RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

家でもバルテュス

2014-05-20 21:30:00 | ミュージアムショップのお菓子たち
お土産です。
いやー、楽しい展示でした。
(記事はこちら→「その1」「その2」)
私好みでした。

ウキウキでミュージアムショップへ!!

紅茶"THÉ BALTHUS "¥1,000-
バルテュス展特製フレーバーティー。
バルテュスが好きだったダージリンとアールグレイをブレンドした紅茶をヒントにしました。
インドを代表するマカイバリ茶園のオーガニックのダージリン紅茶にイタリア・シチリア産ベルガモットで香り付け。
ティーバッグ12個入りです。
パッケージには「猫たちの王」が使われています。

メレンゲ¥1,080-
メレンゲはバルテュスが晩年を過ごしたグラン・シャレのあるロシニエール村周辺の名産物。
このスイス・メレンゲを「ル・ポミエ」のフレデリック・マドレーヌ氏が作りました!!
「ル・ポミエ」懐かしい。
ここのマカロンが一時期大好きで。
東北沢の駅から少し歩くんだよね。。
それでも食べたくて、行っていました。
青りんご、バニラ、フランボワーズの3つのフレーバー。
私はフランボワーズにしました。

これらを食しながら図録を見てもう一度展示を見直そうと思います。



ブログランキングよかったらお願いします

バルテュス展 (その2)

2014-05-19 21:30:00 | 美術
見てきました

東京都美術館

会期は2014年4月19日から2014年6月22日。

"賞賛と誤解だらけの20世紀最後の巨匠"
その1」では第1章と第2章の途中までを書きました。
今日は「その2」
第2章途中から最後まで書いていきます。
(その1はこちら→「バルテュス展(その1)」)

ここで1階へ。
会場の入り口はアトリエの扉の再現となっていました。
そしてロシニエールの全景の写真がありました。
緑の多い、とても小さな街です。

バルテュスは1961年、フランス文化大臣アンドレ・マルローの依頼により、ローマの「アカデミー・ド・フランス」館長を務めます。
1962年にはアンドレ・マルローの依頼によりパリで開催される日本古美術展の準備のため初来日。
ここで上智大学外国語学部フランス語学科に在学中の20歳だった、通訳・出田節子と運命的な出会いをし、1967年に結婚。
その後は1977年にローマの館長職の任務が終了。
スイス、ロシニエールにあるスイス最大の木造建築物グラン・シャレに居を構え、すぐ近くのアトリエに25年間通い続けました。
そして、1983年、ポンピドゥー・センターでの回顧展で遂に国際的な名声を手にしました。

ここでは晩年のアトリエがそっくり再現されています。
机やいすはもちろん、使いかけの絵具や制作途中のイーゼル。
めがねや灰皿などもありました。
鏡は作品を左右逆に写して作品を客観的に見るために使っていたそう。
そして北側には大きな窓。
自然光を好み、気に入った光が入るのを根気よく待ち、ゆっくり制作したバルテュス。
日中の光の変化をなるべく受けないようにと北側の窓にしたんだとか。

ここでは映像の上映もありました。
NHKの番組で作家の江國香織さんがロシニエールのバルテュスを訪ねる番組。
その中で、作品を映す際、スタッフがライトを当てるのですが、それに対し
「ライトがあると絵の色調が台無しになるんだ。早くどけろ。」
とバルテュスの強い怒号が。
自然光でないと自分の作品の色は伝わらない、ということ。
光へのこだわりを感じました。
反面、スタッフは見えやすいようにライトを当てたのでしょう。
ちょっとかわいそうな気もしますが、そのことからも作品に対する気持ちが伝わってきます。

「《ギターのレッスン》のための習作」
バルテュスが当初エロティックな作品を描いたのはわざとで話題性のためでした。
話題にならなければお金は入ってきませんから。
この作品は初個展で展示されたものでカーテンの奥、限られた者だけが鑑賞できたのだそう。
このあたりにはいくつかの素描が展示されています。
バルテュスは素描をとても大事にしていたとのこと。
デッサンすればするほど実物に深く入り込むと考えていたそうです。
スキャンダラスな画家といわれたバルテュスの、ものすごく真面目で真剣な場面が見れてこの辺りは面白かったです。

「部屋」
鏡と暖炉のある部屋で全裸の少女が堂々と立っています。
白い布を気持ち程度にかけていて、赤い靴下、部屋に置かれた椅子の背もたれは緑色。
「その1」で描いた「夢見るテレーズ」にもこの3色は登場しますが、このあともしばしば見られました。

「ジョルジェットの化粧」
「部屋」と同じ少女が鏡の前で髪を直しています。
椅子に左足を立てて。
このようなポーズはやはり多い。
ですが、エロティックさよりも、肌の輝きやその表情が気になります。
バルテュスは最初こそエロティックを意識して描きましたがバルテュスにとって少女は"この上なく完璧な美の象徴"
これはまさに美なのでしょう。
この作品は少女がのぞき込んでいる鏡の裏にバルテュスの署名が入れられています。

「決して来ない時」
謎めいたタイトルですが、原題は「La Semaine des quatre jeudis」
フランス語で直訳すると「木曜日が4日ある週」
フランスの小学校では以前、木曜日がお休みでした。
つまり「休日が4日ある週」
慣用表現で「決してありえない」という意味なのです。
静かで緊張感のある室内の情景。
椅子に座ってのけぞる白いガウンを羽織った少女。
左手を椅子の後ろに伸ばし、背もたれにいる猫を撫でています。
奥には窓を開けようとしている後ろ向きの女性。
こちらにも白いガウン、椅子の背もたれに赤と緑とこの3色が使われています。
ガウンがはだけて胸元が見えてしまっているのですが、こちらもエロティックさよりも少女の表情や窓を開ける女性などから、解放感に似たものを感じました。

「猫と裸婦」
「決して来ない時」に似ています。
のけぞる少女の表情や猫に伸ばす手なども一緒。
窓を開ける少女も一緒。
ただ少女は白いガウンを羽織っていません。
後ろに伸ばした手から足のつま先までうねるようなラインです。
椅子には白い布がかけられ、窓を開ける少女のスカートは緑色。
のけぞる全裸の少女は赤い靴下をはいています。
この3色、バルテュス的に意味があったのでしょうか。
それとも私が気にしすぎなのかな……

「金魚」
机の上にある丸い金魚鉢。
それを眺める子供の顔も真ん丸です。
そして手前の椅子に座っている猫は悪そうな顔をしてこちらを見ています。
表情が人間的。
静かな緊張感が漂っています。

「地中海の猫」
パリ、オデオン広場のレストラン「ラ・メディテラネ」のために描かれた作品。
海の上にあるレストランのテーブルでナイフとフォークを持ち口と足を開いて笑う猫。
水面に虹がかかっていて、その虹が魚に変わり、猫の前のお皿に飛び込んでいきます。
海にはボートに乗っている少女も。
バルテュス、唯一の海景だそう。

「窓、クール・ド・ロアン」
クール・ド・ロアンのアトリエの室内を描いた作品。
開いた窓の先には建物が描かれています。
静かで落ち着いた雰囲気があり、室内に差し込む光もとても穏やか。
こういった作品は好きですね~。

《第3章 シャシー -田舎の日々 (1953-1961)》
1953年、バルテュスはパリを離れ、収集家や画商たちの援助のおかげでブルゴーニュ地方のシャシーの城館に移り住み、絵画のマティエールに関する技法の実験に熱中しました。
初期ルネサンスのフレスコ画のマットな質感、漆喰の効果を追求しました。
この時期は最も多作な時期となります。

「冬の景色」
全体的に暗い色調で描かれた冬の景色。
四隅が暗くロモみたいな感じになっています。
微妙な陰影の中に家や木々が描かれ不思議で美しい景色。
こういった作品もいいな、すごく素敵です。

「樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭)」
シャシーで描いた最後の風景画。
暮らしていたところから見た風景です。
幾何学的な建物と田園がマットな質感で描かれています。
こちらは光あふれる冬の景色。

「横風のコレット」
シャシーで制作した最初の作品。
色彩の明るさが目を惹きます。
モデルは、シャシーの城館の修理にあたった石工の娘コレット。
緑色の服、白いテーブル、椅子の背もたれは赤。
やはりこの3色……

「目覚め(Ⅰ)」
天蓋付きのベッドから降りようと右足を下におろした裸の少女。
顔はあいまいで表情が分かりません。
ただ体のラインははっきり。
目覚め、というタイトルで裸の少女ですから、性的な目覚めのことを指すのでしょう。
扇情的モチーフですが、そこまで感じさせないのは背景やベッドなどの小物が丁寧に描かれているからでしょうか。

「白い部屋着の少女」
描かれているのは椅子に座り両手を前で組んだ上半身裸の少女。
表情はよく読み取れず、まるで彫刻のようです。
胸の下で白い部屋着を結び、胸像を置く台座のようにも見えてきます。

《第4章 ローマとロシニエール (1961-2001)》
バルテュスは1961年、フランス文化大臣アンドレ・マルローの依頼により、ローマの「アカデミー・ド・フランス」館長を務めます。
1962年にはアンドレ・マルローの依頼によりパリで開催される日本古美術展の準備のため初来日。
その際に出会った出田節子と1967年に結婚。
1977年にはローマを去り、スイスのロシニエールに居を構えます。

「読書するカティア」
アカデミー・ド・フランスの館長を務めていたローマ時代を代表する傑作。
背もたれのある椅子に座り、右ひざを立てて本を読む少女。
顔は本で影になっています。
右寄りに描かれ、左には大きな空間。
カゼインとテンペラを塗り重ね、フレスコ画のような質感を表現しています。
落ち着いた色彩です。

「日本の少女の肖像」
バルテュスが来日した際、京都を案内したのは当時20歳の学生だった節子夫人。
心奪われモデルに、と懇願したのだそう。
ですが、バルテュスは遅筆だったため10回モデルをし、完成したのは2つのみ。
遅筆だったというよりも、丁寧に丁寧に対象を見て描いていたという感じが伝わってきます。

「《トルコ風の部屋》のための習作」
節子夫人をモデルにした「トルコ風の部屋」の習作。
ベッドの上で裸体の少女が白い鉢巻をして左手に持った鏡で自分を見つめています。
バルテュス作品でよく出てくる少女と鏡という組み合わせ。
質感は壁画のようです。

「モンテカルヴェッロの風景(Ⅱ)」
アトリエを再現したところで上映されていた映像で紹介されていた作品。
モンテカルヴェッロは、バルテュスが別荘として購入した城館でここから見た風景がお気に入りだったそう。
水の青さや輝きが眩しいくらい、秋の美しい景色です。

「トランプ遊びをする人々」
バルテュスはトランプをテーマに30年間で8作品も描いているのだそう。
この作品の質感はフレスコ画のよう。
テーブルをはさんで向かい合ってトランプ遊びをしている2人が描かれています。
テーブルクロスは市松模様。
2人のうち1人はこちらを向いて変わったポーズ。
これは歌舞伎の見得を切るポーズからとったのだとか。

「朱色の机と日本の女」
バルテュス作品の中でもっとも日本的な作品とのこと。
着物をはだけ、膝をついて姿見を見る少女が描かれています。
頭には先ほどの「《トルコ風の部屋》のための習作」のように白鉢巻。
日本的、というか異国情緒たっぷり、といったところ。
これもフレスコ画風でマティエールの粗い感じがします。

作品についてはここまで。
最後に、バルテュス愛用の品や写真が展示されています。
写真を嫌い、アトリエに人を寄せ付けなかったバルテュス。
節子夫人でさえアトリエに入ったのは晩年だそう。
そのバルテュスをグラン・シャレで撮影し写真集を出版した篠山紀信氏の写真が並んでいます。

節子夫人が着物を着続けたのはバルテュスの希望から。
なぜ日本人はこんなに美しいものを着ないで、他のものを着ているのかと疑問を呈したのだそう。
写真のなかにはバルテュスが紋付き袴を着ているものも。

そして以外な人物との縁が。
それは勝新太郎。
バルテュスは座頭市のファンで、伝手を頼って勝さんとの面会にこぎつけたのだそう。
言葉の通じぬ2人ですが、なぜか打ち解け、勝さんはグラン・シャレもたびたび訪問していたのだとか。
バルテュスが勝さんに贈った品や、バルテュスが勝さんからもらった着物などもありました。
国を超え、文化も超えた交流の不思議さとその友情に温かい気持ちになりました。

生涯にわたり少女たちを描き続けたバルテュス。
注目を浴びるための苦肉の策の少女。
そして"この上なく完璧な美の象徴"
それらは美術館の展示室で輝き、不思議な美しさを放っていました。
不自然で、あられもないポーズで、緊張感に満ちた室内。
誤解を生んだことも分かります。
観る者を挑発するかのような少女像、との言葉も分かります。
ですが、その上に成り立つ"美"というのがバルテュスが追い求めたものであって、今なお魅力的なのです。
バルテュス作品の少女は鏡をよく見ています。
バルテュス自身は作品を鏡に映して作品を客観的に見ていました。
バルテュス、作品の中の少女、それを見る私たち。
鏡は全てにおいて、事実を映し出していました。
ただのスキャンダラスな画家ではない、そこには自分の信じる色や光、美がありました。
とてもとてもいい展示でした。
素晴らしい発見もあり、とても濃い鑑賞時間を過ごせたと思います。
今年の展示の中で、間違いなく上位に来る展示です。



ブログランキングよかったらお願いします

バルテュス展 (その1)

2014-05-18 21:30:00 | 美術
見てきました

東京都美術館

会期は2014年4月19日から2014年6月22日。

"賞賛と誤解だらけの20世紀最後の巨匠"
こんなフレーズが描かれたチラシ。
少女が下着を見せるような挑発的なポーズ。
ただ、私はこれで一気に惹かれてしまったのです。
それが何かはうまく言えないのですが。


こちらのチラシも好き。
鏡を見つめる少女の表情が特に。
この展示も楽しみにしていたので、古いチラシがいっぱいです。
会期がしっかり決まっていなかったり、裏が白だったり。。。

ピカソをして
"20世紀最後の巨匠"
と言わしめたバルテュス。
1941年にはピカソが、バルテュスの「ブランシャール家の子どもたち」購入。
11月にはバルテュスがパリにピカソを訪問しています。
その作品は、ピカソの死後1971年、ルーブル美術館に寄贈され、1985年、ピカソ美術館に預託されました。
見に行かなくては!!

かなりしっかりメモしてきました!!
2回に分けて書いていきます。
展示は第1章から4章まででしたので、第1章と第2章を、、、
と思ったのですが、第2章の作品がかなり多いため、第1章と第2章途中までを「その1」で。
第2章途中から第4章までを「その2」で書いていきます。
今日は「その1」です。

さて、今回はバルテュスという画家の個展です。
2001年に亡くなって以降、最大の回顧展。
まずはバルテュスについて。
バルテュス(1908-2001)
本名バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ。
パリ生まれ。
閏年の2月29日生まれだそう。
ポーランド貴族の血を引くバルテュスの父は美術史家。
母は画家。
兄は小説家・画家でサドやニーチェの研究家としても知られるピエール・クロソフスキー。
ピエール・ボナールなどのモンマルトルの画家との交流があり、幼いころから画家や詩人に囲まれ、芸術は身近なものでした。

バルテュスは美術学校に通うことなく、独自に技術を身に付けます。
初期イタリア・ルネサンスのピエロ・デッラ・フランチェスカ、フランス古典主義のニコラ・プッサン、フランス写実主義のギュスターヴ・クールベ……
ヨーロッパ絵画の伝統に触れながら、百花繚乱の様相を呈した20世紀美術の流派のどれにも属することなく、独特の世界を築き上げていきました。

展示は年代順となっています。

《第1章 初期 (1908-1931)》
パリで生まれ、モンマルトルの画家たちと交流し、芸術的な環境で育った幼少時代。
戦争のために、フランスとパリを行き来していました。
彼の両親は1917年に別居。
母親は詩人のライナー・マリア・リルケと恋愛関係になります。
絵筆を執った幼少期はもっとも重要な時期でのちにバルテュスは
「私は自分の幼少時代と思春期を宝物とし、そこから多くの主題を汲み取りました」
と述べています。
また中国や日本に熱中し、1922年には岡倉天心の「茶の本」を読みます。
1926年イタリアでピエロ・デッラ・フランチェスカという偉大な手本と出会うのです。

「自画像」
鉛筆と木炭で描かれた自画像。
なかなか渋くてかっこいい。
バルテュスの制作中を撮った写真が最初に大きく展示されていたのですが、これがすごくかっこいい。
くわえ煙草で絵筆を握りこちらを見ているもの。
俳優さんかと思うほど。
(maruko的)画家イケメンランキングで一気に上位に躍り出ました。笑

「『ミツ』バルテュスによる40枚の絵、ライナー・マリア・リルケの序文」
バルテュスが11歳の時に描いた絵本。
彼の最初の作品といえるでしょう。
愛猫ミツを描いたもの。
「ミツ」は、フランスの女性作家コレットが1919年に出版したばかりの小説「踊り子ミツ」から取っているそう。
ある日、主人公の少年はレマン湖畔のベンチで1匹の猫を見つけます。
少年は猫を自宅に連れて帰り、可愛がりどんな時も一緒。
クリスマスの夜、一緒のベッドに寝ていましたが、翌朝、猫はいなくなっていました。
色々なところを探し回りますが、とうとう見つかりません。
部屋の中で泣いているところで物語は終わります。
小間割されていてどことなく漫画的。
(現代の漫画ではなく、北斎漫画とか月岡芳年のほうです)
当時、母親の恋人だった詩人リルケがこれを見て感動し、序文をつけて出版させました。
11歳でこれはすごい。
絵も部屋の内部の構図や描写がとても的確。
すっきりと描かれています。
感情表現なども分かりやすくかわいらしい。

バラディーヌ・クロフスカ「バルテュスとミツ」、
描かれているのは黒い猫を抱えた少年。
描いたのはバルテュスの母親。
さらっと描かれたように見えますが、色彩などとても美しい。
淡い黄色の背景に青いボーダーのトップス、紺色のズボンのかわいらしい少年。
オシャレです。

「ミュゾの風景」
緑あふれる景色です。
15歳のときの作品だそう。
これまたお見事としいえないような出来。

「聖木の礼拝(ピエロ・デッラ・フランチェスカ<聖十字架伝>にもとづく)」
「十字架の発見と検証(ピエロ・デッラ・フランチェスカ〈聖十字架伝〉にもとづく)」
「十字架の称揚 エルサレムに十字架を持ち帰るヘラクリウス帝(ピエロ・デッラ・フランチェスカ〈聖十字架伝〉にもとづく)」
バルテュスは18歳の時に画家を志してイタリアへ。
聖フランチェスコ聖堂で、初期ルネサンスの画家ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画《聖十字架伝》に感動します。
そして内陣の壁画連作10点のうち6点を模写。
その作品がこれなのです。
ピエロの構図に興味があったようで、秩序ある幾何学性。
人物の配置や明暗の捉え方。
それらに重点をおいていたのがよくわかります。
それにしてもピエロ・デッラ・フランチェスカってすごいですね。
私の大好きな有本利夫もバルテュスと同じ作品を見て影響を受けています。
そして藝大の卒業制作は「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」
これまで見てきた画家にもルネサンスの画家はもちろん、シャヴァンヌ、アンドリュー・ワイエスなどピエロ作品に感銘を受けた画家は数多く……
ピエロ・デッラ・フランチェスカ展の開催はたぶん不可能でしょう……
いつか見に行かねばなりません。

「オデオン広場」
落ち着いた茶系の色彩で働く人々を描いた作品。
ですが活気があるわけではなく、静かな印象。

「空中ごまで遊ぶ少女」
長い間行方不明で再発見されたのは2008年。
日本初公開の作品となります。
パリのリュクサンブール公園を描いた連作の1つです。
両手を広げ、空中ごまを高く飛ばした瞬間が描かれています。
少女は頭をのけぞらせ、まさにその一瞬をうまく切り取った作品。
色彩や構図も含め、この作品は大好きです。

「ベルンの帽子のある静物」
画面左から光があたり、影が伸びています。
色彩は茶系で地味な印象ですが、構図が面白い。
本に帽子、椀のようなものに取っ手の付いた椀、赤い布。
様々なものが組み合わされています。
バルテュスの静物は極めて少ないそうでこれも最初の静物画だとか。

「リュクサンブール公園の夕立」
こちらもリュクサンブール公園連作の一つ。
噴水が流されていたり、両手で傘を持つ人が描かれていて風の強い様子が分かります。
こちらも地味な色彩ですが、モチーフの配置がおもしろい。

「リュクサンブール公園」
これもリュクサンブール公園。
左端には大道芸の練習をしている人が描かれています。
空はオレンジ色に染まっています。
静かな印象です。

《第2章 バルテュスの神秘 (1932-1953)》
バルテュスは「嵐が丘」の挿絵などを手がけました。
そこには来るべき美術的プログラムが内包されています。
そして1930年代以降、扇情的な少女と部屋、そして猫が頻繁に取り上げられるようになります。
そして1934年ピエール画廊で最初の個展を開催します。
このあたりから好みの作品ばかりになってきました。

「エミリー・ブロンテ『嵐が丘』のための14枚の挿絵」
「嵐が丘」の舞台、英国ヨークシャーを旅したバルテュスは、その風景に魅了されます。
当時、外交官の婚約者がいた令嬢アントワネット・ド・ヴァトヴィルへの恋に苦しんでいた、貧しい青年画家であったバルテュス。
この状況を嵐が丘の令嬢キャシーと孤児ヒースクリフに投影したのです。
黒一色で描かれた作品。
それらは今後の作品を予感させるポーズや構図をしていました。

「乗馬服を着た少女」
ピエール画廊での最初の個展に出品された作品のひとつ。
辛い恋のお相手、アントワネット・ド・ヴァトヴィルへがモデルです。
赤い背景に黒いシャツ、白いスカートの少女が描かれています。
少し澄ましたような表情がかわいらしい。

「猫たちの王」
黒いジャケットに赤い短いタイ、スリムなスタイルのパンツという井で立ちの自画像。
顔の彫りは深く目元は濃い影がさしています。
足元には猫がすりよっています。
椅子に立てかけられた板には、
"A PORTRAIT OF H.M. THE KING OF CATS printed by HIMSELF MCMXXXV"
(彼自身の筆になる、猫たちの国王陛下の所蔵、1935年)
そこには鞭も描かれています。
なお、このタイトルはシェイクスピアの"ロミオとジュリエット"に登場する"猫たちの王"に想を得ているのだそう。
バルテュスは猫と一つだと信じていたようです。
「自分は雄猫の匂いがするから、雌猫が後をついてきた」と子供のころは自慢していたののだとか。
猫の人に媚びない優美さが好きで、自分を猫に擬えた作品を残しています。

「キャシーの化粧」
ピエール画廊での最初の個展に出品された作品のひとつ。
この作品は「嵐が丘」の場面を表しているよう。
求婚者を迎えようと身支度をしているキャシーをヒースクリフが問い詰めている場面。
ですが、描かれているキャシーは全裸にガウンを羽織っているだけ。
ヒースクリフはキャシーのほうを見ず、険しい表情をしているのみ。
キャシーのモデルは当時の辛い恋の相手、アントワネット・ド・ヴァトヴィルへ。
ヒースクリフはもちろんバルテュスです。

「鏡の中のアリス」
ピエール画廊での最初の個展に出品された作品のひとつ。
椅子がおかれただけの空間。
そこで方胸をはだけ、左足を椅子にかけ、ひざを立てて性器を見せながら櫛で髪をとかす女が描かれています。
目は白めを向いているようで、かなり強烈な作品。
バルテュスによるとアリスが相似している鏡は鑑賞者、とのこと。
う、、すごいな。。。

「《山(夏)》のための習作」
山の平坦なところで伸びをする女性、草の上に横たわる人。。
謎の人物配置です。
お互いが関係しているのかしていないのか、それすらもよく分かりません。
たぶん友達同士ではないんだろうな、、とは思いますが。笑
なお習作ではない「山」はメトロポリタン美術館にあるそうです。
行かねば!!

「ピエール・マティスの肖像」
ピエール・マティスは画家アンリ・マティスの子息。
バルテュスの画商で1938年にはアメリカでの個展を実現させています。
椅子に片足をのせ、その足の膝に肘をついたポーズをしています。
椅子に足を載せるポーズは「鏡の国のアリス」で描いていますが、それとはまったく違う様相。
まぁ、男性ですし服着ているし。。
こちらは肖像画としてしっかりしています。

「夢見るテレーズ」
バルテュスが初めて少女をモデルに描いた作品。
モデルはクール・ド・ロアンの隣人の失業者の娘テレーズ・ブランシャール。
椅子の上で左膝を立て、両手を頭の上で組んで、少し左を向いて眼を閉じています。
足元にはけっこう粗い筆遣いで描かれた猫。
立てた膝の間からは白い下着が見えています。
扇情的。
壁の縦の線、少女の肘は水平、椅子は斜めと複雑な構図になっています。
クッションの緑色、少女のブラウスの白、スカートの赤の3色が抑えられた色調のなかで目立ちます。
ですが、挑発的に描いたのは最初の作品のみ、とのことでこの作品は違うのだとか。

「牛のいる風景」
丘から見下ろした町の景色。
牛と人が左端にいるのどかな風景画。
手前にある大きな倒れた木が気になります。
落ち着いた色でまとめられています。

「おやつの時間」
果物が皿にもられ、りんごはそこから落ちそうです。
それを覗き込む少女の横顔が美しい。
テーブルの上には果物のほか、シードルの入ったグラス。
そしてナイフの突き刺さったパン。
色彩はとても鮮やかで美しいのに、不穏な空気が漂っています。

「猫と少女」
ほぼ裸でベッドに横たわる少女。
ちょっと苦しそうな不自然な体制です。
傍らには猫。
この作品はバルテュスが少女の裸体を初めて正面観で描いた作品として知られているのだそう。
それまでは成人女性か、横向き、または後ろ向きの少女でした。

「美しい日々」
チラシやポスターにも使われている作品。
描かれている少女はソファに不自然な格好で座っています。
右胸を半分のぞかせ、左足をたて、右足はすーっと伸ばしています。
そして手鏡を除いています。
手鏡を見る少女、というバルテュス作品に何度か見られるモチーフが初めて登場した作品。
奥の暖炉では男性が火をくべているのでしょうか。
赤々と燃え上がる炎がまぶしいほどです。

以上で「その1」
ここで1階へと移動です。
ここから先も素晴らしい作品が待っていました。



ブログランキングよかったらお願いします

コメ展

2014-05-17 21:30:00 | 美術
見てきました

21_21 DESIGN SIGHT

会期は2014年2月28日から2014年6月15日。

「コメ展」
なんて、なんて変わった展示なんだ。。。
コメ……
お米の何を展示するのか。。
そんな不思議な感情で行ってきました。

コメ
私たちの生活に欠かせないもの。
ほぼ毎日食べているし、お米好きだし……
何にでも合う、最強の食べ物だと思うのですよ。
日本の歴史を考えても稲作は弥生時代から。
コメを中心とした食文化の中で発展してきました。
籾から目を覚ました稲の住む水田はさまざまな生き物の生態系を受け入れ育むとともに、水害を防ぐ貯水機構や温暖化を抑える調温装置として、自然のサイクルを支えています。
お茶碗1杯のご飯の1粒1粒にコメ作りに携わってきた人々の努力と、自然のエネルギーが蓄えられているのです。


入ってすぐにあるのは巨大なコメ。
ちょっと不気味です。
精米していくと白くなっていきます。

撮影可能でしたので、面白いとおもったものを書いていきたいと思います。



西部裕介「コメマンダラ」


歌川国芳「太平喜餅酒多多買」
さすが国芳。
お酒軍とお餅軍が戦っているのです。


佐藤 卓 × 竹村真一「コメの景」
ここではコメにまつわる様々な情報が。




寿司が!!寿司があるよ!!
しかも1粒サイズ。


ことほき(鈴木安一郎 + 安藤健浩)「しめかざり」

これもしめかざりなんですね。
鳥かわいい。


川路あずさ「ひと粒茶碗」
なんか水玉模様だ~と近づいて見たら。

ひぃぃぃ。
1粒1粒が茶碗に入ってる……


「コメのりんかく」


studio note「藁のチカラ」
これは以前に目黒区美術館で開催された「包む展」でも見ています。
たまごつと。


パーフェクトロン「コメみくじ」
入口でもらった紙に選んだ漢字のスタンプを押していきます。

米編の漢字だらけ。
なんやこの漢字……と思って選んだら、運勢最悪です……
すべて悪い漢字を選びまくった私はある意味運がいいのかもしれません。




佐藤卓デザイン事務所「ジャパン ブランド」
お酒のラベル。
この2つが好きです。


佐藤卓デザイン事務所「コメ粒もじもじ」
最後にコメ粒に字を書くコーナーが。
もちろん書いてきた!!


大きなルーペも用意されていたけれど、私はルーペ越しに見ると距離感が掴めなくて書けなくて……
ルーペなしでめっちゃ目を近づけて書きました。笑
選りすぐりの作品は展示されるそうです。

こうゆうときって何書いたらいいか分からない。。
コメ……
好きなコメ料理(!?)を書いてきました。

大好き!!笑

地球環境が変わり、ライフスタイルも変わり。
主食としてのコメの位置づけの揺らぐ昨今。
この展示はコメのありようを見つめなおす、そして未来像を考えるきっかけを与えるものとなっています。


コメ展店。
ってことでお米やご飯のおかずも販売されていました!!

おまけに。

私愛用の米櫃。
一人暮らしを始めるときに揃えたものなのでもう10年近く使っています。

桐の箱に「米」の字がかわいくってお気に入り。
家に来た友達が欲しい欲しいと言って。
もう10年近くねだられている一品です。笑



ブログランキングよかったらお願いします

マルク・シャガール -版画の奇跡 無限大の色彩

2014-05-16 21:30:00 | 美術
見てきました

目黒区美術館

会期は2014年4月12日から2014年6月8日。

さて、今回はシャガール。
シャガールの展示多い……
毎年どこかしらで見ている気がします。。
それだけ人気があるってことなんでしょうが。
浮遊する人、花束、恋人、そして明るい色彩。
シャガール作品の代表的なモチーフたち。
幻想的で、でも明るくて分かりやすくて、20世紀を代表する画家として、人気が高いのもわかります。
かく言う私も好きです。
今回の展示はシャガールのは版画に焦点を当てています。
シャガールは油彩画に等しい表現手段として、生涯にわたり、積極的に版画を手がけました。
とくに「版画を見せる/魅せる」という視点で約200点もの作品が展示されています。

まずは「サーカス」
全38点。
リトグラフによる豪華本で限定270部。
シャガール自作の詩がつけられています。
シャガール作品を見ていくにあたって、重要な人物、、奥さんのベラであったりしますが、この「サーカス」には2人の画商が欠かせません。
この「サーカス」は画商ヴォーラルからサーカスをテーマとした版画集の依頼があったことから始まります。
しかし、ヴォーラルの不慮の事故、そしてシャガールが「聖書」を主題とした作品を手がけたことにより中断します。
ヴォーラル没後30年以上も経ってから、ヴォーラルと同様の情熱をもつ画商テリアードの勧めによって、シャガールは、ようやくこの版画集を完成させ、出版されました。

ロシアの教会、村の街並み、、モノクロのページには故郷ヴィテブスクの想い出が。
カラーページにはブランコに乗る人、動物などサーカスの情景。
天使、花束、鳥、月に加え、道化、アクロバット、踊り子などが軽やかに、、そして宙を舞う人も。
現実の世界ではありえないサーカスなのです。

"私にとってサーカスとはこの世界のように過ぎ去り、溶けゆく魔法の光景である"
"道化師や、女曲馬師や曲芸師が、私の夢の世界に住み着いている"
これはシャガールの言葉。
シャガールは故郷、ロシアのユダヤ人地区で生まれ育ちます。
そこを巡っていたサーカス団の興行を眺めていたのでしょう。
シャガールの描く不思議な世界はシャガールの環境などに起因し、不思議ではなく現実の世界だったのかもしれません。

続いて「ダフニスとクロエ」(全42点)
20世紀で最も美しい本のひとつとされるリトグラフ集です。
リトグラフは1色に1つの版が必要なのですが、この作品には20色もの色が使われています。
その分、版を作ったかと思うと感嘆するのみです。
画商テリアードの依頼でこのて
明るく爽やかな色は「ダフニスとクロエ」の世界を美しく描き出しています。
「ダフニスとクロエ」は2世紀末から3世紀初め頃の古代ギリシアで書かれた恋愛物語。
捨て子の男の子ダフニスと同じく捨て子の女の子クロエの物語です。
ストーリーに沿って展示されているため、理解しやすいです。
また、その美しく透明感のある色彩はさづがシャガールといったところ。
シャガールは「ダフニスとクロエ」のオペラ座のバレエの衣装や舞台装置も手掛けています。

最後に「死せる魂」(全96点)
初期版画の傑作です。
限定368部。
画商ヴォラールの提案で手がけた挿画本ですが、ヴォラールの死で一度中断。
およそ10年後、テリアードが買い取り出版となりました。
これはロシアの文豪ゴーゴリの作品でシャガール自身が主題に選んだそうです。
詐欺師チーチコフとその周りの登場人物が織りなす物語。
登場人物ほぼ悪人というなかなか面白い作品です。
シャガールの軽妙な線が物語のユーモラスな感じをうまく表現していて、とても分かりやすく面白い。

展示としては「馬の日記」
こちらはリトグラフとエッチング。
本に仕立てられたものと版画作品、順序刷りが並べられていて、その制作過程も理解できます。

以上になります。
扱っているテーマは少な目ですが、じっくり見てとても面白い展示でした。
版画と聞くと、白黒のイメージですが、シャガールらしい明るい色彩も見れて、楽しめました。



ブログランキングよかったらお願いします

マリー・ローランサン展 ~女の一生~

2014-05-15 21:30:00 | 美術
見てきました

三鷹市美術ギャラリー

会期は2014年4月12日から2014年6月22日。

今回はマリー・ローランサン(1883-1956)
エコール・ド・パリの画家として活躍。
初期の自画像から独自の作風が確立してからの優雅な女性像を中心に約70点の展示です。

「マリー・ローランサン展」は以前にニューオータニ美術館でも鑑賞しています。
(記事はこちら→ニューオータニ美術館「マリー・ローランサンとその時代展」)
今回もその時と同じく、マリー・ローランサン美術館所蔵の作品で構成されています。

マリー・ローランサンの特徴、、、ということもおかしいのですが、特異な点は女性画家であった、ということ。
17世紀に起源をもつ、パリの国立美術学校が女性の入学を認めたのは1897年。
当時、女性画家は稀な存在でした。
そのような時代に画家として活動します。
ブラックやピカソを通じてキュビズムへ傾倒。
詩人アポリネールとの有名な恋。
その後ドイツ人伯爵と結婚しますが、大戦の勃発によりドイツ人として亡命生活。
終戦を迎え、離婚。ふたたびパリへ。
二つの世界大戦を背景にしても明るく優美な色彩で作品を生み出してきました。

《Ⅰ.最初期 1902-1906》
「青色の女性の横顔が描かれた大皿」
さきほども書きましたが、女性画家が稀な時代。
マリー・ローランサンの母親は画家になることを反対したそうです。
ただ、皿の絵付けは両家の子女のたしなみだったそうで、こちらには反対しなかったよう。
淡い白い大皿に女性の横顔が青一色で描かれています。
涼しげでちょっとさみしげ。
柔らかな線で描かれています。

「自画像」
アンベール画塾時代の作品。
このころは自画像を繰り返し描いていたそう。
ちょっと影のあるような、暗い、むすっとしているともとれる表情でした。
私のイメージの中でマリー・ローランサンは明るい美人ってイメージだったので驚き。
エコール・ド・パリの中で女性画家として芸術家たちと絵画について話したり、モデルをしたり、恋をしたり、、、ってイメージがあったからかな。
作品からは若さも感じられません。

《Ⅱ.アポリネールとの出会い 1907-1913》
「果物かご」
マリー・ローランサンはブラックらを通じ、キュビズムなどを吸収していきます。
このころの作品はアカデミズムからキュビズム的な作品への過程のもの。
渋い色彩で描かれています。

「狩りをするディアナ」
狩りの女神、ディアナを描いた小さめな作品。
青い背景にディアナと鹿らしき生き物が描かれています。
この作品はマリーからアポリネールに贈られたそうで、ディアナはマリー自身ではないかとのこと。
そして鹿はマリーがよく描いたラマではないかとのこと。
尾が枝分かれし、唐草模様のようになっていました。

「若い女の顔」
黒い髪に黒い瞳、一瞬、近代日本画かと思うような印象。
髪に手をやる様子は"髪梳く女性"とかってタイトルを付けたくなります。笑

「花瓶のある生物」
灰褐色で描かれたキュビズム的作品。
扇と花、カップが2つ。
テーブルに置かれています。
曲線の柔らかさが印象的。

「青と黒の帽子をかぶった少女」
このあたりから、マリーらしい柔らかない色彩の女性たちが見られるようになります。
体は左向きで顔だけ正面。
表情がないようにも見えます。

《Ⅲ.フォン・ヴェッチェン男爵との結婚 1914-1920》
「白い羽根飾りの黒帽子をかぶった乙女」
色白で細い女の子。
ピンクの花が画面に明るさをもたらしています。
可愛らしい。

「鳥(アドルフ・フォン・ハッツフェルト『夏』)」
アドルフ・フォン・ハッツフェルト『夏』のための作品。
リトグラフの小さな作品です。
対象を簡略化し表現。
なんだか喜んでいるかのような雰囲気です。

「旅する女(アドルフ・フォン・ハッツフェルト『夏』)」
こちらもアドルフ・フォン・ハッツフェルト『夏』のための作品。
馬に乗った女性が描かれいてます。
変わった服を着て、夢の中のようなイメージ。

「肘掛椅子に坐る若い女」
ピンク色の服を来て、青と白のストールをした女性がピンク色の扇子を持ち、椅子にだらんと坐っているところ。
ローランサンらしい色彩です。

「ギターをもつ女道化師」
ギターはもっていなくて、女道化師の横に描かれています。
左手を胸にあてていますが、その色の白いこと。

《Ⅳ.成熟~晩年 1921-1956》
「ターバンをかぶった女」
黒い背景に溶け込むかのように描かれています。
これもピンクやグレー、白などを使ったローランサンらしい配色。
優しい色なのに寂しげに見えます。

「ジョルジュ・ベナールの肖像」
銀行家のベナール家は芸術に造詣が深く、マリーは当主他、家族も描いていたそう。
しかし1929年の恐慌により破産。
膨大なコレクションを手放すこととなります。
コレクションが散逸する中、この作品だけは手元に置き続けたのだそう。
なんだか表情が暗く見えてきます……。

「レダと白鳥(Ⅰ)」
ピンクの布をまとったレダが白鳥を抱いています。
よく扱われるテーマですが、見た作品の中で1番ファンタジーっぽい。
ルネサンス期に描かれたものみたいなしっかりきらきらとは違う、優しさがあります。

「二人の女友達」
灰色の背景にピンクと青が印象的。
ふわっとして仲のいい様子が伺えます。

「首飾りの女」
真珠の首飾りをしているのですが、頭にも真珠をつけています。
頭の花冠に大きな真珠はとてもきれい。
花の妖精みたいです。

「三人の乙女」
白いネックレスにターバン、白い肌にピンクのチーク。
華やかです。

「マルセル・エラン」
マリーが友人の芸術家・文芸家を描いた肖像画の中でも優れたものの一つ。
落ち着いていて穏やかな印象を受けます。
このマルセル・エランは当時40代半ば。
名優であり、劇作家でもあったようです。

「カトリーヌ・ジッド」
作家アンドレ・ジッドの娘ですが、マリー同様、婚外子として生まれます。
正妻の死後、養女として父の籍に入りました。
この環境に共感し、年下の友人として付き合いがあったそう。
濃い緑色の服を着てちょっとうつむいた様子で描かれます。

「花を生けた花瓶」
白い花瓶にピンクや赤などの華やかな色の花が活けられています。
明るくて幸せの象徴にも見えました。

以上になります。
なかなかの作品量。
年代を追っているので分かりやすいのではないでしょうか。



ブログランキングよかったらお願いします

イタリアから

2014-05-14 21:30:00 | 食べ物
アトレ恵比寿の
「Gelateria Marghera ジェラテリアマルゲラ」
で購入です。
ここはイタリアミラノのジェラート店。
他には麻布十番にありますが、ここが海外初出店とのことで、恵比寿は2号店。
ミラノでのオープンは1979年。
ミラノには本店しかないので現在、世界には3店舗しかないのです。

その店で私が買ったのはジェラートではありません。笑
マロン、ミルフィーユ、イチゴ、コーヒーの4つ。



横から見るとこんな感じ。
ってぶれてる……
中にも苺入っていました。
果汁感あっておいしかった!!

円錐の下がスプーンで取りにくかったけどね。。



ブログランキングよかったらお願いします

ニコラ・ビュフ:ポリフィーロの夢

2014-05-13 21:30:00 | 美術
見てきました

原美術館

会期は2014年4月19日から2014年6月29日。

パリ生まれで現在、東京在住のアーティスト、ニコラ・ビュフ。
これまで日本やアメリカ由来のサブカルチャーと、ヨーロッパの伝統的な美意識を融合させた作品に取り組んできたそうです。
つい先頃、東京藝術大学大学院の博士号を取得したばかりだそう。
国内の美術館としては初めてとなる個展が原美術館で開催中です。
それも"ポリフィーロの夢"をテーマとして。

"ポリフィーロの夢"
15世紀末のヨーロッパ古典文学、「Hypnerotomachia Poliphil」
主人公の少年、ポリフィーロが夢の中で恋人のポーリアを求めて冒険をする物語。
1499年、世界初の編集者ヴェネツィアのアルド・マヌツィオの活版印刷所で印刷・出版された印刷史初期の著名な本なのです。
これを先日「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション 展」で見てきたばかり。
500年以上も前に出版された作品を現代に見るという、すごい偶然のもとに開催されているのです。
(ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション 展の記事はこちら→「その1」「その2」)
(ポリフィーロの夢については「その2」で取り上げています。)

ヨーロッパの古典と和製ロールプレイングゲームの世界観に類似点を見出したビュフ。
それは夢と愛、闘いと勝利、死と再生といった普遍的なものでもあります。
ヨーロッパの古典「ポリフィーロの夢」をベースに現代日本のアニメやゲームを融合させた空間で少年の冒険を辿る展示となっています。

まずは美術館入り口。

ここから物語は始まっています。
巨大なオオカミが口を開けて待っています。
ここから鑑賞者が主人公、ポリフィーロ自身となってその世界を体験していくのです。
実際の物語の中でもポリフィーロはオオカミと出会うのだそう。
あー、うきうきする!!!
冒険のフィールドとなった美術館にいざ出陣です!!!

鏡の扉を抜けて、右手のカウンターで入館料の支払い(一瞬、現実に。笑)
大人1,100円です。


ここでは"ポリフィーロの夢"を簡単に説明した紙芝居映像も見れます。
ドラクエとかで最初に流れる王様の話みたいなもんだと思えば。。
これ聞いておかないとこの先どうするか分からないしね。

主人公のポリフィーロはポーリアが好き。
ある日、木の下で眠ってしまったポリフィーロ。
オオカミの声に誘われ、中に入っていきます。
そこには怪物がいて、脅されるのです。
キューピッドに出会い、ポーリアの住む愛の島に向かうポリフィーロ。
迷路をさまよい、ようやくポーリアを見つけます。
ポーリアにキスをしようとしたら目が覚めてしまいました。

まぁなんと脈絡のない話でしょう。笑
夢の中の話だしね。。

初めに出会うのはユニコーン。

「ユニコーンの皮」
一角獣のタペストリー。
頭と手足は陶器。
"死と再生"のテーマを表現していて、生きている一角獣を殺して皮にすることで、それを蘇らせている、のだそう。
金色の長い角が素敵すぎ。
タペストリーはクリュニー美術館の「貴婦人と一角獣」、メトロポリタン美術館の「一角獣狩り」を参考にしているのだそう。


かわいい!!
案内もかわいい!!




「ヒーローの甲冑/スーパーポリフィーロ」
冒険ですから、敵と戦う場面があるのです。
そのための甲冑。
ビュフが子供のころ好きだったという東映の特撮テレビ番組"宇宙刑事ギャバン"のヘルメットをかぶり、ビュフの独特デザインの模様入りのヘンリー2世の儀礼用甲冑。
これを着るとポリフィーロはスーパーポリフィーロとなるのです。
甲冑は実際に"宇宙刑事ギャバン"の甲冑を製作したレインボー造形企画という会社さんに制作してもらったのだそう。
小さいころ夢中になった作品の制作会社に自分デザインの作品を作ってもらうなんて、なんだか夢のある話だなぁ。


「戦い ―ロクス テレビリス(緊張の瞬間)」
蛇女の顔が描かれた扉。
この扉の向こうは決戦の場。
AR(拡張現実)の世界です。
ここでは鑑賞者の体の動きをセンサーが察知。
スクリーンの映像に反映させ、ドラゴンと戦うのです。
実際に体を動かして戦えるというのは、ゲームの世界に入ったようです。


「瞑想の部屋 ―カプセル」
真っ暗な部屋の中、カボチャの形のカプセルがぽつん。。
ここは回復の場。
セーブポイント的なところですね。
茶室をイメージしたそうです。
中は金色で金閣寺イメージ。
アルミの枠に越前和紙とアルミ箔を貼ったものだそう。
キラキラです。


「愛の勝利 ―キューピッドの凱旋」
ここで1階に戻ります。




華やか!!


天井もすごい。






キューピッドはパンチをしない。(と個人的に思いたい。笑)


ギャラリーの両端には、ポリフィーロとポーリアのカルトゥーシュ。
これは、3Dプリンターで制作されたものだそう。
3Dプリンターってすごい!!


さて、窓の外を眺めると、木の根元に寝ているのはポリフィーロ。
(画質が悪くてごめんなさい。夜&窓ガラス越しなんです……)
そう、これは夢の中。
勝利をおさめ、凱旋したら終わりなのです。

今回、監視員の方が赤いマント(ポンチョ!?)のようなものを羽織っています。
これも展示の世界観。
妖精の格好だそう。
ここまで凝っていると楽しくその世界に入り込めます。

まさにファンタジー。
品川の閑静な住宅街で不思議な世界に行けちゃいます。
とってもおすすめです。



ブログランキングよかったらお願いします

ネイル

2014-05-12 21:30:00 | ネイル
変えました。

大好きな色の組み合わせにしました。
赤と白と黒。
これらの色を使うとウキウキする~♪


親指と薬指は白に黒いホロでドット。
人差し指、中指、小指は赤の1色塗りで中指にゴールドでハート。
今回、いつもよりツヤツヤに見える。
可愛い!!



ブログランキングよかったらお願いします