植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

球根を暖める

2020年12月02日 | 植物
 12月となり、少しづつ寒さを実感いたします。人間ならば、あるったけ着こんで、ホッカイロを貼り、それでも足りなかったら部屋にこもって暖房を焚けばいくらでも暖かくなります。更に、ちょいと熱燗でもつければもう寒さなどは吹っ飛んでしまいましょう。

 コロナのせいで、外出が憚られ、今年は飲み会も無し、友人たちと会う機会も失せてひたすら自粛するしかありません。今は、スマホのお陰でネットやSNSで、いつでも連絡を取り合うことが出来、近況や情報交換なども容易に出来るようになりました。ワタシらの若い頃は、家の固定電話しかありませんでした。彼女とデートの約束するにも彼女の住む自宅に電話すると、かなりの確率で不在、ないしは親が電話に出るということがありました。無軌道な交遊などはおのずと制約がありましたな。今時の若者は恵まれとる(笑)。

 九州に住む小中学校の同級生などとも、最近ではLINEを通じて、毎日やり取りをしております。それまで、40年間以上会うことはおろかお互いの連絡先も消息も分からずにいました。10年ほど前から、気持ちや時間、経済的なゆとりが出来て九州に帰省することが増えました。友人たちと徐々に連絡を取るようになり、同級生が営む寿司屋なんかで再会を果たし、還暦の記念の同窓会を期に、中学校卒業以来、一度も会うことが無かったかつての学友と肩をたたき合い「旧交を温めた」のです。爾来、事あるごとに写真を贈ったり、音楽を聴いたり、家族のお祝い事まで共有しあうような仲であります。

 先日、かつての勤め人時代の同期に手紙を出しました。彼は、歳は二つ上で、新入社員の頃「うま」があって独身寮でよく一緒に飲みました。以降は職場も離れてたまにあっても立ち話程度でしたが、50歳を過ぎたころに彼は早期退職して郷里に帰りました。その後、なんと、地方の小さな市の市長に立候補し当選したんです。かつての飲み仲間、友人が活躍しているのは嬉しいものです。2期8年勤めて、残念ながら選挙に敗れたことを知り、10年以上絶えていた交友でしたが、ここで連絡を取ることを思い立ちました。久しぶりに旧交を温めたいと思い、元気なうちに一献傾けるのもよかろうと。

 それはともかく、寒くなって心配するのは旧交ならぬ「球根」であります。水仙、百合、ムスカリ、サフラン、フリージャ、クロッカスなどを辺りかまわず植えていて、夏冬関係なく植えっぱなしです。

 問題は、冬の寒さに弱い球根植物です。球根類と言えばどんどん地中で分球し際限なく増える植物という印象がありますが、さにあらず、なかなか気難しい種類も多いのです。例えば、件の友人の住む長野でほとんど栽培されるラナンキュラスなどは、球根植物とはいえ、小指の先ほどの小さな球根です。多湿高温に弱く乾燥も嫌う、すぐに枯れてしまうか弱い植物です。ダイヤモンドリリー(ネリネ)なんかも、群生するほど上手に育てないと花が咲きません。

 概ね球根でよくあるのが過湿嫌い。丸く大きく進化した球根は、乾燥して痩せた土地で生き抜くための知恵の一つです。

 葉や茎が伸びる根元は土中です、気温や季節の変化で地上部が枯れた時、球根の上部は枯れた茎葉から細菌が入りやすく腐りやすくなります。乾燥した地面で進化した植物は、濡れて湿った土は大敵なのです。また下部から伸びるひげ状の根も、過湿を嫌います。球根に限らずほとんどの植物の根は呼吸し、根から酸素を取り込みます。水に浸かるとそうした根は呼吸できず根腐れします。胡蝶蘭などの洋ランのほとんどは、水のやりすぎが原因で根腐れして枯らしてしまうのです。

 冬場は、過湿の心配はさほどありません。しかし、熱帯性・亜熱帯の球根類は、寒さで傷むだけでなく完全に枯れ死する植物も多いのです。ワタシの育ててるものでは、アロカシア、アマゾンリリー、チューベローズ、アシダンセラ、クリダンサス、ツバメ水仙、スパイダーリリーというところです。気温が10度を下回るようになったら順次対策いたします。これらはすべて鉢植えにしています。地植えして掘り上げて冬越しさせる、といのはいかにも手間がかかります。うっかりガーデナーのワタシは、土中にある球根類は名前はおろか存在すら忘れています。気づかずに土葬なんていうのはシャレになりません。

 耐寒性の低い植物は、温室か鉢植えしかありません。アロカシア、アマゾンリリーなどは、観葉植物扱いなので、一年中室内に置いて育てるというのが一般的です。うまくやれば、地上部を残したまま越冬できます。
 
 非耐寒性の球根類は、抜いて洗ってもみ殻に埋める、鉢ごと室内に置いて水を切る、温室に退避させる、に分けます。仕分けはまぁ、勘と経験というところ、日に当てる必要はなく、水やりして地上部を枯らさないようにするかで分別します。

 そこで、ワタシの泣き所、植物名の分からない球根類です。自慢じゃありませんが、もはや何割かは植物名が不明、花が咲いても結局分からないという鉢植えやプランターが方々に存在します。鉢植えだから非耐寒性とも限らないのです。こういう時、簡単な識別は、地上部の葉っぱです。この時期に青々と葉が残っているもの、新芽が顔を出しているのはほぼ屋外で大丈夫。いつの間にか黄色くなって溶けたり枯れ始めているのは大体非耐寒性で屋内退避、と考えています。

 ある程度耐寒性があっても、厳寒期に球根が凍るものは枯れます。日本の風土に合った球根類はだいたい凍らないよう、球根の水分が少なくなっているようです。一方ダリア、グラジオラス、クルクマ、などは、普及種ですが屋外で冬を越せないケースが多いのです。屋外に置いたまま冬越しさせるなら、最低でも不織布で覆う、腐葉土やもみ殻のマルチング、軒下への待避となどとなりますが、絶対大丈夫という保証はありません。理想は、一年中温度調整が出来る大型の温室、高さ4~5M、10坪以上あればこんな幸せはありませんが、農家でもなければ無理な相談です。温室の要らない沖縄あたりに移住する、というのはさすがに非現実的です。

 鉢物のあらかたの対策、移動が終わりました。まだはアマリリス、アシダンセラなどが寒さに震えて待っています。あぁ、早く暖めてやらねば。

 持つべきものは友達と、温室であります。

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