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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鮮血の美学NO.19⇒映画「吸血鬼ドラキュラ」(1958年/監督:テレンス・フィッシャー)

2014-10-08 | 吸血鬼

■製作年:1958年
■監督:テレンス・フィッシャー
■出演者:ピーター・カッシング、クリストファー・リー、他

映画「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」を見終えたら、ハーマー・プロ制作のクリストファー・リーが主演した「吸血鬼ドラキュラ」を見たくなりました。私にとってのドラキュラはなんと言ってもクリストファー・リーなのです。子供の頃、テレビの吹替えで放送される映画で、夏休み企画の真打ちとしてドラキュラ映画は流れていました。まあ、はたしてドラキュラ映画が真打ちかどうか、勝手にそう思っていただけなのですが。すくなくとも私にとってはドラキュラは妖怪のスーパースターなのでした。

ドラキュラのイメージはクリストファー・リーであり、そのイメージを拭い去ることはできません。長身で面長の顔、オールバックの髪型に気品のある姿。黒いマントは体を大きく感じさせるし、コウモリを連想させます。手足も長くそれがより人間離れした印象を抱かせ、人を襲うときは目を充血させカッと見開き、開いたその口には2本の牙がキラリと光る!子供心にそうしたドラキュラをカッコいいと思っていました。先程も書きましたが、そうした雰囲気を醸し出すドラキュラは、私にとっては妖怪のなかのスーパースターであるのでした。

今回この「吸血鬼ドラキュラ」を見ていると、原作者のブラム・ストーカーの小説に登場する人物をかりながらも、ジョナサン・ハーカーもその許嫁ルーシーもドラキュラの手にかかるという、少し原作と違えた展開をしていました。やはり90分にまとめていくとなるとベースを踏襲しつつ細部を省略、編集していくということになるわけです。かなり駆け足の印象が強いこの「吸血鬼ドラキュラ」はそれでもドラキュラ映画の名作として君臨していることは間違いありませんし、クリストファー・リーのドラキュラが、はまりすぎていて以後ドラキュラと言えばクリストファー・リーということで何本かの映画が連作されていくことになります。

ところでクリストファー・リーですが、あまりにもドラキュラのイメージが強すぎたので彼自身が俳優として苦悩することはなかったのでしょうか?それは同じく、吸血鬼ハンターのヴァン・ヘルシンクを演じたピーター・カッシングにも言えていて、ドラキュラ映画ではヴァン・ヘルシンク、フランケンシュタイン映画では怪物を再生させるフランケンシュタイン博士と、いずれも忘れがたい強烈な役を演じているからです。今と比べて情報の拡散がそれほどでもない時代なので、気持ち悪がられ足りなかった、子供がいじめられたりということが、身の回りに度々起こったのではないかと想像されます。

いずれにせよ、クリストファー・リーが演じたドラキュラは、子供の頃の私にとってはスーパースターの一人でありましたし、一方で、生と性と死、血とエロティシズムの象徴的表現を多分に含んだドラキュラ映画は、子供の私の無意識の領域に何らかの刻印を刻んだのも間違いないと思えるのでした。何かそこに根源的なものを感じざる得ませんので。

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クリストファー・リー,ピーター・カッシング
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吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)
Bram Stoker,平井 呈一
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