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ベラルーシの抗議活動 闘い続ける女性たち

2020-11-14 07:42:42 | 報道/ニュース

10月22日 NHKBS1「国際報道2020」


旧ソビエトのベラルーシ。
2020年8月の大統領選挙で不正があったとして市民が反発し
2か月余りたっても抗議活動が続き多数のけが人も出ている。
抗議デモが始まった当初
反政権派を率いていたのは女性リーダーたちだった。
しかし政権の圧力によって行動は制限され
抗議を直接率いることができない状況になっている。
それでも
後に続くように数多くのベラルーシの女性たちが起ちあがり
粘り強く抗議活動を続けている。
なぜ彼女たちは闘い続けるのか。

ベラルーシ各地で8月以降 週末を中心に続く反政府デモ。
野党勢力や言論に対する弾圧など
26年にわたって強権的な統治を続けるルカシェンコ大統領の退陣を求めている。
そのデモで治安部隊にひるむことなく立ち向かう女性がいた。
バギンスカヤさん(73)である。
手にしているのは
独立当時の赤と白の国旗。
自由で民主的なベラルーシを求める運動のシンボルになっている。
これまでに治安部隊に奪われること7回。
自身もたびたび身柄を拘束されていた。
ルカシェンコ政権は大規模な抗議活動を行なう市民に強硬な姿勢を崩していない。
地元の人権団体によると
これまでにデモに参加者 のべ1万5,000人が拘束されている。
後ろ盾となっているロシアのプーチン大統領は
選挙結果を容認し
経済支援などを提案している。
こうしたことを背景に政権側はさらに弾圧の手を強めている。
バギンスカヤさんは“今後の外に出て抗議活動を続けるべき“と覚悟を決めている。
(バギンスカヤさん)
「政権はファシズムになり
 この国や他の国にとって安全ではない。
 ルカシェンコはプーチンの操り人形で彼の言うことしか聞かない。」
バギンスカヤさんはソビエト時代のベラルーシに生まれた。
若い頃のバギンスカヤさんは
粛清や政治弾圧の実態を暴いた地下出版物を監視の目をかいくぐって読み漁っていた。
国家の暴力には一貫して反対してきた。
(バギンスカヤさん)
「共産主義者らに同胞が射殺されていた。
 知識人や作家 詩人 画家 若者らが狙われた。」
1991年のソビエト崩壊で独立を果たしたベラルーシ。
それもつかの間
権力を握ったルカシェンコ氏のもとで民主主義が実現することはなかった。
ソビエト時代に戻ったかのように弾圧を強める政府。
バギンスカヤさんの体力も弱り外出を控えてきたが
若者たちの行動に後押しされ
外に出て活動するようになった。
8月の選挙直後
大勢の若者たちが路上に集まり不正を糾弾。
混乱の中で1人の若者の命が失われた。
(バギンスカヤさん)
「若者は(白赤白の)国旗を持った人に近づき
 ゴム弾で命を落としたのです。
 年老いた私には毎日は難しいがミンスクの広場で若者たちと一緒にいたい。」
バギンスカヤさんの姿に突き動かされた女性もいる。
デザイナーのナタリアさん(31)である。
(ナタリアさん)
「おばあちゃんがデモに行っているのに
 家にいるわけにはいかないでしょ。」
ナタリアさんがグラフィックデザインのスキルを生かして作ったのTシャツである。
このTシャツには
心臓を握った手と
“あなた自身が抵抗だ”という文字が描かれている。
“心臓が動く限り抵抗を続ける“というメッセージを込めた。
このTシャツを着ていれば
治安部隊の取り締まりを逃れながら抗議集会に参加できるという。
(ナタリアさん)
「ポスターを持って歩くと無許可の集会になってしまいますが
 Tシャツは服のデザインにすぎないので
 着ていれば
 散歩の途中と言えます。」
Tシャツで街を歩くようになったナタリアさん。
抗議を続けることで変えたい価値観がある。
(5月 ベラルーシ ルカシェンコ大統領)
「私たちの憲法は女性のためのものではないのです。
 そして私たちの社会は女性に投票するほど成熟してもいません。」
(ナタリアさん)
「“女性の居場所は政治にない”
 “女性は何も解決できない”と彼は言い続け
 ずっと無視されてきたのです。」
国連によると
“ベラルーシではデモなどに参加した女性が性的虐待を受けた事例も報告されている”ということである。
そうした危険をおかしてナタリアさんは街に出て声をあげ続ける覚悟である。
(ナタリアさん)
「抗議活動で暴力を受け字で体中青くなった人たちを見て
 私たちはデモに参加するようになりました。 
 殴られたり性的虐待を受けたりするのは嫌ですが
 それでも今やる他ないのです。」
当局の弾圧が続くなか
大規模な抗議活動で知らぬ間に拘束され行方が分からなくなる事態も起きている。
こうした人たちをITの技術を使って支援しようという女性がいる。
企業の業務支援ソフトの開発に携わってきたプログラマーのダリヤさんである。
(ダリヤさん)
「私たちは抗議活動に失敗したら移住しなければならない。
 生活の自由などを犠牲にしても闘うのです。
 この国にとどまり続けるために。」
ダリヤさんは今
デモで拘束された人の家族を支援するため
プロジェクトにかかわっている。
ダリヤさんたちが運営するSNSのサイト。
サイトには拘束された人の名前 日付 場所 どこの収容施設に連行されたのか
最新の情報が表示される。
(ダリヤさん)
「みんな自分に何ができるか
 考えるはずです。
 誰だって国のために行動して貢献し
 国がいかに良くなるか見たいのです。」

 

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