われわれはいま 避難者としてたくさんの物質的支援と精神的支援をいただいております。
人はこの世で
苦難(苦労)を乗り越えた対価として
物質的なるものを享受するものと
精神的なるものを拝受し
満足し 充実感を味わうものとがあります。
両者を受けるに越したことはありませんが
物質的なるものの対価が多ければ多いほどに
精神的なるものの喜びを忘れ
ついに物欲のとりこにおちいり
身を救うどころか
物質的価値観を通して この世を見通し
気付いたころには すでにおそく
見損なったままの眼鏡で
終焉(しゅうえん)を迎えることになり兼ねません。
まして
物質的価値なるものが
次第に両の手から落ちこぼれてしまえば
後は 何も残ろうはずがありません。
ところが 精神的なるものでの対価は
しらずしらずのうちに
身のうちをひとまわりもふたまわりもおおきくさせ
心の土壌(:肚)にまで生かされ 守られていることの喜びで
積み重なり
心を心して鋤(す)き耕し
次から次へと波紋が広がり
その効果は
自らの日々の仕草(しぐさ)や態度
そして 顔の表情に及んで行くことになりましょう。
(佐竹龍心)