植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

日展 とりあえず出しましたよ!!!

2023年10月11日 | 篆刻
無事に池袋に行ってまいりました。

日展の出品のうち、書道関係は池袋サンシャインシティに持ち込む(搬入する)決まりになっております。これは、無審査の先生方は含まれません。10日が個人搬入、10・11日に指定搬入(業者さん経由・会派でまとめて)という日程で、ワタシは、10日の10時から15時までに個人で持ち込むしかなかったのです。

日展とは、日本の芸術部門では最高峰の展覧会で最も権威がある、ということになっています。昔は帝展と言われた時代がありましたが、その頃は「書道」は芸術にあらずという風潮や見解が主流であったようです。その後日展と改変されてからも「半人前」の扱いで、やはり美術・彫刻などからするとやや下に見られるという傾向があるようです。

それはともかくとして、ワタシのような、ど素人の篆刻家志望者が「個人出品」とはいえ、最高レベルの作品が集まる展覧会に出品する羽目になったか、かいつまんでご説明します。
その事の起こりは昨年暮れの(多分)ふとした思い付きでありました。・・・ここからやや記憶が定かでない時期が半年続いております。
どうも、なにかのきっかけがあって、日展の申込書を取り寄せる書類を送ったのです。切手や封筒が手元に沢山あって、ワタシの仕事場のそばに郵便ポストがあったせいかもしれませんが、その事自体をすっかり忘れていたのです。

ところが、今年6月になって日展からその申込書が郵送されてきたのです。情けないことに、自分が申し込んでおきながら、誰かのいたずらかと思って、書道の先生や、グループlineの書道仲間に「誰かこんなのを送る手続きをしました?」と尋ねたのです。すっかり忘れていたものの、夕ご飯を食べて脳に血が巡ってくるうちに、うっすら思い出しました。で、仕事場に行って切手を見たら「ミッキーマウス」の切手3枚がシートから無くなって、日展からの封筒に貼られておりました。

そして、開封してとくと考えました。なぜ申込書類を取り寄せたのか、未熟な自分が日展など出せるわけがないだろう、今まで作品など作ったことも無いのに。そこで、思い出したのが、「日展に出品したことがある」という実績作り(話のタネになる)、日展挑戦中というキャッチフレーズになる(笑)、展覧会に出すような大型の印を彫ってみるのもいいか、と昨年思ったのです。

今までは趣味の世界、通常なら2㎝角程度の印に姓名や雅号を彫る、というのを3年間続けてきましたが、6cm以上にもなる大きな印材を使った作品を制作したことは皆無であったのです。それで周囲の冷ややかな目を感じながらも、乗り掛かった舟、一丁やってみようと始めたのが7月からでした。

そこから手探りながらも夢中で10本以上彫って、以前から参加している「篆刻チャット」に出来たものをちょっとずつ写真をアップしているうち、その管理人であるS先生というれっきとした篆刻家さんから、「アシストしましょうか」との言葉を頂いたのでした。日展に出品するためにいろいろ段取りがあって内情もあるので、円滑に出品できるまでお手伝いしましょうという意味でした。

そして、すぐさまワタシはS先生へ弟子入りという形をとり、その社中の末端に名前を置かしていただいた、という経緯になりました。実際に作品作りから日展出品までの手順や細かな規定を聞くにつれ、そのハードルがとても高く、一般人がおいそれと応募できる仕組みになっていないことが分かってきました。当然と言えば当然、天下の日展ですぞ。高い審査料(12千円)、厳格なサイズ規定がある額装で、通常は指定業者さんに依頼しないと形式が整わない、など知らない人間ではとうて出品までたどり着けないのです。

そして、S先生から「今回はやめておきましょう」という衝撃的な連絡が来たのが、9月15日でありました。先生の会派から出品するにしても内情があって今年の入選は100%無理、お金がもったいないというのです。ワタシは、今回は先生にげたを預けていて、指示通りに動いていますから、「どのみち入選は最初からあり得ないと覚悟してます、出品料は無駄とは思っていない、出品したという実績が残りますので。でも先生に一存しているのでそういうことならやめておきましょう」と返事をしたのです。すると、じゃとりあえず出品しましょう、とあっさり前言を翻しました。

そもそも①ワタシは篆刻歴3年でしかも独学 ②個人出品はまず入選しない ③初めて大型印に作品を彫った ④日展初出品である ⑤書道・篆刻の入選率はおよそ1割弱→つまりワタシが入選するわけがないというのが分かり切った結果であります。
そこで、社中からではなく個人出品という方法をとることにしたのです。自分の思うように半紙に落款を入れ、印を捺した紙を張り付け裏打ちする、規定の額は売ってないので、先生からお借りすることにしました。ワタシの書道の先生にお願いして額装を全部やっていただきました。
これが完成品であります。

出来上がったのが搬入日前日の一昨日でした。

そうして昨日、何十年ぶりかで池袋に赴いたというわけであります。当然サンシャインシティがどこにあってどんな建物かもわかりません。全く田舎のネズミ状態でありました。迷いながらたどり着いた会場は、ワタシの勝手な予想とは全く異なるものでありました。作品を抱えた出品者さんたちが番号札を貰い、折りたたみいすに座って呼ばれるのを待つ。照明の明るい会場内に、日展の事務局の偉いさんが後ろに座り、受付ブースがあって、その種別毎に受付が始まる、みたいな。

実際は、暗い通路に長机がポツンと一個、そこに座っていた係の人が、バイトのような若いおじょうさん、どこからみても黒人系の太った女性、二十歳すぎくらいのちょっとヤンキーな雰囲気の学生さん、の三人でした。申込書にちょっとわからないことがあって聞いたら、カードを首から下げたベテランぽい女性が室内(会場)から出て来て説明してくれて約10分で受付終了。あっけないものでありました。見た限り作品持ち込みと思われる人はワタシのあとに2名来ました。受付番号が3002というのは、ワタシが個人持ち込みの2番目であった、ということに他なりません。

湘南新宿ラインに乗って帰りました。平塚まで一本で乗り換えなし。何年に一度あるかの乗車ですからグリーン券千円を出しました。平塚で「宮川」のウナギのかば焼きを奮発し、晩御飯は缶ビール1本でささやかな自分へのご苦労さん会を行いました。ほっとしました、虚脱感の方が強いです。でも一番ホッとしたのは、そばでワタシの「フィーバーぶり」を心配をしていた家内であったようです。

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2 コメント

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ご健闘を祈ります (けんすけ)
2023-10-11 07:27:59
とても凄いことです

良い結果が出ることを期待しております。
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いつもお立ち寄り頂きありがとうございます (槐松亭主人です)
2023-10-13 06:49:20
紆余曲折がありましたが、ようやく出品までこぎつけることが出来ました。多くの方々に励まされ、先生がたに指導を受けたり、作業をお手伝いいただき、感謝しかありません。
残念ながら、いまだ作品自体はとうてい選に入るべくもありませんが、ふとした思い付きで始めただいそれた作品作りが、とにもかくにも成就したことは誇りに思っております。

まだ、始まったばかり、今まで以上に精進し励みたいと思います。
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