見てきました
Bunakmura ザ・ミュージアム
会期は2014年4月4日から2014年5月25日。
今回はイタリア、ミラノにあるポルディ・ペッツォーリ美術館のコレクションから。
約80点が日本で初めてまとまって紹介されます。
今回、2回に分けて書いていきます。
「その1」では美術館についてと、第1章から3章までを書きましたが、
「その2」では第4章からエピローグまでを書いていきます。
《第4章:「黄金の間」コレクション》
「黄金の間」はコレクションの中でも最も重要な絵画・タペストリー・金銀細工を展示していた場所。
黄金色の木製の格天井で、ルネサンス黄金時代の作品を集めた部屋だったそう。
フランチェスコ・ボンシニョーリ「聖女の胸像」
淡い青色を背景にこちらを見る聖女。
パールの髪飾り、赤い服が目を惹きます。
これはほぼ正面から描いていますが、この当時はカメオのように真横から描いたものが多いのだそう。
ピエロ・デル・ポッライウォーロ「貴婦人の肖像」
今回のチラシやポスターにも使われていますが、ポルディ・ペッツォーリ美術館のシンボル的作品。
ピエロ・デル・ポッライウォーロは15世紀のフィレンツェ美術界をけん引する存在であった画家。
そしてこの作品は15世紀イタリア肖像画の最高傑作のひとつ。
青空を背景に描かれた女性の横顔。
髪は結い上げ、真珠の髪飾りをしています。
首にはルビーと真珠のネックレス。
これは結婚を意味するものでルビーは愛の情熱を、真珠は純潔を示しているのだそう。
婚礼の前に描かれたもので、婚約者に贈るためのものではないか、とのこと。
まっすぐ前を見つめ、凛とした美しさがありました。
サンドロ・ボッティチェッリ「死せるキリストへの哀悼」
ボッティチェリといえば、「プリマヴェーラ」や「ヴィーナスの誕生」など華やかで繊細で、幸せを描く人。
が、この作品はその逆にありました。
強い色彩にしっかりとした線。
描かれているのはイエスの亡骸を運ぶ場面。
気を失ったマリアに支えるヨハネ、涙を流すマグだらのマリア、とイエスを中心に様々な人が悲しんでいます。
ルネサンスの華やかな時代を支え、芸術家を庇護していたメディチ家がフィレンツェから追放されると、ドメニコ会修道士サヴォナローラが神権政治を行います。
これはその影響を受けたボッティチェッリの強い宗教情熱が示されているもの。
ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリが亡くなる1か月前に購入したものだそう。
フラ・バルトロメオ「玉座の聖母子(ツバメの聖母)」
マリアの膝の上にいるイエス。
その手の中にツバメがいます。
だから"ツバメの聖母"
ただ、、イエスの顔がちょっと怖い。。。
《第5章:15・16世紀の美術と時計コレクション》
ここでは15、16世紀の美術活動についてと、時計のコレクションが展示されています。
ラファエロ・サンツィオに帰属「フランチェスコ会派聖人たちが描かれた宗教行列用十字架」
修道院での祭礼の際に、竿に突き刺して掲げて使用したものだそう。
キリストと聖人たちが十字架に描かれています。
表も裏も十字の部分はキリストの磔刑図。
なんだかリアルです。
表は上から時計回りに、聖ペテロ、聖ヨハネ、マグダラのマリア、聖母マリア
裏は上から時計周りに、トゥールーズの聖ルイ、聖クララ、バドヴァの聖アントニウス、聖フランチェスコ
かなり細かく描かれていました。
フランチェスコ・コロンナ「ヒュプネロトマキア・ポリフィリ(ポリフィロの夢)」
ドメニコ会修道士フランチェスコ・コロンナの本著作。
1499年、世界初の編集者ヴェネツィアのアルド・マヌツィオの活版印刷所で印刷・出版された印刷史初期の著名な本とのこと。
活版印刷物の傑作とも言われています。
森の中や壮麗な建築物を舞台とした冒険物語で、眠りに落ちた主人公ポリフィロは夢の中でニンフに導かれ恋を成就させていきます。
170もの版画が挿入されているそうです。
「地球儀形卓上時計」
球体の時計で24時間で一回転する時計。
縦に12分割されていて、それぞれの区分に星座が割り当ています。
とても緻密で美しい。
ここではポルディ・ペッツォーリ美術館及び、ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリを紹介する映像もありました。
約8分。
美しい美術館内が見れてとても面白いです。
《第6章:ヴェネツィア美術および17世紀以降の美術コレクション》
15世紀は横顔、146世紀は斜めから、と変わってきた肖像画。
画材はテンペラから油彩になり、より自然でリアルになってきました。
ここではその流れを汲んだ17世紀以降の作品と、ヴェネチア第2の黄金期の作品やヴェネチアングラスなどが展示されています。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオに帰属「紳士の肖像」
暗い背景から浮かび上がるかのようにこちらを見ている男性が描かれています。
つややか。
この作品は当初、ジョルジョーネ周辺の画家と思われていましたが、2010年の修復やX線の検査結果、ジョルジョーネ工房にいたころのティツィアーノと判明したそう。
ベルナルド・ストロッツィ「聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネ」
強い明暗表現で描かれた聖母子像。
劇的な印象を与えます。
「十字架」
青色のガラスで作られた十字架。
聖堂の祭壇装飾用のようです。
透き通る青に金色の真鍮はとても美しい。
カナレット「廃墟と古代建造物のあるカプリッチョ」
中央にはルネサンス風のモニュメント。
左には古代風の円形の塔にサン・ピエトロ大聖堂のような建築物も。
様々な時代の廃墟と古代建築を組み合わせたものを"カプリッチョ"といいます。
でも、実際の景色か否かも遠いところや違う時代にいる鑑賞者には分からないわけで。
繊細に描かれた景色、澄んだ青空が美しい。
この作品はカナレットの"カプリッチョ"の中でも最も成功を収めたものの一つだそうで、いくつものレプリカやコピーがあるそう。
展示作品はそれらの作品のなかで最良だそう。
ジャンバッティスタ・ティエポロ「美徳と高潔の寓意」
小さな作品ですが色彩美しい。
雲のたなびく空を舞う二人の女性が美徳と高潔の寓意。
下から見上げるような構図です。
フランチェスコ・アイエツ「友人たちに囲まれた自画像」
黒い背景に芸術家とその友人たちが描かれたもの。
なんだかほほえましい。
ジュゼッペ・モルテーニ「レベッカ」
サー・ウォルター・スコットの"アイヴァンホー"の主要人物、レベッカを描いたもの。
絹のターバンから垂れ下がった髪とダチョウの羽根が目立ちます。
艶やかで美しい。
以上になります。
この美術館、この展示をきっかけに知ったのですが、とても行きたくなりました。
ミラノではカツレツ食べた思い出ぐらいしかないから……
ゆっくり美術鑑賞の旅でもしたいな。
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Bunakmura ザ・ミュージアム
会期は2014年4月4日から2014年5月25日。
今回はイタリア、ミラノにあるポルディ・ペッツォーリ美術館のコレクションから。
約80点が日本で初めてまとまって紹介されます。
今回、2回に分けて書いていきます。
「その1」では美術館についてと、第1章から3章までを書きましたが、
「その2」では第4章からエピローグまでを書いていきます。
《第4章:「黄金の間」コレクション》
「黄金の間」はコレクションの中でも最も重要な絵画・タペストリー・金銀細工を展示していた場所。
黄金色の木製の格天井で、ルネサンス黄金時代の作品を集めた部屋だったそう。
フランチェスコ・ボンシニョーリ「聖女の胸像」
淡い青色を背景にこちらを見る聖女。
パールの髪飾り、赤い服が目を惹きます。
これはほぼ正面から描いていますが、この当時はカメオのように真横から描いたものが多いのだそう。
ピエロ・デル・ポッライウォーロ「貴婦人の肖像」
今回のチラシやポスターにも使われていますが、ポルディ・ペッツォーリ美術館のシンボル的作品。
ピエロ・デル・ポッライウォーロは15世紀のフィレンツェ美術界をけん引する存在であった画家。
そしてこの作品は15世紀イタリア肖像画の最高傑作のひとつ。
青空を背景に描かれた女性の横顔。
髪は結い上げ、真珠の髪飾りをしています。
首にはルビーと真珠のネックレス。
これは結婚を意味するものでルビーは愛の情熱を、真珠は純潔を示しているのだそう。
婚礼の前に描かれたもので、婚約者に贈るためのものではないか、とのこと。
まっすぐ前を見つめ、凛とした美しさがありました。
サンドロ・ボッティチェッリ「死せるキリストへの哀悼」
ボッティチェリといえば、「プリマヴェーラ」や「ヴィーナスの誕生」など華やかで繊細で、幸せを描く人。
が、この作品はその逆にありました。
強い色彩にしっかりとした線。
描かれているのはイエスの亡骸を運ぶ場面。
気を失ったマリアに支えるヨハネ、涙を流すマグだらのマリア、とイエスを中心に様々な人が悲しんでいます。
ルネサンスの華やかな時代を支え、芸術家を庇護していたメディチ家がフィレンツェから追放されると、ドメニコ会修道士サヴォナローラが神権政治を行います。
これはその影響を受けたボッティチェッリの強い宗教情熱が示されているもの。
ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリが亡くなる1か月前に購入したものだそう。
フラ・バルトロメオ「玉座の聖母子(ツバメの聖母)」
マリアの膝の上にいるイエス。
その手の中にツバメがいます。
だから"ツバメの聖母"
ただ、、イエスの顔がちょっと怖い。。。
《第5章:15・16世紀の美術と時計コレクション》
ここでは15、16世紀の美術活動についてと、時計のコレクションが展示されています。
ラファエロ・サンツィオに帰属「フランチェスコ会派聖人たちが描かれた宗教行列用十字架」
修道院での祭礼の際に、竿に突き刺して掲げて使用したものだそう。
キリストと聖人たちが十字架に描かれています。
表も裏も十字の部分はキリストの磔刑図。
なんだかリアルです。
表は上から時計回りに、聖ペテロ、聖ヨハネ、マグダラのマリア、聖母マリア
裏は上から時計周りに、トゥールーズの聖ルイ、聖クララ、バドヴァの聖アントニウス、聖フランチェスコ
かなり細かく描かれていました。
フランチェスコ・コロンナ「ヒュプネロトマキア・ポリフィリ(ポリフィロの夢)」
ドメニコ会修道士フランチェスコ・コロンナの本著作。
1499年、世界初の編集者ヴェネツィアのアルド・マヌツィオの活版印刷所で印刷・出版された印刷史初期の著名な本とのこと。
活版印刷物の傑作とも言われています。
森の中や壮麗な建築物を舞台とした冒険物語で、眠りに落ちた主人公ポリフィロは夢の中でニンフに導かれ恋を成就させていきます。
170もの版画が挿入されているそうです。
「地球儀形卓上時計」
球体の時計で24時間で一回転する時計。
縦に12分割されていて、それぞれの区分に星座が割り当ています。
とても緻密で美しい。
ここではポルディ・ペッツォーリ美術館及び、ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリを紹介する映像もありました。
約8分。
美しい美術館内が見れてとても面白いです。
《第6章:ヴェネツィア美術および17世紀以降の美術コレクション》
15世紀は横顔、146世紀は斜めから、と変わってきた肖像画。
画材はテンペラから油彩になり、より自然でリアルになってきました。
ここではその流れを汲んだ17世紀以降の作品と、ヴェネチア第2の黄金期の作品やヴェネチアングラスなどが展示されています。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオに帰属「紳士の肖像」
暗い背景から浮かび上がるかのようにこちらを見ている男性が描かれています。
つややか。
この作品は当初、ジョルジョーネ周辺の画家と思われていましたが、2010年の修復やX線の検査結果、ジョルジョーネ工房にいたころのティツィアーノと判明したそう。
ベルナルド・ストロッツィ「聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネ」
強い明暗表現で描かれた聖母子像。
劇的な印象を与えます。
「十字架」
青色のガラスで作られた十字架。
聖堂の祭壇装飾用のようです。
透き通る青に金色の真鍮はとても美しい。
カナレット「廃墟と古代建造物のあるカプリッチョ」
中央にはルネサンス風のモニュメント。
左には古代風の円形の塔にサン・ピエトロ大聖堂のような建築物も。
様々な時代の廃墟と古代建築を組み合わせたものを"カプリッチョ"といいます。
でも、実際の景色か否かも遠いところや違う時代にいる鑑賞者には分からないわけで。
繊細に描かれた景色、澄んだ青空が美しい。
この作品はカナレットの"カプリッチョ"の中でも最も成功を収めたものの一つだそうで、いくつものレプリカやコピーがあるそう。
展示作品はそれらの作品のなかで最良だそう。
ジャンバッティスタ・ティエポロ「美徳と高潔の寓意」
小さな作品ですが色彩美しい。
雲のたなびく空を舞う二人の女性が美徳と高潔の寓意。
下から見上げるような構図です。
フランチェスコ・アイエツ「友人たちに囲まれた自画像」
黒い背景に芸術家とその友人たちが描かれたもの。
なんだかほほえましい。
ジュゼッペ・モルテーニ「レベッカ」
サー・ウォルター・スコットの"アイヴァンホー"の主要人物、レベッカを描いたもの。
絹のターバンから垂れ下がった髪とダチョウの羽根が目立ちます。
艶やかで美しい。
以上になります。
この美術館、この展示をきっかけに知ったのですが、とても行きたくなりました。
ミラノではカツレツ食べた思い出ぐらいしかないから……
ゆっくり美術鑑賞の旅でもしたいな。
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