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香港 国安法に揺れる2つの“民主派”

2020-11-21 07:18:54 | 報道/ニュース

10月28日 NHKBS1「国際報道2020」


国家安全維持法が施行されて以来
香港では
民主化を求めて反政府的な立場をとる民主派の人たちに対する取り締まりが厳しさを増している。
実は民主派は一枚岩ではない。
2つのグループに分かれていて
民主化への考えの違いが際立ちつつある。
1つは31年前の天安門事件をきっかけに運動を続けてきた
母国である中国を民主化することが香港の民主化につながるという従来の民主派
もう1つは若者たちを中心に存在感を高める
香港と中国は別であり“香港人としての民主化”を求める人たち。
中国を切り離し自分たちの本土は香港だとして
自らを“本土派”や“抗争派”などと呼んでいる。
2つのグループはこれまで考え方に多少の違いはあっても
同じ民主化という目的に向かい協調して大規模なデモなどを行なってきた。
しかし国安法によってそれも難しくなった今
双方の隔たりが露呈する場面が増えている。

10月1日
中国の建国記念日にあたる国慶節を迎えた香港。
街なかではそれぞれ違う場所で2つの抗議活動が行われていた。
時に強硬な姿勢も辞さない立場で警察と対峙してきた本土派。
多くの若者たちが民主化を訴えてきたが
“違法な集会に参加した”などとして90人ほどが逮捕された。
一方 平和的なデモなどを通じて訴えを続けてきた従来の民主派。
「1党独裁をやめろ!
 民主中国を建設しろ!
 人権を返せ!」
毎年恒例のデモを行なって
中国の民主活動家や人権派弁護士らへの弾圧をやめるようや中国政府に訴えた。
新型コロナウィルスの感染防止を理由とした“5人以上の集会禁止に違反”しているとされ
罰金の切符が切られた。
従来の民主派の中心メンバー 李さん(63)。
李さんが中国の民主化にこだわるようになったきっかけは31年前の天安門事件。
民主化を求めて立ち上がった学生たちに共鳴し北京に支援に駆け付けたものの
香港に戻ろうとしたところを逮捕された。
李さんは6年前
事件の風化を食い止めたいと香港で天安門事件の記念館を開設。
国安法の施行後は展示資料をデジタル化を進め
当局から閉館を命じられる事態に備えている。
館内には香港の若者たちが主導した去年のデモに関する展示も。
天安門広場の若者たちと香港の若者たちは
同じ目的を共有していることを伝えたかったからだという。
(従来の民主派 李さん)
「私たちは天安門事件をずっと伝えてきました。
 2つの運動は非常に似通っています。
 当時の中国の市民と現在の香港の市民は同じ目標を持っています。
 私たちは中国人ではないと思っても
 運命共同体から切り離すことはできません。」
しかしそんな李さんと異なる立場で民主化を主張するのが本土派の人たちである。
本土派として去年の区議会議員選挙で初当選を果たした 梁さん(23)。
従来の民主派とは運動の方針が根本的に異なると感じている。
(本土派 梁さん)
「多くの若者たちは過去1年の経験で
 一国二制度は終わったと考えています。
 従来の民主派がなぜ腐った制度を生き返らせようとするのか理解できません。」
梁さんが香港人としての民主化にこだわるようになったきっかけは2012年。
繁華街にあった高級ブランド店で
中国本土からの旅行者には許可された写真撮影を香港の市民が店員に制止されたのである。
店に抗議しようと市民が殺到した。
(本土派 梁さん)
「ふざけた話です。
 どうして香港人が劣った存在になってしまったのか。
 あのときから香港人と中国人の関係について考えるようになりました。」
中国の影響力を排除することが
香港の民主化を実現する最善策だと考える梁さん。
こうした本土派への支持は去年の抗議活動以降 急激に拡大。
10代20代の若者では
この1年で従来の民主派をしのぎ半数近くにのぼっている。
従来の民主派と本土派の意見の違いは
香港政府が立法会の議員選挙を1年延期すると決めた際にも鮮明になった。
親中派が多数を占める議会をボイコットすることで抗議の意思を示そうと
梁さんたち本土派は
“すべての民主派議員が辞職すべきだ“と主張。
これに対し従来の民主派からは
“議会に残って主張すべきだ”という声があがったのである。
(本土派)
「我々は議会の外で行動を起こせばいい。」
(従来の民主派)
「議会の中と外で行動すればいいじゃないか。」
結局多くの議員が留任の道を選び
李さんたちの訴えは届かなかった。
“香港の民主化”という同じ目標を掲げながらも
違いが際立つ2つの民主派。
国安法による締め付けが強まるなか
互いの違いを認め手を携えることができるのか。
課題が突き付けられている。



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