8月24日 NHKBS1「国際報道2020」
アフリカでもっとも感染者が多いのが南アフリカで
60万人を超えている。
アフリカ全体で100万人を超えた感染者について
WHOは実際にはもっと多いという見方を示している。
WHOはアフリカにおけるぜい弱性に繰り返し言及している。
その1つが検査体制のぜい弱性である。
感染者数がアフリカで最も多い南アフリカは検査を積極的にしているが
それでも大統領は演説で
「把握しきれていない感染者がいる」と指摘している。
アフリカで最も医療水準が高い南アフリカでもそうであるから
他の国でも把握できていない感染者が大勢いるとみられている。
もう1つが感染対策のぜい弱性である。
アフリカでは住宅が密集し社会的距離を取ることが難しい地区に暮らしている人も多く
そうした地区では水道の整備も進んでいない。
水道がなく
人々は手を洗うには給水車の水や雨水に頼るしかないという。
こうした課題に対して日本が協力している取り組みもある。
長年 地道に行なってきた支援が検査や感染対策で注目されている。
西アフリカにあるガーナ。
人口約3,000万人。
首都アクラに
新型コロナウィルスの検査で中心的な役割を担っている研究所がある。
野口記念医学研究所である。
黄熱病の研究でこの地を訪れ
1928年に亡くなった細菌学者の野口英世。
この研究所はその業績を記念して約40年前に設立され
日本の協力で運営されてきた。
ここでは120人の職員が
JICA(国際協力機構)の支援などで導入した検査機をフル稼働させて検査を行なっている。
ウィルスの研究者で日本でも研究経験があるポクさん。
仲間とともにこれまで30万件以上の検査を行なってきた。
国内でこれまで行われた検査の約8割にあたり
感染実態の把握に貢献している。
(野口記念医学研究所 ポクさん)
「ガーナでの検査体制の最前線に立てるのは光栄なことです。
この厳しい時期に人々と国を助けられるなんて
人生に二度とない特別な機会です。」
日本の支援を発展させて衛生環境を改善している国もある。
世界で最も貧しい国の1つであるコンゴ民主共和国。
人口のおよそ半数が自宅などに“手を洗う設備がない”と言われている。
そんななか今年5月に登場したのが自動手洗い装置である。
蛇口に手をかざすと水やせっけん水が自動で出る仕組みである。
センサーに顔を近づけると体温を測定できる。
「どこの触らずに体温まで測れるなんて
すばらしいです。」
装置を開発したのは首都キンシャサにある職業訓練学校である。
日本人の専門家から学んだコンゴ人の教師たちが
溶接や自動制御などの技術を教えている。
装置を開発した教師の1人 チバンベさん。
学んだ技術を生かして地域に貢献する方法はないかと考えた。
(職業訓練学校教師 チバンベさん)
「JICAの人から学んだ知識で電子回路を組み
センサー付きの手洗い装置を作ることができた。
この装置を作れて誇りに思う。」
スーパーマーケットや病院などに設置されているこの装置。
今後さらに90台以上設置される計画である。
(JICA コンゴ民主共和国事務所 所長)
「コンゴの人たちが自分たちの発意で自分たちの問題を解決し
尽力している姿を見ること
まじめで熱心な人たちと一緒に働けることは
大きな喜びです。」
アフリカではぜい弱な状況に立ち向かう人たちが大勢いて
支援するのは同じ国際社会の仲間として当然のことだが
日本の存在感を高めることにもつながっている。
(JICAガーナ事務所 次長)
「いまガーナで“ノグチ”と聞いて
この研究所を知らない人は1人もいないくらいに非常に有名になったので
日本人としては誇らしく思います。」