RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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休日に全力で生きるOLの日記(笑)

ニコラ・ビュフ:ポリフィーロの夢

2014-05-13 21:30:00 | 美術
見てきました

原美術館

会期は2014年4月19日から2014年6月29日。

パリ生まれで現在、東京在住のアーティスト、ニコラ・ビュフ。
これまで日本やアメリカ由来のサブカルチャーと、ヨーロッパの伝統的な美意識を融合させた作品に取り組んできたそうです。
つい先頃、東京藝術大学大学院の博士号を取得したばかりだそう。
国内の美術館としては初めてとなる個展が原美術館で開催中です。
それも"ポリフィーロの夢"をテーマとして。

"ポリフィーロの夢"
15世紀末のヨーロッパ古典文学、「Hypnerotomachia Poliphil」
主人公の少年、ポリフィーロが夢の中で恋人のポーリアを求めて冒険をする物語。
1499年、世界初の編集者ヴェネツィアのアルド・マヌツィオの活版印刷所で印刷・出版された印刷史初期の著名な本なのです。
これを先日「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション 展」で見てきたばかり。
500年以上も前に出版された作品を現代に見るという、すごい偶然のもとに開催されているのです。
(ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション 展の記事はこちら→「その1」「その2」)
(ポリフィーロの夢については「その2」で取り上げています。)

ヨーロッパの古典と和製ロールプレイングゲームの世界観に類似点を見出したビュフ。
それは夢と愛、闘いと勝利、死と再生といった普遍的なものでもあります。
ヨーロッパの古典「ポリフィーロの夢」をベースに現代日本のアニメやゲームを融合させた空間で少年の冒険を辿る展示となっています。

まずは美術館入り口。

ここから物語は始まっています。
巨大なオオカミが口を開けて待っています。
ここから鑑賞者が主人公、ポリフィーロ自身となってその世界を体験していくのです。
実際の物語の中でもポリフィーロはオオカミと出会うのだそう。
あー、うきうきする!!!
冒険のフィールドとなった美術館にいざ出陣です!!!

鏡の扉を抜けて、右手のカウンターで入館料の支払い(一瞬、現実に。笑)
大人1,100円です。


ここでは"ポリフィーロの夢"を簡単に説明した紙芝居映像も見れます。
ドラクエとかで最初に流れる王様の話みたいなもんだと思えば。。
これ聞いておかないとこの先どうするか分からないしね。

主人公のポリフィーロはポーリアが好き。
ある日、木の下で眠ってしまったポリフィーロ。
オオカミの声に誘われ、中に入っていきます。
そこには怪物がいて、脅されるのです。
キューピッドに出会い、ポーリアの住む愛の島に向かうポリフィーロ。
迷路をさまよい、ようやくポーリアを見つけます。
ポーリアにキスをしようとしたら目が覚めてしまいました。

まぁなんと脈絡のない話でしょう。笑
夢の中の話だしね。。

初めに出会うのはユニコーン。

「ユニコーンの皮」
一角獣のタペストリー。
頭と手足は陶器。
"死と再生"のテーマを表現していて、生きている一角獣を殺して皮にすることで、それを蘇らせている、のだそう。
金色の長い角が素敵すぎ。
タペストリーはクリュニー美術館の「貴婦人と一角獣」、メトロポリタン美術館の「一角獣狩り」を参考にしているのだそう。


かわいい!!
案内もかわいい!!




「ヒーローの甲冑/スーパーポリフィーロ」
冒険ですから、敵と戦う場面があるのです。
そのための甲冑。
ビュフが子供のころ好きだったという東映の特撮テレビ番組"宇宙刑事ギャバン"のヘルメットをかぶり、ビュフの独特デザインの模様入りのヘンリー2世の儀礼用甲冑。
これを着るとポリフィーロはスーパーポリフィーロとなるのです。
甲冑は実際に"宇宙刑事ギャバン"の甲冑を製作したレインボー造形企画という会社さんに制作してもらったのだそう。
小さいころ夢中になった作品の制作会社に自分デザインの作品を作ってもらうなんて、なんだか夢のある話だなぁ。


「戦い ―ロクス テレビリス(緊張の瞬間)」
蛇女の顔が描かれた扉。
この扉の向こうは決戦の場。
AR(拡張現実)の世界です。
ここでは鑑賞者の体の動きをセンサーが察知。
スクリーンの映像に反映させ、ドラゴンと戦うのです。
実際に体を動かして戦えるというのは、ゲームの世界に入ったようです。


「瞑想の部屋 ―カプセル」
真っ暗な部屋の中、カボチャの形のカプセルがぽつん。。
ここは回復の場。
セーブポイント的なところですね。
茶室をイメージしたそうです。
中は金色で金閣寺イメージ。
アルミの枠に越前和紙とアルミ箔を貼ったものだそう。
キラキラです。


「愛の勝利 ―キューピッドの凱旋」
ここで1階に戻ります。




華やか!!


天井もすごい。






キューピッドはパンチをしない。(と個人的に思いたい。笑)


ギャラリーの両端には、ポリフィーロとポーリアのカルトゥーシュ。
これは、3Dプリンターで制作されたものだそう。
3Dプリンターってすごい!!


さて、窓の外を眺めると、木の根元に寝ているのはポリフィーロ。
(画質が悪くてごめんなさい。夜&窓ガラス越しなんです……)
そう、これは夢の中。
勝利をおさめ、凱旋したら終わりなのです。

今回、監視員の方が赤いマント(ポンチョ!?)のようなものを羽織っています。
これも展示の世界観。
妖精の格好だそう。
ここまで凝っていると楽しくその世界に入り込めます。

まさにファンタジー。
品川の閑静な住宅街で不思議な世界に行けちゃいます。
とってもおすすめです。



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