植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

チョーラッキー、大珍品に巡り合う 環凍が漂う天藍凍

2023年09月23日 | 篆刻
昨夜もヤフオクで、素晴らしい細工が施された名人「秋堂」さんの田黄石らしき出品物が11万円に達し、取り消しになっていました。ワタシの入札額は25千円(笑)、最終時限を過ぎても入札更新が止まらず、キャンセルされたのです。ワタシの予算は一個あたり最高で原則1万円以内なので、所詮高嶺の花でありました。

このところ、石印材の高値落札が続き、値打ちものはほとんど落札できません、感覚的にはワタシが入れた金額の3~4倍で落札になるので太刀打ちできません。なので、ちゃんとした専門家の側款(名前)があるものや、明らかに100年以上も前の古印・石の王様「田黄」などは最初から回避し、十把一絡げのまとめて出品されるものや、最近の未刻印などを物色することが多いのです。

しかし、最近そんなしみったれた入札でなんとか落札したもので、入手したものを見るとなかなかの逸品、いい意味で期待を裏切られる石が続きました。今日はそんな石の紹介です。今日は実際の落札価格まで開示いたしましょう。
まず、2,600円で落札した「獅子紐」のある未刻印と9mm角の小印です。獅子紐の印はごく一般的な500円前後の石なので省略、ワタシの狙いはもう一つの細い石でした。

これは、石印材を研究している尊敬する小林徳太郎先生の著書にある銘石「桃花紅」と見えたのです。その著書では印材の最高峰の田黄石の次に紹介されている希少性があって美しい石であります。転載します。

この説明と写真に合致する特徴があるのです。上部の赤はやや薄いものの細黒点が交じり、微透明の白い地肌も酷似しています。恐らく先生の石は、求めれば数十万するような逸材・銘品で、今回の石(11g)の5~10倍の重量がある大きめの石(多分100g前後)ですから、値段は比較になりません。それでもこれが見立ての通りの桃花紅ならば、1万円以上してもおかしくないでしょう。

次は、これ。
左上の石が、5,280円、残り3個計4,510円で同じ出品者の方からの品です。それぞれに味がある佳石に見えました。これは「魯州」さんの側款、「大亀化龍」と彫られている「緑凍石」で鹿紐があり、磨き上げられた艶やかな石は薄緑の下地にやや赤みを帯びた透明感の強い模様が混じっています。
また、他の三本も、それぞれ碩蘆の刻と「昌化鶏血石・連江黄・古青田」と優材でありました。鶏血石は、血の部分が2か所と少ないものの、鮮やかで明るい赤は出色の美しさでした。

そして、今日の真打はこの対章であります。
この石は、常時クオリティが高い印材を中心とした品物がそろっていて、豊富な知識・鑑定眼も信頼できる「天香楼」さんからの出品で、その日はとりわけ銘品が集中し、ほとんどが価格がどんどん吊り上がり、時間を大幅に超えて出品取り消しになりました。その中で比較的早い段階で15千円で運よく落札できました。
「天藍凍」経年時代物、柳邨さんという雅号が側款にありました。サイズはわずか9mm角、二つで25gでした。
 天藍凍というのはいわゆる水坑で採れる透明度の高い珍石で、水晶凍や魚脳凍よりは劣るものの、大変希少性が高い石とされ、藍色などをベースとして温順で爽やかな触感がある、とされています。ヤフオクでもめったに見ません。
現物が届いて、子細に観察して驚嘆したのであります。
「なんと、環凍があるではないか!!」
この「環凍」というのは、水晶凍や牛角凍などの水坑系の石に極稀に見られる紋様であります。詳しくは下記のブログ記事に載せてあります。

ワタシの数千に及ぶコレクションにもありません。


小さな石ですが下の方にやや不整形ながら「環凍」に間違いありません。
前述の小林先生のコレクションにも天藍凍の環凍の記載がありました。


石印材の大家の先生が激賞しているのです。「天藍凍の中に、白環凍が漂う絶品もある」との記述もありました。
本の石は、欲しい人は100万円くらい出しても不思議がない大珍品でありましょう。こんなすごい石でないにしても一度は手にしてみたかった環凍の「天藍凍」に巡り合えるとは!なんたる幸運でしょう。
桃花紅も、入手が難しいランクでは上から2番目「稀品」の扱いとなっています。
世の中でほとんど出回ることもなく、専門家の先生すら見たことが無いと言われる石は、これ以外に「艾葉緑」や「燈光凍・田紅・鴨雄緑」等があるようですが、こればかりは無いものねだりであります。ワタシの乏しい資力と残り少ない人生の時間を考えたら、「コレクターなら是非持っていたい石」が入手できたので大満足でありました。

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