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飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「マルタ」(監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンター)を見た

2012-12-30 | Weblog

■製作年:1975年

■監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンター

■出演:マルギット・カルステンセン、カールハインツ・ベーム、他

 

30年ぶりに見たライナー・ヴェルナー・ファスビンター監督の「マリア・ブラウンの結婚」が面白かったので、特集上映をしているイメージフォーラムで同じ監督の「マルタ」も見ました。前半少しかったるく実は頭がボーッとして意識が飛んでしまう部分も正直ありましたが、中盤から後半にかけてぐいぐいと映画に引き込まれていきました。要するに話はマルタという女性が一人の紳士と結婚をするのですが、実はその男は真正のサディストであり、性的な肉体関係のみならず、彼女のあらゆる面において拘束、服従させようとし人間性を無視した人格破壊ともいえる行動(DV)にでる一連の顛末を描きます。まったくそのような話とは予備知識がなかったので途中かびっくりしました。サディストの夫は用意周到で、人の意識に関するを読んでいたので彼女に対して施した行為すべて計算づくであったと見えてきます。紳士面しているものの一皮剥げばある種のサイコ野郎なのですです。

 

殺人事件のあったという屋敷を借り、仕事(出張)と称して一週間一人孤独に過ごさせる。音楽は男の好みのものを聞け、本は無味乾燥な工学(コンクリートがどうしたこうしたという女にとってはどうでもいい専門書)を読め、さりげないスキンシップをマルタが求めるとうまくかわしてしまう、かと思うと暴力的な抱擁、夫が食わせるからと仕事もマルタに無断で辞めさせてしまう、電話線を切り外部とコンタクトできないようにする……、彼女の愛情という信頼の感情を逆手に取り利用するかのようにあらゆる方法で精神的に追い込んでいく夫。彼はいつも冷淡な表情しか見せない。見ていてヘドが出そうな夫の描き方です。それをマルタは戸惑いつつ受け入れ拒否しと、もがき苦しむのですが、結局は男の手の中に落ちてしまう…。見ていてなんとも救いがなく後味の悪さを残すものの映画としては問題作であり秀作といえるものなのではないでしょうか。1975年の旧・西ドイツにおいてこのような、人間性の暗黒面をえぐり出すような映画が創られていたとは。ファスビンター監督はニュー・ジャーマン・シネマの旗手と謳われただけあってなかなか骨太な映画を作っていたのでした。

 

しかし先程も書いたように、男が一人の女性を人間性を無視して精神的にも肉体的にもかしずか人格的な破壊をさせようとする冷血で残虐、人間性のかけらもない行為は見ていて辛くなってくるものがあります。一体、この映画を見た女性はどんな感想を抱くのでしょうか?男性が女性を監禁するという事件が記憶にあるだけでも数件思い出すことができます。何故男はそうしたとんでもない行動を起こしてしまうのでしょうか?映画を見ていた観客の中には女性2人連れという方も見受けられました。映画館を出た後、彼女らは一体どんな会話をするんでしょうか?機会があれば聞いてみたいものです。

 

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