飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

骨太・今村昌平の映画NO.12・・・『豚と軍艦』②

2008-01-17 | 今村昌平
「豚と軍艦」(1961年)
■製 作:日活 
■製作年:1961年
■監 督:今村昌平
■出 演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、丹波哲郎、小沢昭一、南田洋子、他

この映画で見ていて凛々しく力強いのが、吉村実子が演じる春子が、「ばかやろう」と何度も叫んだ後、軍艦マーチの音楽をバックにアメリカ水兵に群がる女達(=娼婦)を尻目にひとり毅然と逆方向に歩いていくシーンである。

戦後貧しい日本が、「ギブ・ミー・チョコレート」とそれこそ豚のようにアメリカに群がって食っていた時期があった。「豚と軍艦」もアメリカ海軍が寄港する横須賀が舞台となっている。そこには、アメリカ軍に寄生しようと必死なヤクザたちがいて、それこそ豚の飼育の利権をめぐる物語にもなっているのだ。豚をめぐるヤクザの抗争は、時に豚に食われてしまい、豚を食っていたらその食われたヤクザの歯という笑うに笑えないブラックさも表現されている。それこそ本物の豚を前にして、ヤクザの抗争が起こり「このブタ野郎!」の罵り合いが始まる。そこに物凄い数の豚たちが解放され、人の弱みにつけこん恐怖によって金を巻き上げている豚的な精神の行動原理で動いているヤクザらが、無数の豚たちの下敷きとなってしまう。画面意は豚、豚、豚・・・・・・である。

丹波哲郎演じる背中に刺青を彫り意気込むヤクザの兄貴も、胃の病をがんと思い込み、電車に飛び込み自殺を図ろうとするも怖くてできず、恐怖でしがみついたのが保険会社の広告看板と(このシーンは映画館で観た時、観客は大笑いしていた)、どこまでもこの映画は、先日の長門が演じるチンピラの死に方や、吉村実子をレイプするアメリカ水兵も含めてザッツ豚道を貫いているのである。

おりしもこの映画が製作されたのは安保闘争まっさかりの時代、アメリカの従属下に置かれるのはNOだと、大学生達は必死の抵抗をしていたのであった。この映画の公開時、観客はどのような印象を持ったのであろうか?春子はアメリカに群がる日本の娼婦らを尻目に毅然と歩いていくのだが、それはアメリカからの自立を印象付けているのであるが、歩いた先のそこかしこにも実はアメリカが待っていることを描いてはいない。

安保闘争は一時的な熱病のようなもので(?)、今ではすっかりアメリカに染まってしまっているニッポン。金髪に染めた若者を目にしたとき果して当時と今とどれほどの違いがあるのだろうか?



68歳の店長が、楽天出店で月商1400万を達成。その秘密とは?

資産を増やすには人に任せられない。FX成功法則はこちら!

5,000円キャッシュバック付!
おうちでダンスエクササイズ☆ターボジャム



◆クリック、お願いします。 ⇒
◆関連書籍DVDはこちら↓↓
豚と軍艦

日活

このアイテムの詳細を見る

映画は狂気の旅である―私の履歴書

日本経済新聞社

このアイテムの詳細を見る

撮る―カンヌからヤミ市へ

工作舎

このアイテムの詳細を見る

今平犯科帳―今村昌平とは何者

日本放送出版協会

このアイテムの詳細を見る

今村昌平を読む―母性とカオスの美学

鳥影社

このアイテムの詳細を見る

今村昌平伝説

河出書房新社

このアイテムの詳細を見る

今村昌平の世界

学陽書房

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 骨太・今村昌平の映画NO.... | トップ | 骨太・今村昌平の映画NO.... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

今村昌平」カテゴリの最新記事