906『自然と人間の歴史・世界扁』ドイツの最低賃金
ドイツでは、2015年1月1日に全国一律の法定最低賃金(当時時給8.5ユーロ)が導入された。それまでも、業種別の最低賃金を決める枠組みは、緩い形で存在していたという。
けれども、それは、全産業に適用される、万人に法的な拘束力を持つ最低賃金としては存在しなかった。それというのも、労使は産別を中心に団体交渉を行い、そこで決定した協約賃金を拡張適用することで、未組織労働者へ波及させてきた。そういうことなので、1990年代初頭までは、さしたる必要性が社会的な声として上がらなかったのかもしれない。
とはいえ、この間の産業構造の変化や労働組合の力量低下もあり、その効果が限られるようになってきた。そこで政府もやっと乗り気になり、政府、産業界、労働者の間で制度化の合意がなったのだという。
その創設の2年後の2017年1月1日には、最低賃金が8.84ユーロに引き上げられた。そして迎えた2018年6月26日の最低賃金委員会は、最低賃金(時給)を、現在の8.84ユーロから、2019年1月1日より9.19ユーロ、さらに2020年1月1日を期して9.35ユーロへ、二段階で引き上げるよう政府に勧告したという。
(続く)
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