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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

貧乏でも明るいのさ!アキ・カウリスマキの映画#4・・・「浮き雲」

2012-06-15 | Weblog

■製作年:1996年
■監督:アキ・カウリスマキ 
■出演:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネン、エリナ・サロ、他

 

アキ・カウリスマキ監督の「浮き雲」を見ました。彼の映画を何本か見てくると、そこにはカウリスマキ調ともいうべきものが確かに存在していて、もし何年も前からの彼の映画のファンがいるとしたら、新作映画を見る度に、ああ帰ってきた~なんていう感覚にさせられるのだろうなと思います。それほど、仮で名付けたカウリスマキ調なる独特のタッチはある種、懐かしいかんじであり、登場人物や設定が変わろうとも監督の見つめる視線は、ぶれることなく優しく前向きであり、全く変わらないという姿勢を保ち続けているように思えるのです。

 

ですから基本的にこの「浮き雲」も同じテイストなわけです。登場人物は、失業するなど貧しく何らかの生活苦の常態に落ちいります。しかし、それにめげることなく仕事を探しにいきますが、なかなか簡単にはうまくいきません。お金が底をつきはじめ身の回りのものを売りに出すのですが、元が痛んでいるものを売ろうとするのですから、値がつきません。さらには、無差別な強盗あうなどの試練を受けてしまい、もっと状況は悪くなるのですが、悲惨さはそこにはありません。当然、状況は悪化しているため笑いはそこには生まれるべくもないのですが、愚痴や怒りも生まれません。登場人物らは淡々と、粛々と今日を前向きに生きていくのです。苦難を苦難と感じないでそれを包み込み生きていくそのスタンスには見ていると、どこかに見えないけれども至福の光がさしているようにも思えます。

 

私の妻はカウリスマキ監督の映画をみていると勇気が出てくるねと言いました。その彼女、最近はこんな映画を見ていると友人に話したらしく、友人もそうゆうような映画をホントは見たいんだと言ったとか、言わないとか…。いずれにせよ、彼の映画は、大袈裟に描くこともなく、でも突拍子もない展開があって、台詞は少なく計算されていて、なかには時々思いっきり笑える台詞もあってホッとして、流れる音楽は抜群にセンスがいい。どうやらカウリスマキ監督の映画を見た感想を書くと毎回同じようなことになってしまうようです。面白いですよ、カウリスマキ監督の作品は。オススメです。

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