植物園「 槐松亭 」

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筆だけなら書道家並み 幻の筆・幽玄斎

2020年11月18日 | 書道
ヤフオクで落札した古筆が昨日到着いたしました。

 書道を続けていて、半紙・半切・墨汁は消耗品なので、良質な手漉き半紙などは、少しでも安く大量に買う必要があります。半紙は、ひと月およそ1000枚を消費します。定期的にヤフオクで補充しますが、これは定価で書道店から購入するよりはるかに安上がりなのです。当然古い紙でシミや汚れ劣化もあり、機械漉きの劣悪なものも中には混じってきますが、これは織り込み済み、当たりはずれがあっても、均せばお得な買い物になります。
 
 問題は筆です。筆は、極端な話、漢字の半紙・半切用なら2,3本あれば事足りるのです。しかし、書体や字の大きさなどに応じて、それに適した筆毛や穂先の長さ・毛の量などの違いを選ぶようになるのです。筆の軸(筆管)の太さなども微妙に好みが出てくるのです。練習用や清書用にも使い分ける必要があります。
 すでに一本1万円以上の高級な筆だけで100本ほどあります。ほとんどがヤフオクで入手した古い筆で、平均的には、値札ラベルの2割程度の価格であります(古い筆でも案外このラベルが残っているものなのです)。未使用品はオークションでは定価の2,3割引きの値段なのでおいそれとは手が出ません。

 最初の腕前からしたら、学生用の数千円の安筆で事足りましたな。しかし、4年間みっちりと書道を続けると、筆の良しあしが分かるようになり、使いやすいもの、いい字が書ける筆に対する欲求が増してきます。そんなわけで、書き易い上級者用の筆を探しては落札する、を繰り返すようになったのです。

 楷書や隷書などの字は、鼬筆などの固い穂先がまとまる短い筆(短鋒)が適します。これは比較的安価です。ワタシの小遣いでも新品が買える位です。
 しかし行書・草書は柔らかな筆致、カスレや滲みを駆使した味わいのある書字が求められます。すると、上達するに従い、墨持ちが良い羊毛(山羊)の長鋒筆にシフトしていくのです。勿論こういう筆は扱いが難しく、上級者でないと使いこなせないのですが。

 最高級の羊毛筆は、中国揚子江の限られた地域だけに飼育されている雄山羊の髭(たてがみ)の毛「 細嫩光鋒」で作られます。この手の筆はその原料が貴重で入手困難であることと、繊細で墨含みが良いことから、中国でも日本でも高価なのです。ワタシの研究(笑)では、現在も市販されている普及品としては熊野筆、その老舗の「一休園」製筆が最も著名であると思います。久保田號といわれる高級品の中でも「寿昌・墨吐龍」がその最高峰です。一本数十万円するものもあります。わたしは、一本だけ相当古い細めの中筆をヤフオクで入手しました。

 そして、もう一つ、「幽玄斉」の 細嫩光鋒筆がトップクラスと考えて居ります。このブランドを使った筆は既に販売されておらず、数十年前に製筆を辞めてしまったと思われます。高級品なので滅多にオークションでも見かけません。以前高級筆ばかり「まとめて数十本」の中に紛れて入っていたのが「細嫩頂光鋒 白富士」と銘名された筆でした。「頂」の文字が入るとさらに質が良い細嫩光鋒筆なのです。筆管の先端を抑える水牛角の「ダルマ」が無いものは相当な年代物で、細い穂先の小振りな長鋒筆ながら、50,000円のラベルがついていました。

 そして、今回その「幽玄斉 大筆 中筆小筆7本 」まとめて出品されたのです。写真で見える値札は計241千円でありました。こんなことはもう二度とないくらいレアな出品です。今から約10日前に見つけて「必ず落札する」と心に決めました。予算は5万円まではいこう、と。例によって最終入札日に最低落札価格1万円は動かず、期限の1時間ほど前に一件入札がありました。残り30分になったところで辛抱できず、思い切って4万円の応札をいたしました。固唾をのんで見守り、もしこれを上回る価格が入ったら、更に値段を上げて競るしかない、と思っていました。

 そして、結局他の方は21千円で終わり、ワタシは、税込み23,651円で落札できたのです。
ヤッター  予定の半分以下、定価の10%弱で、この二度と手に入ることも無いような、貴重で高級な幻の筆をなんと7本も手に入れることが出来たのです。あぁなんという幸運でしょう。
これであります。
手前の5本が今回届いたもの(小筆2本は省略)、一番奥がすでにある「白富士」です。早速、丁寧にシャンプーして汚れや染みついた墨を落としました。これから試し書きいたします。

こちらは・・・サービス(蛇足)であります。



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