植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

 幻の印材を求めて 緑の石・凍石を漁る

2022年11月10日 | 篆刻
自称「篆刻家(前座)」のワタシであります。

ワタシがヤフオクで印を集める目的・対象は以下になります
①自分の練習用に安く一度に大量に集める=刻のあるなしに関わらず印材まとめてを落札する。一本あたり数十円から数百円
②将来注文があった時に備え、1本500円~3千円程度の良材・紐付き印材
③石材研究の基礎として、出来るだけ多くの種類のヨウロウ石を収集する。
④書道家・篆刻家の作と思える側款がある印=観賞用・作印の勉強材料
⑤コレクションに値するような美しく珍しい紐・薄意がある古印
⑥田黄・鶏血石・芙蓉石という三宝、あるいは印材の本に出て来るような、特別な坑・場所から産出する珍石、資源の途絶えたような石を探す
⑦数十年から200年ほど前の時代物で、著名な篆刻家・作家の側款がある骨董価値・文化財レベルの逸品
といったところであります。※下に行くほどその平均落札価格は高くなります。

既に①②に相当する印は3千個以上ありますので、現在は、中にいくつか値打ちものが混じってる出品、ちゃんとした書道具店・書道家さんなどから出されたようなものでないと手を出しません。
⑥⑦になると最近の円安・物価高を反映したか、あるいは中国人バイヤーが手出ししているせいか、入札額が暴騰しておいそれと参加できません。最低でも3万円は覚悟しなければなりませんし、⑦クラスだと軽く10万円を突破します。

そこで自然と④⑤が現実的なねらい目となります。実際はもう2ランクくらい上の素晴らしい出品群に遭遇し、30数件には入札たのですが、一桁足らず、あえなく撃沈し一つも入手できなかったのです。
今月に入って3件、10個の印を落札しました。落札したその合計額は5万円弱でありました。印1本あたり5千円なので、ワタシにとってはなかなか高額、本格的な印蒐集家にとっては、あまり興味を示さない価格帯の品物であります(笑)。

そこで、その10個の品定めを致しました。(つまり実際入手した上で、5万円の投資に見合ったかの検証であります)
箱なしは4つ、箱があっても価値が高いかは別物です。

まず第一グループ(同じ方からの落札分)でそれぞれ5千円でした。
後ろの大きな灰色の印は「丹東黒緑凍石」と表示されていましたが、市販されているその種類の石の2㎝角の角材は千円前後です。それと比較して同種とは思えないのです。どちらかと言えば高級材「牛角凍」に近いような。丹東でも、その3倍以上もある大きさ(重さ)と雰囲気のある獅子紐からしたら、妥当な金額でしょうか。

右側は全体に簡単な薄意(側面に彫るレリーフ)があり、微透明の乳白色、ほんのり温かみのある朱が混じるといった石で、「寿山石」との表示がありました。これは、寿山峡山系でも「月洋郷」で産出する名石「芙蓉石」で間違いなかろうと思います。簡素な薄意、多少の雑味があるので1流の芙蓉石とは言えないまでも、立派な石であり最低でも1万円以上の代物と見ます。

問題は手前の(説明書きでは)「凍石」であります。印材では凍石という種類の特定の石はありません。様々な種類の石の中それぞれで透明感のある艶ややかな外観のものに後付けしているようです。前述の丹東緑石しかり。高山凍、昌化彩凍石、沈陽凍石、広東緑凍石、パリン凍石などいくらでもあります。ワタシがにらんだのは「水晶凍」ではなかろうか、でした。ワタシの収蔵品の中に、実は紛れもない水晶凍と言える石が無いのです。水晶のように透明感が強い(らしい)のですが、希少材と見えてヤフオクでもほとんどヒットしません。これが水晶凍ならば、ワタシにとっては掘り出しものであります。

ワタシの見るところ、この出品者は石印材の知識は浅く、いささかその価値や材質を見誤っているように思いますね。


次は第二グループ。後ろの二つが各3千円、下の角材が8千円でありました
説明では写真右が寿山石・人物紐との説明。この石は、黒灰色の基礎部分と胴体が茶色・半透明な顔と分かれている可愛らしい石で、さほど高価なものでは無かろうと思います。
写真の左は「青田澄光凍・封門」などと謳い文句が連なっておりました。本当なら封門鉱から産出された希少な材も滅多に出回ることのない超希少材です。人類最初の石印材は青田の澄光凍であるといわれていて、とっくにこの世には現存しないそうです(笑)。似たような石が7千円位で売られていました。

それでも、真ん中の白っぽい石は、第一グループの「芙蓉石」に極めて近い材と思えます。出品物の説明にも芙蓉石と書かれていて、小ぶりながら頭頂部には精緻な飾り彫りもあります。

これらは少し誇大広告気味ではありますが、それなりの品々とみて計14千円は妥当なところでしょうか

最後の第3グループ。上の3個で14,500円、下の写真は1個11,500円でありました。


この出品者さんからは、過去数回印材を落札していて、他では見られない興味深い品が多かったのです。
上の写真、左は比較的最近の石・一般的な寿山石ですが、蟹の紐が丁寧で美しいのです。これまで手持ちには蟹紐の石が無いので、満足しているのです。

真ん中の灰色の半透明の石は牛角凍に近い種類とみえます。白い紋様に茶色の夾雑物があって観賞用になるような素材では無かったのでしょう。それでも自然石の形で、側面全体に簡素ながら薄意があるのは、駄石とは異なるものであります。
右の長細い石も同様で、半透明白と赤色系・黄土色などが混ざり合った良石全面に、きちんと薄意が施されており、これだけで1万円くらいの価値があるように見えました。

最後が、緑色半透明の自然石形の石で、木の台座が付いています。この出品者さんには以前も同じような品が出ていてワタシが落札しました。今回の石は字とも図柄ともつかない彫りが印面に刻まれているのです。これが1万円以上の価値があるかは正直分かりません。(今後更に研究したいと思います)ワタシは、緑色の石がお気に入りなので、優先的に落札しています。「艾葉緑」「楚石」「田黄緑」など緑を基調とした超高級石・幻の石にいつか巡り合いたいと願っているからです。

結果として、総額5万円(一個5千円)は決して高いものではなく、駄石をつかまされたとはいうことは無かったので安堵しております。上のカテゴリーで言えば⑤⑥に該当するものでありましょう。





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