風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画4題=嗚呼満蒙開拓団・精神・その木戸を通って・美代子阿佐ヶ谷気分

2009年11月30日 | 映画
11月29日は寒く、30日は雨で池袋文芸座に行った。
『気になる日本映画達2009上半期ベストセレクション』の宣伝文句に惹かれて。

11月29日
嗚呼満蒙開拓団・精神の二本はドキュメントで特別に映画館で見た方が良いという作品でもない。


嗚呼満蒙開拓団
旧満蒙の"方正"と言う所に中国の省政府によって満蒙で倒れた日本人のための墓が作られた。
日本に帰国した人々がその地を訪れ、墓参し、昔日を語る。
中国残留孤児達の今日の姿をこれまでとはかなり異色の視点で捉えている。
この問題に出会う度に中国人と中国のふところの広さを痛感し、心和む。
もちろん全ての中国人と中国がそうではないのが尋常ではあるのだが。

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映画『精神』は、精神病患者と彼らを取りまく人々のドキュメントであって、
その病にならないためのハウツーもの・その病の治癒のハウツーものでもない。
彼ら個々の語りが少し長すぎる嫌いはあるが、声高にお説教したり啓蒙しようとしないで、
淡々と彼らと彼らを取り巻く人々の生活を淡々と描いているのが何より良い。
とにかくこの"淡々"がとてもいい。
"精神の病"、特に鬱と統合失調症は今日、誰もがなり得る病であり、我々が密かに強く恐れている病である。
私はかつて読んだ、北海道浦河市の「べてるの家」の本を思い出した。
「べてるの家」の取り組み、理念と精神は素晴らしい。
その本は『べてるの家の「非」援助論』といい、無条件でお薦めである。
ベテルの家のHPは、ベテルの家

この二つのドキュメント映画は、とにかく深刻でなく淡々が良かった。


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11月30日

その木戸を通って

「海外の映画祭で賞賛された」との宣伝文句と市川崑監督に惹かれたのだが、
記憶喪失の女・浅野が結婚間近の中井の所を訪れ、中井達に請われ、そこに居付き、
中井は出世が約束される婚約を破棄し、記憶喪失の彼女と結婚してしまうなんとも陳腐なストーリー、
その上、能面顔の浅野ゆう子の演技がまことにたくそで興ざめで、文句なしに駄作である。
でも、中井貴一の喜劇っぽさ、フランキー堺、井川比佐志、岸田今日子は良いな~。
映画の中でサックスが流れる、この音楽あわないなと感じた。

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美代子阿佐ヶ谷気分

昨日『精神』を見たので、主人公の漫画家・阿部慎一が創作に行き詰まり、心が壊れて行くのが深刻であった。
"ガロ"とはずいぶん懐かしい名前だが、その時代はもう30~40年も前の時代だろう。
それは、漫画界でもかなり特殊というか、ユニーク・マイナーで刺激的な作家・作品も多かった。
白土三平の"カムイ伝"などが有名だ。
その世界は、当時確かにベトナム反戦や色々な社会運動と国際的に連係していたのだが、
漫画界の主流=大衆的ではなかった。
阿部の漫画を私は知らないが、この映画を見る限り、"かぐや姫"の「神田川」や「同棲時代」の世界より真剣ではあるが、
それらとはそれほど大きくは変わっていないし、より優れているとは思えなかった。
セックス描写が過激でなく、動きがないのが何より良かった。
妻の美代子が彼を見捨てなかったのがおもしろく、私にはよかった。

二日で4本の映画はちょっときつかった。特に後の2本は退屈だったので、疲れた。


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