植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

「雨」2題 数千円で得られる福・壽

2021年07月12日 | 篆刻
 昨日夕方に雷鳴が轟き、ざぁーっときました。夕立のような突然の驟雨が来るようになると梅雨明けも近いかと思います。その昨日は日曜日で、ヤフオクでは最終入札期限となる出品が集中します。これは、土日休みになる法人・まともな商売人の方々が、休み明けに出勤して落札された品々を一斉に発送手続きに入るというサイクルなのでしょう。もし、金曜日に落札期日を設けたら、二日間手続きが遅れ、トラブルや遅延などのリスクが高まるからです。また、買い手側の個人も、休みの日にゆっくりヤフオクの出品物を調べ、入札するというのに日曜日が適しているのですね。

 いったんは篆刻印収集を中断しようと思いましたが、妖しい印材や彫が見事な印の虜になって、ヤフオクに出るお宝を見過ごすことが出来ないのであります。

 昨日は数十点まとめてというものに4,5件、紐や石質・模様の見事なもの・田黄石らしき「薄意(側面に彫られたレリーフ)」のある単独出品物など10件ほど入札しました。あくまでダメ元、値を釣り上げていくものにはすぐに諦めて深入りしないことを心がけていますので、ちょっと高めの上限金額を定めて入札しますが、期限が30分くらいに迫ってくるとあっというまに更新されていきました。

 ワタシも、さすがに印材だけに関しては目利きになってきているので「これはいいものだ」というのが大体わかるようになりました。専門家・収集家は当然見抜いていますから、だいたいはかなりの高値(自分が入札した金額の3~5倍)になるというのが通例であります。それでもそうした高級石材や時代物の名刻印なら、落札価格の倍ほどの値段で取引販売されるのだろうと思います。

 結局十数件応札して、安物2件が落札出来ました。上等です(笑)。一つは「寿」の文字を彫った遊印、530円(送料の方が高い!)、もう一つは書道具まとめて2,607円でありました。前者は他に同じ業者さんが、一個ずつ単独出品されていた中の一つで、他の印は5千円から2万円以上で落札されていました。そういう場合、たまに残り物でも「寿」ならぬ「福」があるので、まぁ届いてみてのお楽しみです。

 後者は、ほとんど価値の無い中古の筆巻き数点と、汚れた篆刻用二面硯などの硯2個、に簡素な紐を施した未刻印材11個入りの割れた印箱、20個以上の小印材、そして雨花石10個セットが入っていたのです。落札した後よく見なおしたら小さな民芸人形なども含まれたいわゆる「ジャンク」品でした。

 印材だけなら約30点あるので、一個100円以下の計算になります。少なくとも紐を施した印は、手間賃がかかりますし、細工しやすい質のいい石になりますから、最低でも数百円で売られます。練習用に十分な印材と見受けたので、安い買い物でした。それで初めて見知った「雨花石」がどんなものか調べてみました。
 もとは南京市雨花台が産地で、郊外の川原 に転がっていた自然石(玉砂利)であったそうです。丸く磨かれたような美しい石は瑪瑙や碧玉の類で、石好きの中国人には手ごろで大人気だとか。今ではほとんど河原には見つからず、どこかの上流で大量に採掘し研磨しているようであります。どのみち、硬くて印材にはなりませんし、さほど値打ちのあるものとは思えませんが、磨いた奇麗な石ころでパワーストーンともいわれるのもで、あっても邪魔になりますまい。

 そういえば、印材まとめて(ジャンク品)の中に、刻印済のものが沢山紛れこみ、篆刻家の手になるなかなかの名品が見つかります。ワタシにとっては外れなしの「福袋」であります。先だっても雨人さんが彫った姓名印を見つけました。雨人さんは。鎌倉篆助というお店を開いているれっきとした篆刻家さんです。「早い・安い・上手い」という吉野家みたいな篆刻を売り物にした今風の気鋭の若手篆刻家で、YouTubeで、篆刻関連の動画をアップされ、ブログやらなんやらで積極的に販売・アピールをされています。テレビやラジオにも出演しているようです。印の依頼があったら30分もあれば作りますと言うのがうたい文句で見た目ものりもファンキーな先生です。

 かく言うワタシは、篆刻は独学ですが、幾度も「雨人さん」の動画を参考にして篆刻に励み、印材の情報を得たりしているので「師匠」と言ってもいいかもしれません。さすがに現役の方なので手元にある印を披露するのは遠慮しておきます。

 彼の書いているブログによると、すごく硬い印材があって、彫れなかったらそれはあなたの技術の製では無いので、無駄にチャレンジせず捨てなさい、とありました。また、篆刻家になるためにはなんの資格も無いので、自分がそうだと思えば篆刻家を名乗ればいい。ただし上達するにはいい先生に師事なさいとも。最初の頃は先生のところで修行して来る日も来る日も「篆書」を書かされたそうです。

 ワタシは、ちゃんとその教えを守り、ちょくちょく彼の動画を拝見し、硬い石はどんどん捨て、毎日篆書を書いております。そのせいあってか、その気になれば簡単なものは30分もかからず彫り上げますよ。近いうち雨人さんの印も「摸刻」するつもりです。彼の主催する篆刻教室に行くようになったら本当に雨人さんの弟子になりますが、さて、思案中です。

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