RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

こども展 名画にみるこどもと画家の絆 (その2)

2014-05-29 21:30:00 | 美術
見てきました

森アーツセンターギャラリー

会期は2014年4月19日から2014年6月29日。

「子ども」をテーマとした本展。
モネ、ルノワール、ルソー、マティス、ピカソなど錚々たる画家48人が描いた作品で、約3分の2は日本初公開。
今回、3回に分けて書いています。
序章から第2章までを「その1
第3章から第4章までを「その2」
第5章から第6章までを「その3」
今日は「その2」です。

《第3章 印象派》
ここではモネ、ルノワールなどのおなじみの画家たちの作品が展示されています。
多くは画家自身の子どもです。
ここで特筆すべきは6作品のモデルとなっているジュリー・マネ。
母親は女流画家のベルト・モリゾ。
父親はエドゥアール・マネの弟で画家のウジェーヌ・マネ。
芸術的な環境で育ち、自身も画家となりました。

クロード・モネ「ジャン・モネの肖像」「玉房付の帽子を被ったミシェル・モネの肖像」「青いセーターを着たミシェル・モネ」
素早いタッチで描かれたモネの子どもたち。
モネの人物・肖像画は他人からの注文によるものは少なく、大半が家族の肖像だそう。
いずれも小品で売ったりする意志のない、私的なもの。
この3つ、だんだん、タッチが粗くなってきていました。笑

ピエール=オーギュスト・ルノワール「遊ぶクロード・ルノワール」
小さな人形で遊ぶ子どもの横顔が描かれています。
妻アリーヌとの間に3児をもうけますが、ルノワールは子どもたちの成長記録でもつけるようにその肖像を繰り返し描きました。
そしてもっとも多くモデルを務めたのがこのクロードでした。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「道化姿のクロード・ルノワール」
ふたたびクロードです。
道化師の衣装を着て描かれています。
体の部分が丸く膨らんだオレンジ色の服。
クロードは後に、この衣装がいやだったこと、このモデルをしたことで半日学校を休めてうれしかったこと、などを話しているそう。
モデルさんも大変ですね。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ジャン・ルノワールの肖像」
後に映画監督となる次男のジャンが描かれています。
が、髪は肩までの長さ、白いリボンをつけて、ピンク色の服。
女の子みたい……
医療が未発達だった当時、男子が産まれると、ある一定の年齢(7-9歳頃)までは女の子のように育てた、というのはよく聞きます。
当時は無事に成人を迎える確率はわずか50%。
悪魔は男の子の魂を奪っていくとの迷信もあり、一般的に女の子の方が元気との認識がありました。
その影響かな、と思いきや、ルノワールは頭を守るために伸ばしたままにしていたのだそう。
どちらにせよ、子どもの健やかな成長を願う親心ですね。
なお、三兄弟の長男ピエールは俳優、次男ジャンは映画監督、三男クロードは陶芸家なんだとか。
芸術一家です。

ベルト・モリゾ「庭のウジェーヌ・マネとその娘」
モリゾの旦那さん、ウジェーヌ・マネと娘のジュリーがモリゾらしい素早いタッチで描かれています。
光いっぱいの緑の庭で5歳の娘と彼女をスケッチする父の微笑ましい情景。
モリゾは娘のジュリーを繰り返し繰り返し描きました。
その作品からもモリゾの親としての温かな視線が伝わってきます。

ベルト・モリゾ「犬を抱く娘」
椅子に座りこちらに背を向けている娘ジュリー。
その膝の上にのった白い犬がこちらを見ています。
つぶらな瞳がかわいい。
柔らかな光も作品を優しく見せています。

ピエール・オーギュスト・ルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」
今回のチラシやポスターにも使われている作品。
モリゾが親しいルノワールに依頼して描いてもらったもの。
母のモリゾは美しく、他の画家のモデルをしていたことでも有名ですが、このジュリーを見ていると、美貌も母から引き継いだようです。
優しい笑みでこちらを向いているジュリー。
ジュリーの膝の上の猫もこの上なく幸せそうな表情です。
この時8歳。
ルノワールの温かい色彩もあって、とても幸せで美しい日常といった印象です。

ベルト・モリゾ「猫を抱く娘(ルノワールによる)」
上のルノワールが描いた作品を母親のモリゾが写した版画。
とても気に入っていたそうです。
こちらもとても柔らかく優しい印象です。

1893年、ウジェーヌ・マネが亡くなると、モリゾは一晩にして白髪になったそうです。
そしてわずか2年後。
1895年にモリゾもインフルエンザで亡くなります。
このときジュリーは16歳。
ルノワールと詩人のマラルメがジュリーの後見人になりました。

ジュリー・マネ「オーギュスタンの肖像」
モリゾの娘、ジュリーが名付け親となった甥オーギュスタン・ルーアールを描いた作品。
少し首をかしげてこちらを見ています。
この甥ものちに画家となります。

エルネスト・ルーアール「書斎のジュリー」
夫のエルネスト・ルーアールが描いたジュリー。
ドガの紹介で知り合い結婚した2人。
エルネストの父がドガの親友で、その縁でエルネストはドガの唯一の弟子となりました。
この「こども展」で展示されている中で「こども」ではない年齢の作品です。
手を頭にやり、ペンを握るジュリー。
窓から差し込む光がとても優しい。
なんだか、こうやってジュリーの小さいころからの作品を見ていたため、
"大きくなったねぇ"という親戚のような思いが。笑
なお、マネの代表作「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」
ジュリーの母のモリゾがモデルとなった作品です。
この作品をジュリーは生涯大切にし、自宅の居間に飾っていたのだそう。
なお、三菱一号館美術館の開館第1弾の展示「マネとモダン・パリ」(2010年)の目玉として来日していました。
写真
懐かしい……

《第4章 ポスト印象派とナビ派》
さて、時代が進んでポスト印象派へ。
ポスト印象派の画家というと、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホあたりが出てきます。
が、ゴッホは生涯独身で子どもはなし。
ゴーギャンは妻と子どもと別居状態となったため、自身の子どもを描いた作品は少ないのです。
一方でセザンヌは一人息子と妻の肖像を多く描きます。
またナビ派の中でも"アンチミスト(親密派)"を取り上げ、親しみやすい日常を描いた作品が展示されています。

エミール・ベルナール「帽子を被った少年の肖像」
ポスト印象派の画家。
描かれているのは椅子に座った少年。
体を傾け、視線は下に。
少し疲れたかのような印象を受けます。。

ポール・セザンヌ「芸術家の息子の肖像」
注文による肖像画は少なかったセザンヌ。
そのため肖像画のモデルは妻か息子がほとんど。
この作品で描かれている息子は無表情な感じでこちらを見ています。
青味の入った色彩もまた、無表情な印象を強くしています。
息子が9歳のときの作品。

ピエール・ボナール「子どもと猫」
食卓に向かう女の子が猫を膝にのせ撫でています。
その後ろにも猫が一匹。
テーブルの上にはフルーツの載った皿とナイフと水差し。
女の子の表情は真面目というか、無表情というべきか。
画面左から差し込む光が全体を照らしています。

エドゥアール・ヴュイヤール「ジェヌヴィエーヌ・ベルネーム・ド・ヴィレール」
1点を見つめる女の子。
椅子に腰かけ、足を組み、膝の上にノートを載せています。
じっと考えている様子です。
室内には様々な美術品があり、暖炉の上に飾られています。
茶系でまとめられ、落ち着いた印象です。

モーリス・ドニ「海辺の更衣室」
ドニは2回の結婚で10人近い子どもの父親となります。
子煩悩としてしられ、作品にも子どもたちがたくさん登場しています。
ここには男の子と女の子。
海辺の更衣室に入ってこようとする2人。
海辺の明るさが眩しい。
そして2人ともとてもかわいらしい。

モーリス・ドニ「ボクシング」
幼い兄弟が芝の上でふざけてボクシングをしている様子です。
そのポーズもかわいらしい。
思わず笑みのこぼれる、微笑ましい日常です。

モーリス・ドニ「トランペットを吹くアコ」
トランペットというより、ラッパ、ですね。
頬を膨らませている幼い子。
末っ子のフランソワ・ドニで通称アコ。
いたずらっ子のような笑みを浮かべているところもかわいらしい。
服の模様が装飾的で、ドニっぽさを感じました。

モーリス・ドニ「リザール号に乗ったドミニック」
船に乗った少年。
ドミニックは海が好きだったそうで80歳を過ぎてもなお、海に出ていたのだそう。
下から仰ぎ見る構図で描かれています。
風が吹き爽やか。
海の青と空の青も美しく、日差しも感じられる作品です。

以上が3章と4章になります。
ふう、、、
メモの字もそろそろ読み取りにくくなってきました。笑
そして。
迫りくる閉館時間!!(またかよっ!?)
次の「その3」が最後。
第5章と6章になります。



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