昨日頼まれた印が届いた、というLINEが来ました。小さな篆刻印を頼まれて箱代・送料・石代込みで5千円かな、と伝えてありました。しかし、お金を貰うつもりはありませんでした。小印の2個や3個、その気になればあっという間に彫れます。石印材・箱も腐るほど在庫がありわざわざそれに値段をつけることも無いのです。
相手の方は、たしかどこかに身体障害があって、今度の印はフリマで販売する書作品に捺すつもりなんだそうです。ワタシは、わずかなお金をあてにするほど困っていません。人助け、書道に前向きに取り組んでいる人へ応援するのも、ワタシらの年齢のものの責務ではなかろうか、と思うのです。
そこで、ワタシにスイッチが入り、「今回はただでいいよ、お金のために彫ったりしないから」とかっこつけて連絡しました。ワタシがその気になれば誰かが喜ぶという結果になるはずなんです。
印を彫るのは相手の希望、タダにするのはワタシの勝手であります。
それはともかく、3か月ほど前からちょっと問題を抱えておりました。倅が住んでいる古いマンションの「権利証」が見当たらないのです。自分の仕事場を家探しし、夫婦で話しているうち、銀行借入の担保に入れてる物件だから、銀行で預かってるかもしれないね、という結論になりました。以来「あんた、銀行で聞いておいで」と家内に言われてずっと「忘れて」いてそのままにしていたのです。実際は気にしているものの面倒だなぁ、が先に立ってつい先延ばしにしていたのです。
ところが、昨日2時過ぎに、急に「行かねばならん」と何故か心変わりしました。そして銀行の窓口が閉まる3時ちょっと前に飛び込みました。あいにく担当は不在で別の係の人に用件を伝えて、調査して回答しますという言葉で仕事場へ戻ったのです。その時ワタシにスイッチが入りました。もう一度貴重品などを収納した書庫をひっくり返してみよう。で、1時間半ほど会社の決算書やら確定申告書やらの書類の山を全部ひっくり返して見始めたのです。
勿論権利証は出てきません。しかし、こんなことでもないと書類の整理・片づけも出来ないだろう、これも「終活」の一つだと思ったのです。そうこうしているうち、夕ご飯の時間が近づいたので、書類は引っ張り出したまま帰宅しました。
夕食の時間に家内(ワタシの会社の社長)にその日の経過を報告いたしました。そこで自宅にある大金庫(笑)、その中に入っていないか?と聞き直しました。記憶力では圧倒的にしっかりハッキリしている家内は、そんなものは見たことも無いと主張していました。無いものは無いので、念のため金庫を捜索して欲しいと頼みました。ワタシにはアンタッチャブルの金庫なんです。
すると、数分経たずに「あったあったこれだ」とあれだけ探していた権利証、ちゃっかり他の重要書類と一緒に金庫内にあったんです。ワタシの悩みの3か月をどうしてくれる(笑)。でも一安心。懸案が一つ片付きました。もし昨日銀行に行ってなかったら、金庫内を見ることも無かったでしょう。もやもやしている日々が続いた可能性が高いのです。今日銀行に電話して問題は解決したと伝えねばなりません。
更に今朝、片づけ始めて途中で投げ出してきた仕事場の書類整理を、早朝5時半から開始しました。この際だから見ることも無いような古い書類は思い切って処分しようと思ってたのです。いくらか個人情報など他人様には見せたくない資料もあって、シュレッダーで一部裁断を始めてスイッチを入れたのです。
健康診断書や、古い工事の見積書、役所からのアンケート調査など種々雑多な書類を裁断しているうちに、いやな音がしたと思ったら、シュレッダーが停止。それから何をしてもうんともすんとも言いません。「壊れた」という表現でいいのでしょう。裁断する刃に紙詰まりが起きたかオーバーヒートのいずれかでしょう。もし、その気になってスイッチを入れなければこの脆弱な家庭用シュレッダーは存命だったはずなんです。
何もしないでいると現状は現状のまま。
一念発起して何かアクションを起こして、初めて身の回りや外部の方にいい意味でも悪い結果でも影響を及ぼすものだなぁ、としみじみ思うのであります。