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横須賀は観音崎、そこで開催されている妖怪展。海が見えるちょっとしたリゾート地なんですが、8月も終わりとはいえこの暑い最中、西洋的にモダンに整備された美術館で日本的な創造の産物としての妖怪展はちょっと場違い感じがしないでもありませんでした。さてここは関東3大妖怪特別展鑑賞の最後の会場となります。おおよそ2会場を見れば妖怪特別展の傾向と対策もわかろうというものです。
この展覧会では、提灯のお岩さんや皿状の首になったお菊さんの有名な葛飾北斎の浮世絵が展示されていました。逆にそれまでの会場にこれら北斎のものがなかった方が不思議なくらいです。そして特筆すべきは、3会場ともに展示されている浮世絵の作品があること。それは歌川国芳の「相馬の古内裏」。平将門の娘・瀧夜叉姫と巨大な骸骨がグワーと襲いかかってくる感じの国芳の絵は、スペクタル感もたっぷりで妖怪絵となると必ずお目にかかれる図像のようです。はじめてこの絵を知ってから何度お目にかかったろう。最近の国芳の評価は上がるばかりです。もうこの絵は先の北斎の絵とともに浮世絵に描かれた妖怪の図像の代名詞のようになっています。そしてやっぱりここでも月岡芳年の浮世絵も並んでおり、北斎、国芳、芳年は妖怪浮世絵の3大巨匠となるのでしょう。ところで超ユニークだったのが同じく国芳の絵で「金玉ちからもち」といった何が巨大化している狸を描いた絵でした。これも妖怪か!と。
この展覧会の特徴は現代の妖怪と想定してもかまわないだろうと学芸員が判断した美術を紹介しているところです。現代の妖怪を語るには絶対に外せない漫画界の大御所・水木しげるの展示。今日我々が抱く妖怪のイメージは水木しげるの絵と思っても間違いないからです。そして学芸員の視点は現代美術にまでその枠を広げているのですが、私が感じるにはそれら現代美術の妖怪は慣れ親しむキャラクター化した妖怪ではなく、むしろ、怪異であり、異形であり、暗黒の心象風景でありと、ちょっと妖怪と呼ぶには難があるようにも思えました。妖怪というよりはホラーの世界ですね。
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図説 妖怪画の系譜 (ふくろうの本/日本の文化) |
兵庫県立歴史博物館,京都国際マンガミュージアム | |
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妖怪萬画 (第1巻 妖怪たちの競演編) |
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妖怪萬画 (第2巻 絵師たちの競演編) |
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魑魅魍魎の世界―江戸の劇画・妖怪浮世絵 |
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