風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/幸せなひとりぼっち

2017年04月17日 | 映画


原題は「En man som heter Ove」、[オーヴェと言う名の男]、スウェーデン映画です。
ヒューマンドラマと言うことですが、ほとんどコメディでほのぼのと楽しめました。
多くの人は年をとると気難しく頑固になるものです。
オーヴェは、普通の人のそのレベルを越えて、変人気味の頑固男です。
共同(福祉)住宅街の敷地内は、車の進入禁止、犬の散歩禁止、煙草の吸い殻ポイ捨て禁止、です。
彼は、地域の治安を守るため、誰からも望まれていない見回りを日課とする日々を送っています。
60才直前、妻に先立たれ、長年勤めた鉄道会社も首になり、もはや彼には「生きる意味・生きがい」も無くなり、
自殺を願望します。
彼は、自死に向かっても几帳面で、ネクタイを締め、髪をきれいに整えてあれこれ試みるのですが、
その度に何度も失敗します。
隣に、イラン人移民家族が引っ越して来ます。
彼と区長を争った友人は、車椅子生活で口も自由になりません。
街でチンピラに絡まれている青年を助けました。彼は妻の教え子で、レストランで働いています。
彼の店に行くと、アイラインを入れた青年が居ました。彼のホモセクシュアルの恋人でした。
他方、福祉公社の職員は、公務と言って車を乗り入れ、車椅子の友人を施設に入れようと策動します。
福祉社会と言われるスウェーデンですが、やはり矛盾、問題はあるものです。
オーヴェは、亡き妻の元に一刻も早く行きたいのですが、そうした隣人達との「トラブル」に巻き込まれ、
「旅立ち」出来ません。
オーヴェは教養の無い労働者階級で、ソーニャはインテリ女性です。自動車事故で半身不随になりますが、
学校に通い夢を叶えて、教師資格を取るのですが、車椅子の彼女を雇ってくれる学校はありませんでした。
オーヴェは、自分でスロープを作り、彼女は教師になります。レストランの青年は、教え子でした。

彼の妻・ソーニャの明るさ、たくましさ、優しさと彼の「不器用さ」が何とも妙です。
高齢者の孤独、福祉のあり方、移民人種問題、性的マイノリティ、など深刻ぶらず、説教せず、「そうだよね」
の共感をしみじみと誘い出します。
福祉社会スウェーデンの底深さと、人は一人生きているのではなく、周りの人々と支え合って生きているんだな、
をそれとなく教えてくれる、ヒューマンコメディの秀作でした。 【4月10日鑑賞】


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。