映画「飛ぶは天国もぐるが地獄」（監督：若松孝二）

■製作年：１９９９年

■監督：若松孝二

■出演：室井祐月、高橋源一郎、小野麻亜矢、一ノ瀬めぐみ、他

 

若松孝二監督の「飛ぶは天国もぐるが地獄」を見ました。この作品は、脚本に月蝕歌劇団の高取英が、そして音楽にＪ・Ａ・シーザーが参加しており、寺山修司色が強いスタッフィングとなっています。ある意味で異色の組み合わせでありどうなんだろうか？と思うのですが。残念ながらその組み合わせは噛み合っているとは言えませんでした。ホラー映画を狙っているものの中途半端、思わせぶりのまま謎は謎のまま据え置かれあっけなく終わってしまいます。途中、シーザーのそれこそ寺山修司の作品を想起させるような音楽が入り、巫女のような集団が蝋燭片手に雪に埋もれた鳥居の前で舞うという場面があったのですが、それ自体が作品から浮いてしまい、バランスがとれたとは言い難いものでした。作風の相性的には合わないということがよくわかりました。若松監督はものすごい数の映画を撮っているのだから、こうした作品もあるのは致し方ないのでしょう。

 

ところで、この映画には最近はＮＨＫのコメンテーターとしても顔をだしている作家の室井祐月が元夫の高取源一郎とともに出演していて、なんと大胆にもヌードを披露しています。死に行く男が最期にせめて乳房を見たいとお願いするものに応える場面ですが、同じようなことがニキータ・ミハルコフ監督の「戦場のナージャ」という映画にも描かれており、命尽きるとき胎児となって乳房に抱かれながら死んでいきたいと思うのでしょうか…。

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