植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

やはり篆刻印は、彫ってもらう方が良さそう

2020年12月19日 | 書道
百聞は一見に如かずといいますが、聞いてみないとわからないものであります。

 先日、作品作りのための篆刻印をどうするか、暮れから正月のミッションとして、彫るかなどと思案しておりました。ついでに、手持ちの印材、先人(故人)の方が使用していたとおぼしき彫りのある篆刻印などを一所に集めて整理したり散らかしたりしておりました。

 それで、やはり彫ってもらうか、と考えてネットで探した篆刻のお店に行ってきました。灯台下暗し、当地平塚の徒歩圏に専門の店があったんです。
「はんこ 遊藝」さんであります。
 小一時間居座ってこの年寄りの世間話に付き合っていただきました。聞けばこのご主人は、神奈川県でも「4本」の指に入る高名な気鋭の篆刻家さんでした。ワタシは、てっきり代々続くはんこ屋さんがついでに篆刻もやっています、ということかと思っていましたが、そうではなく、若い頃から篆刻一筋で修練し、店を構え、サイドビジネスで一般の判子も作ります、ということでした。

 篆刻が何十年もやって一人前の印を彫れるとしたら、自分で満足がいく篆刻印を彫る前にワタシがお陀仏になります。印材と印刀をガン箱(棺桶)に入れてもらってあの世で修業するようですね。

 ワタシも暇つぶしで訪ねたのでは無く、実際のオーダーの流れやら、印材・印影をどうするか(意匠をこちらのサイドで考えるのか、自分の手持ちの印材持ち込みは?)など聞きたいことがいろいろあって、納得したら頼もうというわけです。勿論価格も気になります。

 WebのHPでは1万円~の表示がありました。そこらにプライスリストが表示されている類のものではなく、寿司屋で言えば「時価」という扱いです。印材・目的・字の大きさ・印材の大きさ・形状と硬さ、等を全部勘案した上で、時間と技術料を加えるのですから。

 一方、篆刻家さんの力量や業界の地位・名声、受賞歴などでも大きくその値段は左右されるでしょうね。当然任期の高い著名な作家さんに頼めば高くなるでしょう。もう少し付け加えるなら、「相手を見る」というのもあるでしょうか。

 師範や書道協会に名を連ねるような書道家さんの依頼だったら、これは篆刻にも気合が入り、依頼主にふさわしい力作を彫る、火花が散るような一騎打ちという状況になるかもしれません。どちらかが気に入らず何度か彫りなおそうというようなこともあるでしょう。そうなると、この力関係によっては、えらく高額になったりするような気がします。(あくまで想像ですが 笑)

 しばらく雑談の後、費用を尋ねましたら。少し間をおいて「3万円くらいですかねという」答えが返ってきました。相当な自信と実績がある篆刻のプロです。HPでの「1万円~」というのは一般的な認印や銀行印の値段という説明を受けていましたから、最低3万円、もし5万円といわれたらどうしよう、などとは内心思ってましたが、良心的でしたね。というよりも、店主は、「自分で篆刻印が彫れない貧乏くさい書道好きのおじさん(お爺さん)だったら、このぐらいだ」と値踏みしたのかもしれませんね。

 安くても高くても構いません。1万円だったら、その値段程度のハンコができてくるでしょうし、もし仮にそれが10万円だとしたら、篆刻家さん、ワタシがそれに相応しい書芸の力量とみた(誤解した)か、その位は払えるだろうと勘違いしたということです。

 条幅用に3万円は、いいところです。というより、ワタシの書芸のレベルから言ったらそんなりっぱな印はもったいないくらいです。
 ちゃんと専門家に作ってもらえば一生もの、ずっと作品に押せるのですから3万円は安いものです。これから20年使ったとしたら年間1500円でしょ。それに加え、自分でもあきらめず、篆刻をやる気十分なんです。手元に自分専用の名前を刻んだプロの手になる手本が出来れば、これを見倣って、ワンサイズ小さな「半紙用」の篆刻印を彫ることが出来ます。教材料だとみればお釣りが来ますね。

 昨日、週一度で今年最後の書道塾でした。師の藤原先生に、顛末を話し、「以前先生に篆刻印(姓名印)を自分で彫るのが書道の練習ですよ、と教わったので、そういうものかと思ったら、店主に、昔の書家はなんでも出来ましたが、今は作ってもらうのが当たり前。と言われました」と文句を言いましたら先生曰く
「あら、それは勘違いよ。私が篆刻をやってもらったのは、頼んで作ったら高い(値段)ので、自分で作ってみたら、と言ったんですよ。」
 分かりました、そうでしたか。はいはい、ワタシの勘違いでした。恐らく、書道を始めて1年やそこいらで止めるかもしれない、あるいは作品作りなんかに辿り着けないにかもしれないワタシに、勿体ないからとりあえず自分で作らせよう、と考えたんでしょうね。ご配慮、ありがとうございます。

 ともあれ、先日落札した、とっておきの印材を幾つか携えて篆刻印の作成を頼んでくることにいたしました。無論、篆刻は、やります。新たに印床(印材を固定し、片手で動かしながら印刀で彫る器具)をヤフオクで落札しました(千円)。老いてなお闘争心は盛んであります。


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