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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鮮血の美学NO.20⇒映画「ビザンチウム」(監督:ニール・ジョーダン/2012年)

2014-10-10 | 吸血鬼

■製作年:2012年
■監督:ニール・ジョーダン
■出演:ジェマ・アータートン、シアーシャ・ローナン、サム・ライリー、他

この映画「ビザンチウム」は、吸血鬼映画なのですが、かなり異色の作品であります。まず、全く怖くありません。吸血鬼も世間的に?よく知られる習性、弱点を持っているわけではありません。彼らは昼間、普通に生活しています、つまり、日光に弱いというわけでもありません。住む場所も転々としますが寝床となる棺桶が必要であるということもありあせん。血を吸う場合も牙が生えて首筋に噛みつくのではなく、鋭利な爪が伸びて手首や首筋を傷つけそこから血をすするという感じです。襲われた人間はその後、吸血鬼へと変身するでなくそのまま絶命してしまいます。そして吸う方も若くていきのいい若い女性や男性を襲うでなく、吸血行為によってその後の人生まで奪うわけで、つまり相手を絶命させても人生を生ききった老人を選んだりする吸血鬼もいたりします。人間の姿をしたマイノリティな存在として騒動に巻き込まれぬよう目立たずひっそりと生活しているのです。

その吸血鬼ですが、襲われたことによって吸血鬼になるのではなく、自ら望んでその血を捧げ存在を死なないもいのに変えるというのもユニークで、その変身の場所はとある島という設定もこれまでにないもの、その島の秘密の穴に入っていくと、まず、無数のコウモリが舞い上がり、暗闇の中でもう一人の自分が浮かび上がる。吸血鬼映画は、不死がテーマにあり、生と死という自分という存在を軸にした普遍的、解決不能な問題を持っているのですが、吸血鬼に変成する時にもう一人の自分というものが浮かび上がるのも、何か示唆的なものを感じるのでした。

この「ビザンチウム」はいろいろな点で吸血鬼映画のセオリーを捻っていくこといより、ある種の独自性を提供しているのですが、そこまでやる?という笑える場面もありました。それは、主人公の女吸血鬼がテレビで放送されている吸血鬼映画、それも女吸血鬼が杭により破壊される場面を見ているという洒落っ気の強い場面です。つまり自らの吸血鬼という有様をテーマとした映画を見ている、しかし、それは創造の産物であり、本当の吸血鬼は棺桶では寝ないし十字架や日光に弱くもないという暗示とともに、映像化された新旧の吸血鬼映画が同じ画面で投影されているとういおかしさ、私はそこえほくそ笑んでしまいました。

死ねない苦しみ、時間の観念がない苦しみ、そうした問題定義は最近の吸血鬼映画によくみられるテーマですが、この映画もそうしたところも問題としており、死んでいけることのありがたさ、有限であることによるによる輝きのようなものを感じさせる展開であったと思いました。死があるからこそ生が輝くのは全くの同感。くる日もくる日も今と同じだとやっぱり苦しいと思います。ただし、私達が住んでいる地球は永遠とは言いませんが、永続的であって欲しいと思います。。何やら最近、地球環境は騒々しいので心配ですから。

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