植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ワタシの住む下町 平塚

2024年04月09日 | 雑感
ワタシは現役の頃某金融機関に勤務しておりました。その中で20代後半に赴いた支店が「川崎支店」でした。川崎と言えば全国に名の通った歓楽街があります。その原因・要素の一つが「公営ギャンブル場」であります。川崎競馬場と川崎競輪が開催される地域なので、関東一円からギャンブラーが集まり、ついでに夜の歓楽街に繰り出す、という、いささか治安に問題があり、がらの悪い人が闊歩する街という印象はぬぐえませんね。ワタシはまだその頃は、麻雀が好きで会社の上司に誘われてよく卓を囲んだものです。

しかし、自分自身ギャンブル好きで、ハマるとえらいことになる、と思っておりましたから馬券も車券にも一度も手を出しませんでした。パチンコ店を含めその気になればいつでも賭け事が出来る、手持ち資金が枯渇しても、自分の職業を言えば、サラ金などの貸金業者が待ち構えています。人生の破滅の入り口がそこここにある、と感じてとにかく競輪・競馬はやらない、と誓っていたのです。

ところが、ワタシの住む「平塚」にも公営ギャンブル場が存在します。平塚競輪場です。自宅から徒歩数分で、窓を開けると競輪場からの歓声が聞こえるほどの距離なのです。特に土日になると、缶ビールや競輪新聞を片手に競輪場に向かうおじさんがそこそこいらっしゃいます。しかし、基本昼間ですから酔っ払いとか立ちションなどは見かけませんし、比較的閑静なこの地域内でもさほど違和感はありません。駅から無料バスが出ており、車は無料駐車場に入るので町の雰囲気としてもさほど悪くはありません。

私自身は、以前自治会長の時に、競輪場から招待されて特観席(特別観覧室の席)にいった事はあります。しかし、そこでも見るだけで、車券を買う気にはなりませんでした。もし万一的中でもしたら、それをきっかけにくせになり、競輪に夢中になるかもしれないからです。

そこで、地元と競輪場の関わりであります。多くのオジサン・お爺さんが競輪場のアルバイトをしているのです。駐車場の誘導係から通用口の守衛さん、売り場のガードマンなど多分数十人の人が地元から任用されているのです。彼らにとってはありがたい老後の働き口ですから「競輪ウエルカム」ですね。

彼らは、当然マスクをして同じ制服制帽なので、こちらからは誰だかわかりません。しかし、相手からはいつも同じ車で競輪場のそばを通過するワタシ、野良着でとぼとぼ歩くオジサンのワタシはすぐに誰だか認識しているようなのです。アッ、あの車、地元の人で競輪は関係ないから誘導しなくていい、とかね。

守衛に居る警備のオジサンの一人は、町内会の知り合いでお神輿なども一緒に手伝うMさんです。ワタシがそばを通りかかると声をかけてきます。他愛もない会話を交わすだけですが、ワタシが普段何をしてどんな人物かもご存じなので気安く話をしてくるのでしょう。

それが、先日ワタシの知らない守衛さんが話しかけてきたので驚いたのです。その時のいでたちはジーンズに作業着で、両手に3本抜きたての大根をぶら下げていました。「いいダイコンだね。柔らかそうだ。葉っぱの部分は美味しいから捨てないで。千切りにしたり炒めたりするといいよ」などときやすく話しかけてくるのです。もしかするとMさんが、ワタシとよく話しているのを見ていたのかもしれません。

とにかく、平塚は下町で、なんとなく人がおおらかでカッコつけないのです。一昨日は、ワタシがゴミ拾いしている店舗で全く知らないお爺さんに声を掛けられました。彼はコーヒーを片手に、店舗に隣接した個人宅(家を壊して建て替え中)を指さし「お宅はあの家に関係あるのかな」と言うのです。そこは親戚筋の家でありました。彼は、使っている資材が高級で、一般的な公的補助が受けられる建造物ではない、と言うのです。そのお爺さんは多分大工さんなど建設関係の仕事をしていたのでしょう。ゴミ拾いしているワタシを見て、(多分前から観察していたに違いない)あんた、土地の管理人かと尋ねてきたのですから。
ちょっと前には、スマホ片手のワタシに向かって「何が来た?」と聞いて来たオジサンも居ました。競輪の結果を知りたかったんですね。

ワタシは、屋外で全く知らない人に声をかけることなどまず絶対やりません。お店で店員さんと話すのとはわけが違います。
1週間で知らない人から3人、いきなり話しかけて来たのですよ。
ワタシの住む町平塚は、愛すべきかどうかは別にして、そんなフランクで人懐こい人も多いのです。逆にこちらもどこで誰に見られているかわからないものなのだ、と普段の行動もちゃんとせねばと感じる今日この頃であります。
コメント
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