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【cinema】『ムーンライト』(試写会)

2017-04-01 01:48:19 | cinema

2017.3.21 『ムーンライト』試写会@ユーロスペース


cocoさんで当選! いつもありがとうございます。アカデミー賞作品賞受賞ってことで、是非見たいと思ってた。予告編の感じもよかったし楽しみに行ってきた~

 


ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「学校でいじめにあっているリトルことシャロンは、ある日逃げ込んだ廃屋で麻薬ディーラーのフアンと出会い、彼を父親のように感じる。少年になったシャロンは、母親の麻薬中毒、貧困、いじめなど様々な問題を抱えていた。心の支えは唯一の友達ケヴィンだったが、ある日事件が起きてしまう。数年後、ブラックことシャロンは麻薬ディーラーになっている。ある日意外な人物から連絡があり・・・」という感じ。これホントにこのまま。少年時代に事件が起きるけれど、それ以外は本当に主人公の日常を淡々と綴っている。主人公はある秘密があり、それゆえ自分の殻に閉じこもり無口な設定。なのでセリフで多くを説明してはくれない。なので合わないと感じる人もいると思う。個人的には嫌いじゃない。ただ、面白かったかというとちょっと違うかな。つらい日々を送るシャロンに同情はするけれど、胸が締め付けられるという感じでもなかったかも。その理由を探りつつ、感想書けたらいいと思うのだけど。

 

今作が長編2作目となるバリー・ジェンキンスが監督と脚本を手掛けている。毎度のWikipeidaによりますと、元はタレル・アルヴィン・マクレイニーの"In Moonlight Black Boys Look Blue" が原案で、マクレイニーはジェンキンス監督と共同で脚本を書いている。これ劇中でマハーシャラ・アリ扮するフアンが主人公に言ったセリフでもあるのかな? 公式サイトによれば、そもそもは学校の授業で使った戯曲とのこと。2003年に書かれたこの戯曲は、マクレイニーの薬物中毒だった母親がAIDSで亡くなった経験から書かれた半自伝的な作品とのこと。2013年にプロデューサーから2作目を求められたジェンキンス監督は、映画的で個人的な作品を作ることに決め、紹介されたマクレイニーの戯曲を映画化することにした。フアンのモデルはマクレイニーの弟の父親で、マクレイニーにとっても保護者的な人物だったのだそう。ジェンキンス監督の母親も薬物中毒であったこともあり、主人公の母親ポーラに関しては2人の母親が投影されているとのこと。


撮影は2015年10月14日に、フロリダ州マイアミで開始された。ロマンスキーと共にマイアミでロケ地を探した後、ジェンキンスは以前住んでいた場所で撮影を行うことに決めた。主撮影地には、ジェンキンスやマクレイニーが育った住宅地であるリバティ・スクエアが選ばれた。撮影中キャスト・クルーには警察による警備が付けられたが、ジェンキンスの親戚が地区に住んでいたため、撮影が邪魔されることはなかった。とのことで、ナオミ・ハリスによると、ジェンキンス監督の出身地ということで、地域の人々には誇りのような感覚と、監督を支援したいという気持ちがあったようで、撮影は愛を持って見守られたとのことで、このようなことが起きるのは奇跡だと感じたのだそう。なるほど~(o゚ω゚))コクコク


2016年9月2日にテルライド映画祭でワールド・プレミアを迎えた。作品は8日後の9月10日にトロント国際映画祭で上映されたほか、10月2日にはニューヨーク映画祭、10月6日にはロンドン映画祭で上映された。2016年10月21日には、ニューヨークとロサンゼルスの映画館で限定公開され、同年11月4日に全国公開された。日本ではファントム・フィルムが配給を担当し、公開日は2017年4月28日と予定されていたが、賞レースの結果を受けて約1か月早い3月31日へ前倒しされた。Rotten Tomatoesでは2017年2月27日現在、269件のレビューに基づき、98%支持の「新鮮な」映画に分類され、平均評価も10点満点中9点と高い評価を得ている。Metacriticでは、51件のレビューに基づき100点満点中99点が付けられ、「世界的な大絶賛」(英: "universal acclaim")と紹介されているほか、2016年の映画中最高得点を獲得した。


第74回ゴールデン・グローブ賞で、『ムーンライト』は6部門のノミネートを受け、『ラ・ラ・ランド』(7部門)に次いで2番目となった。作品は映画部門 作品賞 (ドラマ部門)を獲得したほか、監督賞(ジェンキンス)、映画部門 助演男優賞(アリ)、映画部門 助演女優賞(ハリス)、脚本賞(ジェンキンス)、作曲賞(ブリテル)の5部門にノミネートされた。第89回アカデミー賞では作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞。アカデミー賞でLGBTを題材とした作品が作品賞を受賞したのは初めて。と、長々Wikipeidaを読めばよいことを書いてきたけど、映画レビュー兼備忘録でもあるので、こういう情報も併せて載せておきたい。


さて、本題に入る。今作は主人公シャロンの半生を3つのパートに分けて描いている。幼年期、少年期、青年期でそれぞれの別の役者が主人公を演じている。ジェンキンス監督は彼らがお互いに影響を与えないように、撮影中に3人が会わないようにしていたのだそう。ということで、このレビューも3つの時代に分けて感想を書こうと思う。といっても、それぞれのパートは時系列順に登場して、交わって描かれることはないので、映画の進行どおり。各パートでシャロンの人生が変わる出来事が起きるものの、淡々と日常を描いている感じ。


《リトル》

リトルと呼ばれている小学生のシャロン(アレックス・ヒバート)は、彼をいじめている同級生たちから逃れるため、廃屋に隠れていた。すると、1人の男性が窓を割り中に入って来る。フアン(マハーシャラ・アリ)と名乗るこの男性は、麻薬の売人をしている。特に説明はなかったように思うけれど、舞台になっているのはマイアミで、この辺りは麻薬売買ストリートとなっているらしい。詳しい描写はないので、どの程度危険なのかは不明。今作では背景にボンヤリと映り込んでいるけれど白人の役者は登場しない。なので、この辺りは黒人売人の縄張りということなのか、単純に登場していないだけなのかも分からない。どっちもあるのかなとは思う。


特にフアンがリトルがいじめられている一部始終を見ていた描写はなかったと思うので、最初は窓を割って入って来る様子にドキドキしていたのだけど、どうやらリトルを守ろうとしている様子。名前を聞いても怯えているのか答えないリトル。フアンは彼を食事に連れて行き、名前や住所を聞き出そうとするけれど、リトルは一言も話さない。なのでフアンだけでなく見ている側もリトルのことが分からない。このシーンでリトルの意志の強さを感じさせる描写があったように思うのだけど忘れてしまった。でも、怯えているだけではなく、自らの意志で話さないのだということは伝わった。マハーシャラ・アリの演技が自然。


結局、家が分からないので自宅に連れて行くことにする。恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)にならば心開くかと思ったけれどダメ。名前はシャロンであることは聞き出せたけれど住所は言わない。結局一晩フアン宅に泊まることになる。ここまでの流れで見ている側にはリトルの情報はほとんどない。でも、彼がかたくなに住所を言わないことで、複雑な家庭環境であることが分かる。前述したとおり、リトルはほとんど話さないので、見ている側は映像や他の人の反応だったりで感じ取るしかない。とても上手く作られているので、感じ取ることは難しいことではないけれど、それにはやっぱり集中力が必要で、時々持続させるのが辛くなったのは事実。


翌日、リトルは住所を教えたようで、フアンは彼を家まで送り届ける。すると母親ポーラ(ナオミ・ハリス)が帰って来る。事情を説明するフアンに、お世話になったわねとは言うけれど、むしろ非難している様子。まぁ、見ず知らずの人が自分の息子を一晩泊めたと連れて来たら不信感を抱くのも分からないではない。この母親は後に麻薬を吸っているところをフアンに見とがめられるシーンもあるとおり問題を抱えている。狭い家には男性がいるけれど、間違いなくリトルの父親ではない。事実、その後彼の姿を見ることはない。この時点ではハッキリ分からなかったけれど、後に売春を示唆するシーンがあるので、この人物もお客だったのかも? ポーラは彼女なりにリトルを愛しているようだけれど、大切に育てているとはいいがたい。フアンにリトルの歩き方を見れば、彼がいじめられている理由が分かると語っていたけど、その辺りのこともリトルを受け止めかねているのかもしれない。


リトルはこの後、フアン宅を訪ねていくようになる。フアンに「オカマって何?」と聞くシーンがある。同級生たちが自分をそう呼ぶのだという。フアンの正確なセリフは忘れてしまったけれど、ゲイを蔑んだ言い方だという主旨のことを言う。このセリフはなかなかスゴイなと思った。フアンはリトルがいじめにあっていることは知っているわけだから、彼を傷つけないようにオブラートに包んだ言い方をしてしまいそうだけれど、そうはしないできちんと答える。そして、そんな言い方は絶対にしてはいけないと言う。そんな言い方をする人間が悪いのだということで、要するにリトルが悪いんじゃないということ。リトルがそれを全て理解できたかは分からないけれど、きっと何かは伝わったと思う。

 

今作を通じて一番好きだったのは、フアンがリトルに泳ぎを教えるシーン。リトルの住む地域から海までの距離が分からないのだけど、今まで誰からも泳ぎを教えてもらったことがないということ。フアンは父親のように文字通り手取り足取り教える。そして、今作で一番心にしみる一言を言う。「自分の道は自分で決めろ。周りに決めさせるな。」 誰にとっても同じだけれど、特にリトルのような環境の子供にとって、これはとても重要な言葉だと思う。環境に流されてはダメだということ。まぁ、そういうフアンが現在ヤクの売人なのであって、それが自分で決めた道だとしても、正しい道とは言えないけれど、それを踏まえての言葉なんだとすれば、深い言葉ではある。


もう一つリトルのパートで印象的だったこと。おそらくそれがタイトルになっているのだと思うけれど、フアンがリトルに語るエピソードで、以前祖母だったか、近所のおばさんだったかに言われた言葉。正確なセリフは忘れてしまったけれど、月明かりで泳ぐと黒い肌がブルーに輝いて見えるという趣旨。その表現がとても詩的だったし、情景が目に浮かんで美しかった。こういう言葉をかけられると、自分の肌の色に誇りを持てるのじゃないだろうか。今作に登場する黒人たちは、容姿が特別美しいというわけではないけれど、どん底の生活をしていても、とても美しく撮られていたと思う。主役を演じた3人、とくにリトルのアレックス・ヒバートの瞳の美しさが印象的だった。


《シャロン》

パートが変わって高校生のシャロン(アシュトン・サンダース)。相変わらず学校ではいじめにあっている。ドレッドヘアの同級生が中心人物。この人物が後にシャロンの運命を変える。母親は完全にドラッグ中毒となっており、現在はでは売春で生計を立てている様子。仕事をする時にはシャロンは家から追い出される。そんな時はテレサの家を訪ねて泊めてもらうらしい。詳しい説明がないので死因は不明だけれどフアンは既に亡くなっている。おそらく普通の死に方ではないと思われる。テレサはシャロンをかわいがってくれているようで、お小遣いなどもくれるらしい。そんなお金すら息子から奪うようになっている母。状況はさらに絶望的になっていて心が暗くなる。シャロンはますます無口になっている。


そんなシャロンの心の支えは、唯一の友達ケヴィン(ジャハール・ジェローム)。幼い頃から自然に接してくれた友人。ケヴィンは要領がよく、スクールカーストで言えば中間層の無難な位置をキープしている様子。女子からアプローチされセックスしたとニヤニヤしながら話してくる。なんとなく反応するシャロン。その夜、シャロンはケヴィンがセックスしている夢を見る。結構生々しいのに、そういう感じがしないのは、シャロンの寂しげな表情のせいか? シャロンはケヴィンに友達以上の気持ちを抱いているらしい。


学校の帰り道ドレッドヘアたちにからかわれるシャロン。ピッタリしたジーンズがおかしいというのだった。感情をめったに表さないシャロンだけど、彼がいわゆるノーマルでないことはなんとなく伝わるものなのかもしれない。LGBTに詳しくないので、心と体の性別が一致していて、異性愛者のことを何と呼ぶのか分からないので、ノーマルと呼ばせていただく。かすかに抵抗しようとする兆しはあるものの、やっぱりやめてしまう。まぁ、耐えられる範囲であれば刺激しない方が無難な場合もあるかもしれないけれど、ここで反撃できていれば人生は変わったかも? うーん、どうかな? 逃げるように家に帰れば、母親から追い出されてしまう。仕方がなく夜の海岸をさまよっていると、ケヴィンがやって来る。シャロンに呼び出された的なことを言っていたけど、なんとなくシャロンのイメージと合わなくて違和感がある。まぁ、別にどうでもいい部分ではあるのだけど、続くシーンが割と衝撃なので。


海岸に座って話しているうち、なんとなくそんな雰囲気になりキスをする2人。そして、ケヴィンの手はシャロンの股間へ。ケヴィンは女子との経験もあるし、後に息子がいると語っているので、ノーマルなんだと思われる。バイセクシャルの可能性もあるけど、なんとなく違うんじゃないかと思う。シャロンの気持ちを知っていたからじゃないかなと。自分に対して恋愛感情を持っているかどうかは別として、シャロンの恋愛対象が男性であることは分かっていたのだと思う。並んで座る2人の後ろ姿で描かれるそのシーンは、月明かりの中海が光って美しい。シャロンにとって大切な2人との印象的なシーンが海であることは狙いなんでしょうかね。


ケヴィンとのこの時間がシャロンにとってどういうものだったのかは、後に彼がケヴィンにするある告白で推し量るしかないのだけど、単純に幸せなだけではない複雑な感情があったと思われる。大切な時間であったことは間違いないと思うけれど、幸せで満ち足りた時間というわけでもない気がする。ケヴィンは何かを感じ取り、そういう行動を取ったのだと思うけれど、それで思いが通じたわけではないだろうし・・・ だから見ている側にとっても、温かい気持ちになるシーンではない。シャロンの性愛をそういう形で描くことに違和感を感じる人もいるかもしれないけれど、この描き方が今作の特徴でもあるのかなと思う。


その翌日、学校である出来事がある。ドレッドヘアがランチ中のケヴィンに近づきある提案をする。どうやら以前ドレッドヘアが選んだ相手をケヴィンが殴るという遊び?をしたらしく、またそれをしようというのだった。ケヴィンは乗り気はしていないようだけれど、それを隠して合意する。要するにケヴィンはそうして自分を守っているということ。それが正しいこととは思わないし、やらない勇気を持って欲しいとも思うけれど、ケヴィンを責めることは難しい。当然のようにドレッドヘアが選んだのはシャロン。シャロンを殴りたくないケヴィンは強くは殴れない。ドレッドヘアたちに囃し立てられ仕方なく殴るとシャロンは倒れる。倒れたまま起き上がるなと言うのにシャロンは何度も立ち上がる。シャロンが完全に倒れたところで、ドレッドヘアたちが彼を取り囲んで蹴り始める。警備員が止めに入る。酷い・・(*`д´)


学校の弁護士とかなのかな? スーツ姿の女性が被害を届けるように訴えるけれど、シャロンはそんなことをしても変わらないと頑なに拒否。このシーンはそれなりに長かったし、シャロンがドレッドヘヤやいじめについてだけでなく、社会や将来についても希望を持っていないことが分かるシーンとなっている。印象的なセリフを言っていたように思うけれど忘れてしまった。


そして、翌日事件が起きる。遅刻してきたシャロンは教室に入るなり椅子をつかみ、ドレッドヘアを殴り倒したのだった。もちろん暴力はダメだし、ここでドレッドを殴るのであれば、なぜ彼を訴えなかったのかと思うけれど、見ている側としては胸のすく思いがしてしまう。やっぱりドレッドのことを許す気にはなれない。シャロンはパトカーに乗せられて連行されてしまう。後に彼が少年院に入ったことが語られるけれど、シャロンをさんざんいじめて殴る蹴るの暴行を加えたドレッドはお咎めなしなの? 納得がいかないんだけど!(*`д´) 連行されるシャロンとケヴィンの目が合うシーンでこのパートは終了。映画の起承転結でいえば、このパートは転だと思うけど、前半はわりと欝々しつつも淡々としていたけれど、ラストで急展開してビックリ。でも、ドレッドを殴りつけた瞬間にシャロンは殻を破ったんだと思う。いい方向なのかは別として。


《ブラック》

マイアミを離れたシャロン(トレバンテ・ローズ)はアトランタでヤクの売人をしている。ひょろひょろだったシャロンはすっかりマッチョになっており、金の入れ歯?を入れていたり、高級車を乗り回したりと羽振りがいい様子。ブラックと呼ばれていて、手下?などもいるようで、それなりににらみをきかせているらしい。母親はどこかの施設にいるようで、たまには会いに来てほしいとメッセージが残っている。老人施設なのか中毒患者のための施設なのかは不明。働きながら暮らしているという話をしていたと思うので、後者の方かな? 説明があったかもしれないけど覚えいない。


母親ポーラに面会に来たブラック。母のことを許せないでいる様子。ブラックにまともな道を歩んで欲しいと言うポーラに対して、お前にそんなことを言われたくないと激昂してしまう。ポーラの言うことはもっともだし、今では施設で働きながら落ち着いた生活をしている彼女は、やっと息子のことを心配する母親になれたのかもしれない。でも、ブラックの気持ちはよく分かる。ただ、自分たちをさんざん苦しめたドラッグで生計を立てている現状をどう思っているのだろう? それはある意味復讐なのかも。ポーラはブラックの怒りはもっともだと言う。一番母親が必要な時に愛してあげられなかった。でも、お前を愛していると言って涙を流す。そんな母親を抱きしめるブラックの目にも涙があふれている。このシーンは感動的。人は変われる。2人が和解できてよかった。


意外な人物から電話がある。ケヴィン(アンドレ・ホーランド)からだった。刑務所に入っていた間に料理に目覚め、現在はダイナーで料理人として働いているとのこと。店で男性がある曲をかけてブラックのことを思い出し連絡をしたとのことだった。店に来てほしいと言う。どうやら、あれ以来会っていない様子の2人。ブラックは動揺しているように見える。翌朝、ブラックは夢精していることに気づく。このシーンはちょっと印象的。ブラックがケヴィンの夢を見たのか描写がないので不明だけど、明らかに前夜の電話が原因なのだと思われる。生々しいシーンではあるけれど、そうは描いていない。


もちろんケヴィンに会いに行く。ケヴィンの店はアトランタからかなり離れた場所だったと思ったけど、どこだったっけ? マイアミ? そうだとすると、車でどのくらいかかるんだろう? 車を降りた後、短く刈り込んだ頭にブラシをかけたのが印象的。いくら久しぶりだからといって、男性が友人に会うために髪型整えたりはしないよね? やっぱりブラックにとってケヴィンは特別な存在なのだということが分かる。


店に入るとケヴィンらしき人物が接客をしている。けっこう大きなお店だけど1人でやっているのかな? フロア担当じゃなくて料理人って言ってた気がするけど? ケヴィンはブラックに気づいていない様子。店内には何組かお客がいて、1人のブラックはカウンター席に座る。オーダーを取りにきてしばらくしてブラックであることに気づく。たしかにあのひょろっとしたシャロンのイメージしかないと気づかないかもしれない。ケヴィンがオススメ料理を作り、ワインを片手にやって来る。4人掛けの席に移り、2人でワインを飲み始める。どうやらブラックはお酒が好きではないようで、ワインも味あわずに飲んでしまう。強面マッチョになっても、中身はそんなに変わっていないのかもしれない。


ケヴィンはブラックも知っている女性と結婚したそうで、今は離婚してしまったようだけれど、2人の間には子供がいる。たしか息子だったような? 前述したけど女性と結婚して子供もいるのだから、ケヴィンはノーマルということなのかと。いろんな話をしていたけれど、具体的には忘れてしまった。何か重要な話してたかな? ブラックに連絡したきっかけになった曲もジュークボックスで流していたけれど、曲名などは分からず。自分としては、何故この曲でブラックを思い出したのかなと思ったりしたのだけど。


店を閉めてケヴィンを家に送ることになったらしい。ブラックの車を高級車だと言っていて、車種も言っていたと思うけど失念。車全然詳しくないので車種言われても分からないし。普段はバスで通っているというケヴィンに、バスは危険だと言う。そうなんだ? ブラックが高速に乗ったのかな?わざとやったのか的なこと言ってたけど、これはどういう意図だったんだろう? ちょっと分からなかった。


ケヴィンの家はこじんまり。かつてシャロンが暮らしていた家も狭かったけれど、それと同じくらいかな。日本人の感覚からすると1人で住むなら十分という感じ。今は家族と別れて1人で暮らす侘しさも感じられる佇まいではある。ここで2人はまた親密な雰囲気になる。ブラックはゲイであり、恋愛対象としてケヴィンを見ているわけだけど、ケヴィンがブラックのことをどうとらえているのかがいつも分からない。ケヴィンにゲイ要素があるかないかは別として、ブラックに対して恋愛感情があるということなのかな? 確かにそういう部分はあるかもしれないけれど、もっと人間愛的なものなのかなとも思った。


そしてブラックが告白する。あの日以来俺に触れていない。あの海岸の日から操を守っていたということ。そして2人は見つめ合う。ここで映画は終わり。これは実は1人の男性の恋愛映画でもある。純愛なのだと思うけれど、同じゲイの純愛だった『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』(感想はコチラ)ほど胸がしめつけられるものはなかったな。その違いがどこにあるのか実は自分でもよく分かっていない。Twitterなどの感想を見ると、切なくて心がしめつけられたという意見が多いので、自分とは合わなかったということかもしれない。


LGBTの方々に偏見はないけれど、映画や小説の題材として好んで見るテーマではない。恋愛対象が同性というだけで、恋愛の切なさや楽しさは同じだと思うのだけど、やっぱり自分の中にないので共感しにくいから。でも、孤独な魂が救いを見出した話だと考えると、ケヴィンは『イミテーションゲーム』のクリストファーと同じ存在なのかもしれない。そう考えると切ない気持ちになってきたけど、そうやって補完して納得しなければならない部分があったのも確かで、説明過多なのは好きじゃないけど、説明しなさ過ぎるのも合わないのだなと思った。そのさじ加減が難しいけれど。でも、嫌いではない。


キャストはみな良かったと思う。主人公を演じた3人がそれぞれ繊細な演技。ただ、リトルとシャロンを演じた2人のつながりは違和感がなかったのだけど、ブラックはあまりに別人でビックリ。まぁ、あの事件をきっかけに生まれ変わったってことだろうし、金歯も含めてそういう外見をすることで武装しているということだと思う。ポーラのナオミ・ハリスは、貧しい黒人女性のステレオタイプ的な役を演じることに躊躇したそうだけれど、素晴らしい演技だったと思う。実は3つのパート全てに登場するのはナオミ・ハリスだけ。その時々違う顔を見せることで、人間が墜ちていくさまや、立ち直ることができるのだということを表していたと思う。なんと撮影期間は3日だったそう! 女優ってスゴイわ


今作でアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ。出演時間は20数分だそうで、それだけで印象を残したのはスゴイ。リトルにとって父親のような存在になったことで、画面には登場しないけれど、シャロンにもブラックにも影響を与えたということ。その存在感はあったと思うけれど・・・ まぁいいか


美しい風景ばかりではないけれど、全体的に美しい映像だった。自分は黒が印象的だった。夜の黒、黒人の肌の色。例えばピッタリしたジーンズをはいているとかで、主人公がゲイであることを表現したりというような細工がしてあるのかもしれないけれど、自分には分からなかった。


そもそもは単館上映される予定だったけれど、アカデミー賞作品賞を受賞したことで上映館が増えているそう。でも、一般ウケは難しいんじゃないかな~ やっぱり映画慣れしていないと、いろいろ拾うの大変な気がする。そういう意味ではちょっとオススメしにくいのだけど、見て損はないと思う。

 

『ムーンライト』Official site


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2 コメント

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Unknown (mig)
2017-04-02 02:12:33
夜中に帰ってきたから遅くなったよーー
なんかやっぱりこれ、評判イマイチだよね。
話した通りだけど、やっぱりどうにも考えても
全然良いと思わなかったわー
でもお誘いありがとう!
試写で一緒に見れてよかったよ。
ジェイクのは面白かたよー!
返信する
>migサマ (maru🎵)
2017-04-03 23:47:00
お疲れ~ 遅い時間にありがとう

評判イマイチか~💦
描きたいことは分かるんだけど、ちょっと分かりにくいよね
全体的に今年のアカデミー賞は前回の反動で黒人に配慮って感じがしたので、
今作の作品賞受賞もそういう部分はあったと思うわ
確かにこれは試写でよかったよね。
ジェイクの見たかったのだけどね~ DVDだなこりゃ
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