植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

たかが印泥・印肉と言うなかれ 書作品の良し悪しにも繋がる

2022年07月14日 | 篆刻
先日、ヤフオクで性懲りもなく落札した印泥が届きました。手持ちの印泥だけで40個ほどになっていて、もはやワタシが死ぬまで消費し尽せないほど大量になっているのです。ですが、篆刻印を作って差し上げた方のほとんどは、いい印泥が欲しいあるいは印泥自体持っていない、というのです。

従って、有料無料はともかくとして、一定の需要(行き先)があるのでストックがあっても困りません。よい印泥は、何と言っても変色・変質しないというのが大前提なので収納箱に沢山入れてそのままにしていても心配はありません。とはいえ使用している印泥はたまに取り出して混ぜたり状態によってはメンテナンスが必要になります。

また、印泥によっては全く色合いが違ってくるので、ワタシは、書作品によって印泥を使い分けるという書道家なみの構えをとっているのです。などと、言いながら自分の収集癖を正当化しております💦💦

届いた印泥は3つ、いずれも現在市販されている新しいもので「未使用品」であります。こうなると、その定価は、おおよそ把握できるのであります。


左上の「耘萍石泉印泥2両装(60g)」は光明という最もポピュラーでお求めやすいもの、色合いはやや明るめで深みがありません。大体5千円程度の売値でしょうが、李耘萍女子の印泥は捺し易くムラやダマにならないのが特徴なので、初心者向けとして、十分使えます。

右上はこのブログでも何度も紹介している、市販品では最上級の印泥「高式熊印泥珍品1両装」であります。これも耘萍さんが監修し、印泥の第一人者高式熊さんが認めた印泥です。この上に「超級」というものがありますが、さらに高価になります。この印泥だとネットではおよそ1両装(30g)で2万円前後で販売されています。珍品・貢品あたりになると、朱というより橙色に近く、高貴でやや明るめの色合いであります。こうした最上級クラスの印泥で古いものは、表面に小さい金箔が張られていたりもします。

右下は「潜泉特制珍品硃砂 30克装(30g)」の未使用品であります。これは(上海)西冷印社が販売している6段階の等級の一番上位に来る高級なもので、1両装だいたい15千円前後いたします。色は鮮明で落ち着きや深みのある朱が引き立ちます。

この3個の印泥まとめてが、9,500円で落札出来たのであります。市価およそ4万円見当ですから、1/4ほどで入手したことになるので、気分は悪かろう訳はありません。

参考までにいくつかの色の違いをお見せします。上の3つはいずれもワタシの摸刻印ですがシャチハタ朱肉です。


下の印は、左から古い蘇州姜思序堂の珍珠印泥・金龍朱肉 特級印色・八宝印泥貢品になります。いずれも良品で作品の落款に相応しいものでありますが、色の違いは歴然であります。

因みにワタシが持っている最も高価で入手困難な印泥は「北京栄寶斎」の古い印泥であります。(偽物が多いのですが、これは真正のものだと確信しています)。その朱色は写真では分かりにくいのですが、ほんのりピンクがかって美しい朱なのです。

下の写真の上の印が永宝斎で捺したもの。更に印そのものは日本篆刻界では知らない人が居ない異端の天才篆刻家「酒井子遠」先生の作なのです。
こうした印泥の色合いで作品の出来・評価が左右されたりするのです。良質で美しい色の印泥を追求することが誠に大事なのです。
それにしても、ワタシのコレクションと撮影技術の格差が激しくて申し訳ありません。

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