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王室改革を訴えるタイの若者たち

2020-09-26 07:00:00 | 報道/ニュース

9月7日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


“微笑みの国” タイ。
学生などによる反政府デモが各地で起きている。
政権批判だけでなく
これまで絶対的な権威とされてきた王室の改革を求める声があがる異例の事態となっている。

タイでは今年7月以降 連日のように各地で抗議集会が開かれ
8月16日に行われた集会には1万人以上が参加し
6年前のクーデター以降最大規模となった。
この場で学生たちが訴えたことの1つが王室の改革である。
タイでは王室を中傷することは厳しく禁じられ
違反すると不敬罪に問われ
最長で禁錮14年が課される。
議論することすらタブー視されてきた王室のあり方に言及した今回の抗議活動。
その背景に何があるのか。

タイの国民にとって大きな存在なのが
2016年に亡くなったプミポン前国王である。
70年にわたって在位し
国民の絶大な尊敬を集めた。
(法政大学 浅見教授)
「1960年代 まだタイが貧しかった時に
 一番貧しい農村を積極的に訪問して
 農村の人たちの暮らしを改善できるようさまざまな開発プロジェクトを
 国王が直々に行ったと言われる。
 タイはこれまでにもクーデターとか大きな争いがあったが
 最終的には
 プミポン前国王が調停に出て軍人に自粛を求めて収めることがあった。
 そういったことから
 タイが混乱したら最後はプミポン前国王が収めてくださる。
 特に1990年代からプミポン国王をある意味“神格化”する動きが出て
 プミポン国王自身も
 それに合うような立ち居振る舞いをしていたこともあり
 非常にカリスマ性のある国王になった。」
プミポン前国王が亡くなり
ワチラロンコン国王が即位してから約4年。
若者たちの一部は
王室へのひぼう中傷を罰する不敬罪の廃止や
国王の神格化教育の禁止など
10項目にわたって王室の改革を訴えている。
なぜいま若者たちはタブーを起こしてまで変化を求めているのか。
(法政大学 浅見教授)
「特にこの時期高まった理由として新型コロナウィルスの問題がある。
 タイはもともと観光業が盛んな国で
 外国からの観光客が入ってこないのはタイ経済に大きなダメージを与える。
 高校生とか大学生がデモや集会の中心になっているが
 口々に自分たちの将来が心配だと言っている。
 タイ経済は新型コロナウィルスで非常に大変な状況なので
 有効な対策を打ち出すことができない政治指導者への憤り
 不満
 失望がある。
 それに重ねて
 たくさんの予算を無駄に使っているように見える国王への不満。
 そしてその国王に対して何も言えないプラユット首相への不満が重なってくる。
 2016年にプミポン前国王が死去してから
 新国王になったワチラロンコン国王はいろいろ言動に問題がある。
 よくあげられるのはタイ国内にいないということ。
 国王が多額のお金を海外で使い続けてることへの憤りが
 新型コロナウィルスの問題が出る以前よりさらに強くなっている。」
抗議活動は首都バンコクのみならず地方でも行われている。
若者たちはネット上で連携し活動を広げている。
(法政大学 浅見教授)
「夕方になって学校や会社が終わったら自発的に来て
 夜になったら次の日学校や会社があるから帰るというデモ。
 これまでよりも人数は今の時点では少ないが
 かなり自発的に
 しかも若い人たちが参加している。
 ツイッターのトレンドでは
 4~5日に1回は王様を揶揄する
 あるいは王室に対する不満を表すハッシュタグがトップ5に入る。
 これだけ一斉に言えば捕まらないということで
 集会の際に結構掲げるようになった。」
抗議活動が広がりを見せる一方
王室を擁護する人たちからは反発が起きている。
8月30日にはバンコクに数千人が集まり
“王制を破壊しようとする行為は許さない”と訴えた。
(法政大学 浅見教授)
「タイ国民が一致団結していま改革に向かっているのであれば
 改革は秒読み段階だが
 必ずしもそうではない。
 やはりこれまで自分の人生でずっと国王を崇拝してきたものを
 急に変えることに対する彼ら自身の心の問題として
 整理がつかない人の割合は少ないが絶対数はかなりいる。
 2016年にワチラロンコン国王が即位してから
 いまの3軍(陸海空)の上層部は
 国王に非常に忠誠心が強い人たちで固められている。
 これまでの対応策では生ぬるいと感じた国王や周辺の人たちが
 強硬策をとってもいい
 とるべきだと考える軍人に
 クーデターを起こさせることも可能性としてささやかれているため
 その辺が最悪のシナリオだろう。
 双方が自生しないと大変な事になるという危機感を
 タイ人が抱き始めている。」


 

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