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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

貧乏でも明るいのさ!アキ・カウリスマキの映画#3・・・「真夜中の虹」

2012-06-14 | Weblog

■製作年:1988年
■監督:アキ・カウリスマキ
■出演:トゥロ・パヤラ、スサンナ・ハーヴィスト、エートゥ・ヒルモカ、マッティ・ペロンパー、他

 

女「離婚しているの」

男「どってことない」

女「子持ちよ」

男「造る手間がはぶけていい」

こんな粋なのか、ぶっとんだ口説き文句の会話がなされるのはアキ・カウリスマキ監督による映画「真夜中の虹」。このところはそのフィンランド出身のカウリスマキ監督作品を続けて見ているのです。カウリスマキ監督の作品は、どれも主人公らが貧しさの中にあって、しかし、それにひがむことなく当たり前の如く前向きに生きている姿を淡々と描いています。辛い現実とそれに苦しむ人間、それによる歪みのようなもの、そうしたことをカウリスマキは声だに訴えることはありません。逆境の中、堂々となるようになるさと前に進むのみなのです。

 

勤めている鉱山が閉鎖、仕事がなくなっても街へで出て仕事を探す。強盗に教われて無一文になっても、顔色変えることなく闇の仕事につく。偶然、見かけた自分を襲った強盗に仕返しをしようとすと誤解で逮捕され投獄されてしまう。そこまでの過程、主人公の男は怯むことなく生き抜いていく。この主人公を見ていて同じカウリスマキ監督の「過去のない男」はこの映画の変奏バージョンじゃないのか?と思わされるほと底流にながれている精神は同じだと感じざる得ませんでした。そして、映画のところどころに流れている音楽は相変わらずセンスがいい。フィンランドという土地に流れるブルースであり、ロックンロールなのである。映像表現が爛熟しハリウッドを中心に流暢で進化し計算され尽くした凝りに凝ったカメラワーク(逆に凝りすぎて嫌になってしまうのですが)を見せるでないカウリスマキ監督、むしろ映画の初期を思わされるような無骨で朴訥な映像が心地好いのであります。

 

男はオープンカーを運転するのですが、ポンコツなので幌が閉められず、冬の寒空の中を疾走するのがいい。あるいはそのポンコツ車の幌が最後に稼動してガタガタと閉まるところが尚カッコイイ。エンディングに流れた曲はフィンランド語による「オーバー・ザ・レインボウ」、男は監獄から脱獄しこの曲に乗ってメキシコへと旅立って行った。つべこべ言わず、ただ映像を感じ、味わう、そんな言葉が出てしまうような映画でした。

 

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