。ちょっと張り切りすぎの感がありますが、商店街の面々はそれぞれに味のあるキャラで、意地悪な人もいないから安心。「どんな仕事でも頭を使える」。脳がかゆくなるほど頭を使わなくちゃ。
読了日:09月08日 著者:広谷 鏡子
https://bookmeter.com/books/10041041

■容疑者 (創元推理文庫)
字ぃちっちゃいのよ、創元推理文庫。老眼きてるとツライねんと思いながら読みはじめたら、プロローグから涙。パトロール中に事件に巻き込まれ、相棒女性を亡くしたロス市警の刑事スコット。アフガニスタンで狙撃され、ハンドラー(指導手)を亡くした雌のジャーマンシェパードの軍用犬マギー。心身共に深い傷を負った一人と一匹が出会うとき。事件の犯人を見つけるべく組んで捜査を開始する。ミステリーとしても面白く、警察関係者も個性豊か。猫派の私でもこれだから、犬派の人はきっともっとたまらん。海外ミステリーを読まず嫌いの方にもお薦め。
読了日:09月10日 著者:ロバート・クレイス
https://bookmeter.com/books/8234212

■蛇行する川のほとり (集英社文庫)
大人気の著者だけど、私はすごく好きな作品とかなり苦手な作品と両方あります。これは苦手なほう寄りなのに、面白いんだなぁ。美術部に所属する女子高生・毬子は、憧れの美人先輩・香澄と芳野から少人数の夏合宿に誘われて有頂天。宿泊先は船着き場近くの香澄の家。楽しい合宿のはずが、自分が誘われた理由を考えるうち、毬子は疑心暗鬼に。ところどころ下手なホラーよりビビったシーンやドッキリの台詞も。嫉妬と憎悪うごめく状況がどうも嫌な感じで私は苦手。でも、多感な年頃の心の描写、上手いです。イヤミスかと思いきや、この真相に救われる。
読了日:09月12日 著者:恩田 陸
https://bookmeter.com/books/592088

■ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
文庫化された15年前から読みたかった本なのに、ホラーが苦手で手を出せず。しかし最近になって、テレビから女の人が出てくるようなやつじゃなければ大丈夫なような気がして(笑)、ホラーにもよくチャレンジ。著者が下ネタ炸裂でメディアに頻出中とも知らずに読む。楳図かずおの作品を思わせる表題作のほか、なんとも不気味な短編集。津山三十人殺しを取り上げた『丑三つの村』を読んでいれば、より臨場感が高く。私ってば、ホラー苦手どころか好きみたい(笑)。解説を書くときですら文章がページをまたがない京極夏彦。確かに、優れた怪談です。
読了日:09月14日 著者:岩井 志麻子
https://bookmeter.com/books/559563

■([ん]1-6)3時のおやつ (ポプラ文庫)
特別なおやつについて、作家や俳優や映画監督など30名が各5頁で綴る。「あ」行から「ら」行まで、中にはこじつけもいいとこの(笑)おやつの名前が並ぶ並ぶ。聞いたこともなかったおやつ、読んだことのなかった作家に興味を惹かれます。目当ての森見さんがやはり良かったけれど、どれも楽しい。私の特別なおやつも考えてみる。ゴーフル1袋3枚ともひとりで食べる幸せ。冬はストーブの上に置いた網で酒粕を焼いて砂糖を載せ。父のお土産は喜八洲総本舗の酒饅頭。思えばその頃から私の酒好きへの道は培われていたのかも。ねぇ、お父さんお母さん。
読了日:09月16日 著者:壁井 ユカコ,大崎 梢,平山 夢明,絲山 秋子,森見登 美彦,仁木 英之,ミムラ,伊藤 たかみ,大島 真寿美,椰月 美智子
https://bookmeter.com/books/8315247

■雪の鉄樹 (光文社文庫)
タイトルと表紙から冬の話を想像。冬が来てから読むつもりでちょっと頁を開いてみたら、えっ、夏の話やん。ほならいま読んどこ。そして圧倒された450頁。主人公は庭師の青年・雅雪。祖父と父がしょっちゅう女を連れ込むゆえ、近所では「たらしの家」と蔑まれている。しかしこの家にすでに父の姿はない。雅雪は、両親を失った少年・遼平の面倒をみている。なのに遼平の祖母は雅雪に対して憎悪あらわ。こんな特殊な状況がなぜ生まれ、どこへ向かうのか。重くて辛いけれど、頁を繰る指が止まらない。ラスト50頁はしばしば涙がにじんで困りました。
読了日:09月18日 著者:遠田 潤子
https://bookmeter.com/books/10884314

■(P[い]3-1)ぎぶそん (ポプラ文庫ピュアフル)
片仮名に弱い爺ちゃん。ギターの「ギブソン」と「バンド」をごっちゃにして、孫の友達を「ぎぶそん仲間」と呼ぶ。なぜに平仮名(笑)。中2のガク、リリイ、マロは、ガンズ・アンド・ローゼズの曲を演奏したくて、ギターがスゲェ上手いと噂の不良・かけるをバンドに引き入れる。平成風なのに危篤の昭和天皇が出てきます。天皇が死んで文化祭中止になったらイヤやから献血に行こうという単細胞。そのアホさがたまらなくカワイイ。笑った、キュンとした、元気もらった。「なんやねん」がそんなにも便利な大阪弁だったとは。少年よギターと大志を抱け。
読了日:09月20日 著者:伊藤たかみ
https://bookmeter.com/books/704329

■既読スルーは死をまねく (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
LINEが「サークル」という名称で登場。約340頁で字もそんなに大きくないわりには数時間あれば読める気軽さ。所要時間に比するように、いじめや殺人というダークな内容なのに軽い。教師も含めて性格の悪い人だらけの典型的なイヤミス。印象に残ったのは、いじめに遭っていたとしても(復讐のために)人を殺せるはずがないという発言に対して、それはいじめられたことがない人の言う台詞だというくだり。誰だっていじめられれば相手を殺したいと思うと。この部分はすごく重い。私、スマホはおろかケータイもいまだ所持しておりません。(^^;
読了日:09月22日 著者:堀内 公太郎
https://bookmeter.com/books/9826967

■約束 (創元推理文庫)
『容疑者』の続編ということで同じ面々と思いきや、同著者に“コール&パイク”というシリーズもあるそうな。本作は両シリーズのコンビのいわばコラボ作品。探偵コールは調査中に殺人事件に巻き込まれ、容疑者とされてしまう。刑事スコットは犯人から命を狙われ、事件を解決すべくコールに協力を求めるのだが……。前作はのっけから泣かされたから、無意識のうちに泣きを求めていました。なんだ普通のミステリーやんかと最初は残念だったけど、面白い。主人公グループみんなまとめてファンに。犬のマギー、どうしてこんなにカワイイの。ベタ惚れだ。
読了日:09月25日 著者:ロバート・クレイス
https://bookmeter.com/books/11748379

■祝山 (光文社文庫)
文庫書き下ろしは誰に限らずいつも期待どおりに「そこそこ」。ホラー作家の主人公・鹿角のもとへ、廃墟へ肝試しに行ってきたという旧友・矢口からメールが届く。執筆のネタになるのではと会うことにするのだが……。ホラー苦手の私でも怖くはないけれど、矢口が意味不明のメールを送ってくるところは、『シャイニング』(1980)で同じ文章をタイピングし続けるジャック・ニコルソンや、『真木栗ノ穴』(2007)で判読不能の文字を書き続ける西島秀俊を思い出してちょぴり怖かった。それ以上に怖いのは、突然毒づく鹿角の心の内だったりして。
読了日:09月27日 著者:加門 七海
https://bookmeter.com/books/568414

■真夜中の金魚 (角川文庫)
“侠飯”シリーズが面白く、ほかも読んでみることに。主人公の「おれ」は北九州の歓楽街に勤める25歳。ツケ払いの客に督促したらその客がヤクザ。出てくる男の大半がろくでなし。パチンコ、麻雀、競馬、ドラッグと、専門用語の連発は知らない者にはツライ。しかし闇世界のいろいろ、ついでに亀頭に玉を入れる方法なども書かれていて(笑)、なかなかに目からウロコ。在日の友人とのやりとりにも惹かれます。持つべきものは友達。木下半太を格調高く、適度に下品に、ハードボイルドにした感じ。あ、半太さん、すんません。でも半太さんも大好きよ。
読了日:09月28日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/369332

■USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)
ジリ貧だったUSJを起死回生させたマーケター森岡氏。なにしろマーケターという言葉すら知らなかった私は、利益云々とは対極にありそうな仕事をしているものですから、ビジネスの話に疎いのです。しかしこういった話が常にそうであるように、何もビジネスだけに限った話ではありません。変化を起こさないのは無難。でもときには変化を起こす必要性がある。こだわりを持つのは悪いことではないけれど、こだわるポイントをまちがえていないか。人にあれこれ言う前にまずは自分自身でやってみろ。『夢をかなえるゾウ』と併せて参考にしようかしらん。
読了日:09月30日 著者:森岡 毅
https://bookmeter.com/books/10837736

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