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被爆前の広島 よみがえった町並み

2020-09-04 09:51:36 | 報道/ニュース

8月20日 NHK「おはよう日本」


終戦から75年。
戦争の記憶をどう伝えていくのか。
この大きな壁に広島の高校生たちが最新技術を使って挑んだ。

店がぎっしり連なった商店街。
75年前 原爆が投下される前の広島の爆心地近くの町並みである。
原爆ドーム。
空を見上げるとB29の姿が。
原爆が投下された直後
あたりが真っ暗になり一瞬で炎に包まれた様子を再現している。
CGを制作したのは広島県立福山工業高校の生徒たちである。
指導する長谷川先生は
「普通の暮らしが失われた現実を理解することで
 平和の大切さを感じてもらいたい」と
11年前このプロジェクトを始めた。
(福山工業高校 長谷川先生)
「大勢の方がなくなっていったんだという
 ひとつひとつのプロセスそれから生活
 そういうものを生徒たちが感じ取ったうえで
 作品作りをしてもらいたい。」
4年前にはVR(バーチャルリアリティー)の技術を導入した。
約1,5kmの範囲で再現した被爆前後の町並みを散策することができる。
まず町並みのCGを制作するため
再現する建物や風景に関連した資料を探し出す。
そして航空写真や設計図など複数の資料から建物の形を割り出し
空間を作り上げるのである。
プロジェクトへの参加が平和について考えるきっかけになったと考える3年生がいる。
もともと興味があったVRの制作を通じて
身近に感じられなかった原爆の被害について真剣に考えるようになったという。
大切にしているのは被爆者の生の声である。
「被爆者の方々が手記として残されているものを
 僕たちがまとめたもの。
 大体400人分くらい。」
“火と煙の竜巻がビルの中を通り抜けた“
“太陽はなく周囲はすっかり火の海”
被爆直後の様子を理解しようと
ありのままの惨状を語った証言を読み込む。
さらに町並みを忠実に再現するため
被爆者からも直接 話を聞き取った。
(福山工業高校 3年生)
「こんなことがあったんだ恐ろしい場所だったとしっかり理解しないと
 僕たちが作るものが空虚なものになってしまうので
 しっかりと自分なりの考えを持つという意味でもこの作業は重要。」
再現した町並みはVRの技術を使って被爆者にも体験してもらう。
爆心地近くに住んでいた森富さん(90)。
生徒たちが参考にした昔の風景画を描いた。
「赤いポストのところ こっち側だったと思う。」
「あ 逆ですか。」
「色がもうちょっと ああいう明るい色ではなかった。
 くすんだえんじ色。」
守富さんの指摘で
郵便局に設置されたポストの位置や壁の色を修正した。
こうして完成した当時の町並み。
広島市元安橋から原爆ドームを眺めた風景。
川幅や護岸の高さも当時のままである。
呉服店の看板や書体の文字も可能な限り忠実に再現したという。
VRには現在の町並みの写真を組み込み
比較できるよう工夫されている。
(福山工業高校3年生)
「ぼくたちが大事にしたいのは市民目線・暮らしていた人目線で
 当時こんな町並みがあったんだということを
 しっかりと見ていただきたい。」
「被爆者の方々から伝えてもらったその戦争の当時の恐ろしさや様子を
 今度は僕たちが御のVRとかを用いて伝える側になっていく。
 今後の未来に生かしていく。」

生徒たちが作ったVRは国内外で広く公開されている。
長谷川先生は
「被爆前の広島の町をVRで体験してもらい
 人々の日常があった戦争の現実や
 平和の尊さを考えてほしい」と話している。


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