植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

今年こそは ぶどうをまじめに作る

2021年05月26日 | 植物
先日ようやくブドウの「ジベレリン処理」一回目を終えました。ブドウの無核化(種なしにする)大事な作業です。生産農家ならこれを手抜きすると種なしブドウの出荷対象とならないので規格外の安値で出荷する羽目になります。タイミングを外さないために、冬の選定作業から第何節で全部切りそろえるようにします。一斉に新梢が伸び同時期に花蕾をつけるための手間なのです。


 ワタシは、種があっても気にしない方なのですが、シャインマスカットなどは噛むと種が苦くて食べるのに邪魔なので、一応整粒した花をジベレリンの水溶液のカップに漬けます。引き上げてパパッと滴を振るうようにします。水滴が溜まるとそこから茎が撥ねてねじ曲がったりするので、なるべく均等にするのがコツなんですが、まぁそこは適当に。

 この後2週間以内にもう一度ジベレリンを使います。二度目はホルモン剤としての効果を出すためで粒の肥大化を促進いたします。フルメットという薬剤も同様の効能があるのでそちらを使ってもかまいません。実はすでに甲斐路の一部は花が咲き終わり膨らみ始めているのです。こっちもジベレリン処理しましたが、一回目をとばして2回目「接種」、種有りになるでしょうね。いずれにせよ種なしと果房の肥大化両方に使え、薬害もないという魔法の薬で、この恩恵は農家さんだけでなく、消費者も種のない大粒のブドウを食べられるようになりました。

 ともあれ、今年はビニール屋根でブドウ棚を覆うという念願がかない、全体の約7割が直接雨に当たらない環境になりました。欧州三兄弟(シャイン・ロザリオビアンコ・甲斐路)は葉っぱやブドウの実まで雨に弱く、病気を起こすのですが、今年からはそれが大幅に軽減されるのではないか、と期待に打ち震えております。

 黒糖病に罹ると、葉っぱは赤く枯れ茎も真っ黒に変色して腐ってきます。ブドウは袋掛けした中で黒い斑点が表面に点々とでてきます。すると皮が固くなり肥大出来なくなります。食味も甘さも落ちてくるのです。現実的には、何年も雨ざらしなので、すでにブドウ棚のメッシュ筋を含めてブドウの木全体にまんべんなくウィルスや病原菌が回っているのは間違いありません。これから数回、屋根の下で消毒液を浴びながら散布いたします。根絶できなくても殺菌剤を噴霧しただけ被害は軽減するはず、しかも、雨降りにさらされなければ、病原菌の繁殖を促進・媒介する水分が葉や茎につかないので病気も広がらないはず、なんです。

 シャインマスカットの棚は幹を中心に一辺約3mのビニール屋根がありそこから四方に1m前後ツルが伸びはみ出しております。これは適宜剪定したり屋根の下に誘引します。周囲が濡れて病気になっても仕方ない、ブドウも生らせないようにします。そこからつるを伝って全体に水が回りさえしなければ大丈夫ではないかと素人園芸家は考えているのです。

 これで安心は出来ません。昨日ついに憎いあいつを発見いたしました。
コガネムシ」であります。葉っぱをぼろぼろに食い尽くすコガネムシの大好物はブドウの葉っぱやバラの花です。桜やスモモ、あじさい、ゴーヤの葉にも集まります。大挙してやってきてほおっておけば半日居座ります。コガネムシの黒い粘液上の糞は病気の温床になるだけでなく、その臭いが仲間を呼び寄せます。葉っぱを失えばブドウは光合成出来なくなります。

 更に、コガネムシたちは腹を満たせばすぐに交尾いたします。メスは卵を地面に産み付けるとそのまま息が絶えるのです。20個以上の卵から孵った幼虫たちは、今度は土中を動き回り腐葉土など有機物を食べ漁るのです。当然地中を移動し、あたりかまわず齧るので根を荒らし、最後は根を食べつくします。早い話が、親子でとんでもない植物荒らしなのです。

 対抗策は1農薬 2ネットで防護 3ハウス栽培 4毎日手足で駆除となりますが。ワタシは当然4の人力駆除です。毎朝ブドウの棚をゆすってパラパラ落ちてきたコガネムシを踏み潰すか手で捻る、をむこう3か月続けるのです。
 1の農薬は自分が無農薬のものを食べたいので極力避けています。ネオニコチノイド系の農薬ならば浸透移行性(葉や根から吸収し植物全体に成分がいきわたる)があり、持続(残効) 性(1か月くらいか)も長いので農家さんは挙ってこれを使いたがるのですが、やはり劇薬指定の農薬ですから人体への影響もないとは言い切れません。また、世界的なミツバチの減少の原因ともいわれているので、使用をためらっています。

 ネットで葉を守ろうとすれば上下をすっぽりと覆わなければ意味が無いのですが、これはワタシの知恵と力の及ぶところではありません。ましてやブドウ用ハウスを構築することは、金がかかりすぎて非現実的なんですね。

 今朝は雨、いつもなら雨降りはコガネムシ退治は出来ません。が、しかし。今はビニール屋根が出来ているので、ぶどうの棚をゆすっても、びしょぬれにならずに済みます。毎年、ブドウは病気になり房も粒も小さい出来損ないでありました。今年こそちゃんとしたブドウを作りたいのです。さてあいつらと一戦交えるとしましょう。

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