飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「大妖怪展ー鬼と妖怪そしてゲゲゲ」(三井記念美術館)を見た

2013-08-28 | ワンダーゾーンの世界

この夏、関東地区では3つの美術館で妖怪展が開かれていて、さしずめ美術界ではちょっとした妖怪旋風が起きているということになります。駆け込み需要で行った日本橋の三井記念美術館で開かれている「大妖怪展ー鬼と妖怪そしてゲゲゲ」は、比較的こじんまりとした印象をもったものの、妖怪文化に対する変遷を見るには工夫された内容であったと思います。

 

まずは、導入部は妖怪となるとお馴染みの歌川国芳と月岡芳年の浮世絵が妖怪絵の定番のように展示されていました。そして平安時代の妖術師として知られる陰陽師・安部晴明の外道調伏の場をフィギアにより立体展示。次のコーナーは怨霊として怖れられた菅原道真の北野天神縁起をはじめとする絵巻や、鬼や山姥などが登場する能面の展示、古い器物が妖怪化した百鬼夜行など古い時代における妖怪のと係わりの遺物を紹介しています。続いて現代の妖怪のイメージの原点ともなっている鳥山石燕の絵、最後にはそれらのイメージを現代に蘇らせ一斉を風靡することになる水木しげるの妖怪絵が並べられ、過去から現代へと繋がる妖怪のイメージの変遷をながめていくこととなります。

 

その中でそうなんだと思うのは能面で、鬼は角が生えているものとばかり思っていたのが、実はそうではなくで、能面については女性に関する鬼形のみに角が生えているのであり、それは「般若」「蛇」と呼ばれている面であるということ。女は怒ると怖いのは昔も今も同じということですね。もうひとつと水木しげるの絵と過去の妖怪絵の類縁性です。たとえばわかりやすいのが、歌川国芳による巨大な骸骨と平将門の娘である瀧夜叉姫を描いた「相馬の古内裏」が、水木しげるの絵となると巨大な骸骨がそのままそっくり引用され「がしゃどくろ」という妖怪の絵になっていること。つまり、水木しげるは過去の妖怪絵からの引用によりその世界を築き上げていったんだなと。

 

さて次はちょっと遠いけど横須賀の外れの妖怪絵の展覧会を見れば3展を制覇したことになりますな。

図説 妖怪画の系譜 (ふくろうの本/日本の文化)
兵庫県立歴史博物館,京都国際マンガミュージアム
河出書房新社
妖怪萬画 (第1巻 妖怪たちの競演編)
和田京子
青幻舎
妖怪萬画 (第2巻 絵師たちの競演編)
和田京子
青幻舎
魑魅魍魎の世界―江戸の劇画・妖怪浮世絵
中右 瑛
里文出版

 

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