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【cinema】『ラブストーリーズ エリナーの愛情』

2015-03-19 03:10:04 | cinema

2015.03.06 『ラブストーリーズ エリナーの愛情』@ヒューマントラストシネマ有楽町


ということでHERの方も見てきた! 時間的には同じ日に2本続けて見ることも出来たんだけど、ちょっと時間を空けた方がいいかな?と思ったのと、体力的な問題で二週に分けることにした(笑) 



ネタバレありです! 結末にも触れています!


「泣き顔で自転車を漕いでいたエリナーは、発作的に橋から身を投げてしまう。幸いにも腕の骨折だけで済み、迎えに来てくれた妹と共にそのまま実家へ。夫であるコナーからは何度も連絡が入るけれど、今は彼と暮らしたアパートに戻る気にはなれない。大学教授である父親の勧めで、聴講生として大学に通い始めるが・・・」という感じで、『ラブストーリーズ コナーの涙』(感想はコチラ)では謎だった部分が、全てとは言わないけれど一応ほぼ解ける感じ。


2人が絡む部分は基本重複して出てくるけれど、映画の対象となっている期間が若干違うのと、あるシーンに繋がる回想シーンがそれぞれ違っていたりするので、HIMにあってHERになかったり、HERにあってHIMにないシーンもある。例えば、なぜエリナーがコナーをドライブに誘ったかについて、回想シーンが入ることで分かりやすく説明されていたりする。ただ、HIMもHERも原題が『THE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY』であり、きっかけはどうあれ妻が夫を残して出て行ってしまってからの話なので、必然的にどちらもエリナーの行動中心に話が進む。HIMの感想にも書いたけれど、どちらも単体で映画として成立しているけれど、やっぱり両方見た方がいい。でも、どうしても片方しか見れないなら、個人的には今作のHERだと思う。HERの方が分かりやすかった。実は見る順番にもこだわった。まぁ、そんなに偉そうなものでもないのだけど、既に見た人の多くがHIM→HERの順が良かったと言っていたのでこの順番にしたのだけど、個人的にもこの順番で良かったと思う。エリナーの唐突に見えた行動の意味が良く分かった。


冒頭から違っていてビックリ。HIMは楽しいシーンから始まったのに、いきなり衝撃的。泣き顔で自転車を走らせるエリナー・リグビー(ジェシカ・チャステイン)の姿から始まる。彼女は自転車を飛び下り、そのまま橋から身を投げてしまう。偶然通りかかり慌てていた男性が通報したと思われるけど、次のシーンではボートで救出されている。病院では「ラドローさん」と呼ばれていたし、髪も長かったので、これは結婚後で失踪前の出来事。そういえばHIMでエリナーが骨折したと連絡を受けて、病院に駆け付けたのに「私たち距離を置きましょう」と言われて呆然としてた!そして、エリナーは帰ってこなくなり、実家に行っても居ないと言われ、コナー・(ジェームズ・マカヴォイ)は大混乱したんだった!すっかり忘れてた(o´ェ`o)ゞ まぁ、コナーと違って見ている側は、エリナーの心配をする必要はないから、実家にいようがアパート借りて1人で暮らしていようが、あまり関係なかったので気にしてなかった(笑) HERを見た結論としては、エリナーはずっと実家にいた。まぁ、計画的に進めない限り、新しいアパートなんて簡単に見つからないし、New Yorkじゃ家賃も大変だろうし。やけに現実的な話だけど、近郊に実家があるならとりあえず帰るよね。


リグビー家はNew York郊外の閑静な住宅街にある。大邸宅ではないけれど、日本人の感覚からしたら大きな家。日当たりのいいリビングが素敵 クローゼットもそのままになっているというエリナーの部屋は、びっくりするほど広くはないけれど、絵画やアンティーク調の生地のベッドカバーやクッションカバーなど趣味がいい。そういえばコナーと暮らしていたアパートも、この部屋とは違う感じだったけど素敵だった。


父親のジュリアン・リグビー(ウィリアム・ハート)は大学教授で母親のメアリー・リグビー(イザベル・ユペール)はフランス人で専業主婦。THE BEATLESのLIVEが中止となった会場で、隣にいたのが出会い。父親がリグビーという姓だったから、THE BEATLESの曲「Eleanor Rigby」から長女にエリナーと名づけた。そういえばHERではコナーはエリナーをずっとリグビーって呼んでたけど、HIMでは何て呼んでたっけ? エリナーは自分の名前気に入ってないのかな? 母親は娘たちを愛しているけど、どこか奔放なところがあり、躾などにも厳しくなかったようで、そのことを周囲に注意されたりしたらしく、母親としては失格だと思っている。母親として失格か合格かなんて、何をもって判断するのか分からないけど、とりあえず子どもたちを飢えさせることもなく、虐待することもなく育てたのだから、例え毎日ワイン片手に料理をしているからといって、母親失格ということでもないと思う。子育てに楽しみを見いだせなかったのだとしたら、本人にとっては不幸だけど、それだって向いてないってだけなんじゃ? そういう意味では、この母親は向いてなかったのかもしれないけれど、少なくとも2人の娘がそれぞれ結婚に失敗し、家に戻っているからといって、それは母親のせいでも、父親のせいでもない。犯罪を犯したり、あれこれ口出ししたりして、ぶち壊したのなら話は別だけど(笑) ただし、2人の放任主義的な考え方が、もしかしたら何かを決定する時に、影響を与えたかもしれないけれど、でも良いにつけ悪いにつけ、誰からも影響を受けていない人なんていないし・・・


と何故か長々母親擁護しているけれど、要するに両親が特別変わった人達だったわけではないけれど、エリナーの直情的なのに、理屈っぽい感じは、多少なりとも両親の影響があったのかなと思ったから。そして、これは自分も同じなので自信満々なのだけど、長子で長女だからなんじゃないかと思う。長子って生まれてから弟もしくは妹が生まれるまで、両親や周りの注意を一身に浴びていたから、特別気を引く必要がなかったため、甘え下手で自己主張が下手。かといって甘えたくないわけでも、自己主張したくないわけでもなくて、実はむしろしたい方。でも、下手なので変にひねくれた態度をとってしまう。長男もそうなのかもしれないけれど、長女は特に母親から"お姉ちゃんなんだから"と言われて、いろいろ頼られることが多い。特に、家事のことについて。以前、会社のかなり年上の先輩から聞いた話で興味深かったのが、兄妹が留守番していて、雨が降って来たのに洗濯物を取り込んでくれなかった。先輩は妹である娘さんを叱ってしまい、娘さんからお兄ちゃんも怒らないのは不公平だと言われたのだそう。確かにそれは不公平。でも、先輩は不公平なのは分かっているけど、女の子だからこそ気付いて欲しかったとおっしゃっていた。未だに家事は女性がするものって考えは古い(*`д´) という意見もあるとは思うけれど、先輩の気持ちは今なら分かる。女性だからこそ、そういう細かいところに気付いて欲しかったのだし、やっぱり結婚後の家事を想定していたのもあったと思う。ちょっと話が反れた上に、アメリカ人も同じとは限らないけど、エリナーの妹に対する接し方を見てると、なんとなく思い当たる節があったので・・・


妹のケイティ・リグビー(ジェス・ワイクスラー)は10歳くらいの息子を連れて家に戻っている。この甥っ子ちゃんは特別必要なかった気もするけれど、彼の存在がエリナーの癒しになっている部分もあったのは事実。そして、自分の息子からは失われた未来を見ている部分もあるかも? 妹が息子を連れて実家に戻っていることについては説明があったっけ? 後に新しい出会いを求めて頑張っている姿が描かれるので、離婚したのか、死別したのか、そもそも未婚の母なのか・・・ エリナーが30代前半だとすると、妹も同じくらいか、もしかすると20代後半?となると、息子ちゃんの年齢からすると未婚の母かも?って、そこはどうでもいいか(o´ェ`o)ゞ 要するにこの妹の存在がエリナーをとっても助けているってことが言いたいわけです


もちろんこの妹にも悩みなどいろいろあると思うけど、少なくとも画面の中では明るく素直な印象。姉のことが大好きで心配もしているし、ミステリアスなところがあるエリナーに憧れてもいる様子。その素直さが見ている側をも救う感じ。自分は弟との2人姉弟なので、姉妹の感じが分かっているわけではないのだけど、おそらくいろいろ複雑な部分もあるのだろうとは思う。でも、見せられていた部分に限って言えば、姉妹っていいなと思った。妹に対して無神経な質問をした友人に対して、思わず腹を立てて席を立ってしまう直情的なエリナー。自分も嫌な気持ちがしただろうに、さりげなくエリナーを諌める妹のケイティ。そのことで落ち着いて、なんとか体裁を保つエリナーの姿を見ていると、2人の感じが良いバランスだなと思ったし、ケイティに新しい出会いがあり、デートのために興奮気味に仕度する彼女に、大人っぽいワンピースを選んであげるシーンも興味深い。美人だけどちょっと野暮ったいケイティと、洗練された独特の雰囲気を持っているけど、どこか謎めいていて近寄りがたいエリナー。彼女の複雑な感じが際立つ。


さて、もう一人重要な人物が。父親の勧めにより聴講生として大学に通うことになったエリナーは、父親の知人であるフリードマン教授(ヴィオラ・デイヴィス)を訪ねる。確かに人を待つ間ずっと立っているのは辛いけれど、教授の部屋のドアの脇で壁に寄りかかって廊下に直に座るのは、10代ならまだしも大人の女性のすることではない。奔放なところも彼女の魅力なのでしょうが、これではフリードマン教授が不快感を見せるのも分かる。"エリナーとしては"自己紹介もしていたし、よろしくお願いします的なスタンスなのでしょうけれど、少なくとも日本の普通のOLちゃんの感覚からすると、これからお世話になる目上の人に対する挨拶として、こんな感じでいいのだろうかと心配になる部分も。フリードマン教授としては仕事だし、知人の娘だからイヤミを言いつつも受け入れるけど、この教授も結構辛辣。遊び感覚で来られても迷惑だとハッキリ言う。アメリカ大変そう・・・ もちろん全ての人がこんな感じではないと思うけれど(o´ェ`o)ゞ


でも、エリナーが学校に通い始め、少しずつ話をするようになると、お互いの距離感も変わって来る。それは主にエリナーが武装解除して行ったからだと思う。上手く言えないけど、多分エリナーは人見知りなのだと思う。前述したように廊下に座っちゃう感じが、非常識というよりはむしろ、ちょっと自意識過剰な感じがした。"こんなところに平気で座っちゃう奔放な私"アピールするウザイ人ではないのだけど、周りの目を気にして自然に振る舞えない感じっていうか・・・ 人に対しても素直に接することが出来なくて、頑なな態度を取ってしまうというか、何か武装しちゃっているように感じた。自分もちょっとそういうところがあるから何となく分かる。


エリナーの武装が解けたのはコナーが教室に現れてからの一連の騒動があったから。HIMではコナーが救急車で行ってしまうので、その後エリナーがどうしたのか分からなかったけど、実はあの後フリードマン教授が現れる。あの男性は誰かと尋ねる教授に、自分の夫ですと答える。フリードマン教授は飲みに行くかと誘ってくれるけどエリナーは1人でいたいと断る。でも、次のシーンではメイクも落とさず、靴も履いたままベッドで寝ているところを、甥っ子に起こされているので、飲みには行ったってことだよね。教授と行ったのか、1人で飲んでいたのかは不明だけど・・・ 誘いを断った後のことは描かれていないのだから、その間の脳内補完は人それぞれだと思うけれど、少なくとも"夫"という秘密を見られたことで、よりフリードマン教授に心を開いたのかなとは思った。その後、教授とランチしながら彼女の息子ちゃんの話を聞くシーンがある。子どもはいるの?と聞かれて、いると答えるエリナー。見ている側はその子がもういないことは知っているので、胸が痛くなるシーン。彼女はサラリと答えて、それ以外の話はしない。本当に辛いことは簡単に人に話せなかったりする。もちろん、人に受け止めてもらって救われることはあるけど、それが簡単にできないから苦しいのだし。このシーンは印象的。でも、息子のことをサラリと話せたことは、エリナーの中に何かしらの変化をもたらしたかも? 


エリナー側は仲のいい友人は出てこない。彼女の周りにいるのは家族。教授との会話によると、学生時代に妊娠して結婚したとのこと。もともと親しい友人がいないのか、事情が事情だけに友人と会うのを避けているのかは、明確にされていないので分からない。どちらもあるかなとも思った。人嫌いってこともないけれど、社交的なタイプでもなさそう。なので家族以外で現在のエリナーに影響を与えた人物としてはフリードマン教授のみ。2人の感じが友人のようでもあり、母娘のようでもありとっても良かった。


フリードマン教授の家族の話、夜リビングでダンスを踊る両親、そして妹の新しい恋など、様々な刺激を受けてエリナーはコナーとのことを考える。彼と初めて海へドライブした時のことを思い出す。なるほど、そういう経緯があってあの日コナーの店を訪ねたのか。唐突に感じたドライブの誘いも、その時のことを思い出していたからなのね。個人的にはこの時点でエリナーはコナーとの仲はもうダメだと思っているのだと思う。結局、息子を亡くしてからエリナーが家を出るまでの間、どのように2人が過ごしていて、その間どう感じていたのかはHERでも描かれない。なので何故エリナーがダメだと思ったのかは謎のまま。少なくともこの時点では、彼女が関係を修復するための努力をする気持ちにはなっていなかったように思う。そして、髪型やメイク、そして服装を攻撃的に変えたのは、自己防衛だったようにも思う。前述したように武装。ただ、フリードマン教授に対して武装解除できたし、家族の下で少しずつ癒されたので、コナーのことを考える余裕が出来てきたのかなとも思う。それくらいエリナーは思い詰めていたのかなと思った。


あの時、ドライブに行こうと思って会いに行ったのか、急に思いついたのかは分からないけど、頭の中にはドライブを想定していたのかなとは思う。それは楽しかったドライブを思い出したから。でも、残念ながら今回は楽しいドライブというわけにはいかなかった。途中まではとっても楽しかったのに 前述したとおり2人のシーンは少しずつセリフとか、言い方とか、アングルなどが変わっている。自分は一週間空いてしまったので、あれ?と思う程度だったのだけど(o´ェ`o)ゞ でも、エリナーの方が積極的だったのは同じだったと思う。ただ、HIMほど激しくはなったかな? ここでエリナーが繋がりを求めたのは、やっぱり寂しかったのかな。もちろん根底ではコナーを愛しているからなのだけれど、今は彼を以前のように愛していないと思っている。でも、やっぱり情があるからね 自分には経験ないけど、元カレと再会したらそうなっちゃったっていうのは、何となく理解出来る気がする。いろいろ"知ってた"人だから、やっぱり普通の知人じゃない。復縁したいとかそういうことではなくて、その瞬間繋がりたいと思うのかもしれない。その辺りのことが作用して、なんかそうなっちゃうっていうか・・・ って、ちょっと恥ずかしいけど だから、エッチすること自体に意味があるのじゃなくて、相手との繋がりみたいなものを求めたというか、だから当然誰でもいいわけでもないし、もちろんコナーだからこうなったわけで・・・


なので、コナーの告白は全くの的外れ。エリナーがどうでもいいと言ったのは、今盛り上がったのは愛情を確かめようとしたわけではないからなんじゃないかな。女性にだってもちろん性欲はあるけど、Sexに繋がりのようなものを求めるのは、女性の方が強いのかな? もちろん、男性もそういう部分はあると思うけれど・・・ その繋がりのようなものっていうのが、とっても言葉にするのが難しいのだけど、要するに上にツラツラ書いていたようなこと。結果エッチしていたら、エリナーは満たされたのか、より虚しくなったのか分からないけど、満たされたのならコナーをまだ愛しているってことだったのでしょうかね。まぁ、描かれていないことを想像しても仕方ないけど(o´ェ`o)ゞ コナーの告白後、エリナーがプリプリしていたのは、コナーが浮気したからではないことはHIMの時点でも分かっていたし、みんな分かることだと思う。もちろんコナーもそれだけが原因ではないことは分かっていたと思うけれど、明確な理由がそれしか思い浮かばなかったのでしょう。その辺りのことを男性と話し合いたい気はするのだけど、この話題は旦那さんとか恋人じゃないとなかなかしずらいので無理だね


MJことみうらじゅん氏を尊敬している理由はたくさんあるけど、その1つに「自分なんて探しても見つからない」という格言? MJ曰く"なりたい自分"探しなのであって、なりたい自分の姿を探しても意味がないという主旨。エリナーのこの頃の行動が自分探しなのかどうかは分からないけど、とにかく今の状況をなんとなしたくて、でもどうしたらいいのか分からないって感じに思えた。人によっては自分を分かってって自己主張している面倒な人に感じるようで、確かに友達だったら面倒だけど、映画のキャラとして見ている分には嫌ではない。自分にも思い当るふしがあったりして、ある意味嫌だったりするけど 結局、父親の勧めでパリに行くことにしたらしい。これは留学だったんだっけ? パリに行ったからといって劇的に何かが変わるわけでもないと思うけれど、環境を変えるという意味ではいいのかもしれない。帰ってこれる実家があって、親が大学に通えるように便宜を図ってくれたり、パリ留学の手配もしてくれちゃうなんて、とっても恵まれた環境。そんな環境で何甘えてるの?と思わなくもないけど、恵まれているのはエリナーのせいではない。この父親の温かい目線は良かったけど、これじゃファザコンになるわ~┐(´-д-`)┌  この父親の感じを求められたらコナーも辛いでしょう まぁ、彼もマザコンなのだとは思うのだけど


パリ行の話が進む中、コナーが部屋を引っ越す日がくる。電話をかけたのがエリナーなのは分かっていたけど、このシーンは良かった。行くべきかどうか悩んだのだと思う。でも、どうしても抑えきれなかったのでしょう。そして、あの部屋。疲れて眠っているコナーに毛布かける。見慣れたはずの3人で暮らした部屋が、今では雑然としていて全く別の場所のようになってしまった。目を覚ましたコナーに言うセリフは同じだったと思う。あの子の笑顔が頭から離れないけど、あの子の顔が思い出せない。あの子を忘れちゃった HERではずっとエリナーを見てきたわけだけど、エリナーが息子への思いを話したのは初めてだったかも。妹(だったかな?)にコナーと距離を置いた理由を語ったシーンがあって、彼が息子の物をぞんざいに扱って、もう過去の出来事のように言ったから。正確なセリフを忘れてしまったのだけど、確かにそれは母親としては許せないかもしれないと思った。もちろんコナーには悪気はなかっただろうし、そういう意図で言ったのではないと思うけれど、何気ない一言が人を絶望させることもある。女性は面倒だと言われそうだけど(o´ェ`o)ゞ 彼がもう悲しんでいないと思ってしまったのかも。一緒に立ち直って欲しかったと言っていたようにも思うので。でも、この時コナーが涙を流して、君によく似た美しい子だった。世界一美しい子だった。と言った時、彼も苦しんでいることが分かったのでしょう。そして、苦しみ方悲しみ方、その癒し方が"同じ"ではないことも分かったのかも。そして、2人はまた結ばれる。コナーが愛してると言った後、HIMではエリナーも愛してると応えていたけど、HERでは「分かってる」と答えている。どちらが正しい記憶? まぁ、ここはエリナーでしょう。自分もここでは愛してるって返さない方がしっくりくる。上手く言えないけど・・・ 


そうそう! もう一つ男性と話したいと思ったことがあった。これはHIMを見ていた時にも感じていたのだけど、コナーは終始エリナー自身はもちろん、彼女と共に過ごしていた日常も取り戻したいと思っているように感じていた。もちろん、彼が息子の死を悲しんでいたことは間違いないと思うけれど、それよりもエリナーもしくは2人の日常に執着していたように思う。でも、エリナーの中ではずっと息子のことの方が比重が大きかったように思う。息子の死を乗り越えられないでいることが大きくて、コナーと一緒には乗り越えられないと思ってしまったから、絶望して自殺未遂をしたり、彼から逃げてばかりいるように見えた。特にHIMを見てた時には、大学に現れた彼を明らかに迷惑な存在と思っていたっぽかったので。それは、新しい人生を歩きたいと思っているように見えていたけど、HERを見ると迷惑だと思ったことは同じでも、彼女の中ではまだ何も整理がついていないから、今はコナーと向き合う時間がなかったってことに見えた。それはやっぱり、生む性である女性(母親)と、生ませる性である男性(父親)との違いなのかな? ここが一番知りたいところ。


さて、エリナーはパリに旅立つ。甥っ子に2年くらい会えないと言っていたように思うので、そのくらいは行っていたのかな? その間のことは全く描かれないのでパリで何をしていたのかも不明。でも、戻ってきたエリナーは洗練された大人の女性になっていた。そう、あの店から出てきたコナーを後を追って公園まで歩くシーン。決して速足でもなく、ゆっくりと距離を取って歩く。余裕のある振る舞い。トレンチコート、ヒール、サングラスに夜会巻。パリに行っただけで洗練された女性になれちゃうわけではないと思うけれど、この辺り『麗しのサブリナ』に代表されるオードリー・ヘプバーンの映画を思い出す。エリナーの姿は『ティファニーで朝食を』のオードリーみたいだったし。きっと、パリで充実した時間を過ごし、自分なりに傷を癒してきたのだなと感じる。もちろん傷が完全に消えることはないと思うけれど・・・ 前を歩くコナーを見守るように歩く。愛おしい人を見るような目線でカメラが動く。HIMではエリナーが声を掛ける前で終わっていたように思うけれど、HERではエリナーが「Hey!」と声を掛けて終わる。2人の関係は若い頃の公園での無邪気なものではなくなったけれど、これから新しい関係が築かれるのでしょう。希望の持てる素敵なラスト


キャストはみんな良かった! 名優揃いだからHERの方が見応えあったかな。フリードマン教授はHIMでは見切れ程度の出演で、クレジットされててどこに出てたとビックリしたけど、ヴィオラ・デイヴィスはさすがの演技。最初は辛辣な態度だなと思うけれど、懐に入ってしまえば良い人って感じが良かった。いつも片手にワイングラスの母イザベル・ユペールは、HIMではいかにも義母って感じで威圧感があったのに、HERではダメ親ぶりを嘆く場面もあって、いくつになっても"大人"になることは難しいと感じさせる。妻には向いているかもしれないけれど、母親には向いていない人もいる。でも娘たちを愛していないわけじゃない。それがちゃんと伝わった。妹のジェス・ワイクスラーの明るさが、見ている側の気持ちも救う。姉に憧れつつも心配している感じは、姉妹っていいなと思わせた。父親のウィリアム・ハートが完璧過ぎる父親を好演。大学教授で、スマートで素敵。妻を愛していて、娘たちも愛している。もちろん父親にだって欠点はあるのでしょうが、これはエリナーが見ている父親だからね。父親の存在がコナーを見る目を厳しくしているわけだから、その辺り完璧な演技 HIMのジェームズ・マカヴォイはダメ男臭が強かった。HERでもそういう部分がなくはないけど、確実にこちらの方がカッコ良かった。それは多分エリナーが美化しているからなのでしょう。同じことがHIMのエリナーにも言えるので。なので、もしかしたらHIMのコナーを好きな女性の方が、男性のことを理解していると言えるのかな? 男性はいつまでも少年の部分があって、その部分を愛おしいと思えているというか・・・ 本人側を描いているのだからHIM側のコナーが本来の姿なのでしょうけれど、エリナーが見ているコナーはもう少し繊細な感じ。そして、もう少し落ち着いている。だからエリナーは息子に対して冷たいと思ってしまったのかも。でも、違う。そのエリナーに見えてるコナーの演じ分けが素晴らしかったと思う。


それはエリナーのジェシカ・チャステインにも言えること。HIMではやたらとミステリアスだった。HERでもそういう部分はあるけれど、自分を守るために武装しているように見えた。本当のエリナーは複雑ではあるけれど、そんなに大人でもミステリアスでもない。もっと弱い。見せているほど奔放でもないし、強くもない。そして嫌な人でもない。HIMの時、バーテンダーの女性がエリナーに対して気まずそうにしていたのは、もちろんコナーとエッチしちゃった後ろめたさがあったと思うけど、エリナーの近寄りがたさみたいのもあったのかも。それは彼女が武装しているから。HIMではコナー目線のつかみどころのないミステリアスな女性として演じ、HERではそれは実は武装であることを自然に演じていたと思う。やり過ぎてもダメだし、やらな過ぎてもダメ。さじ加減が絶妙。さすがジェシカ・チャステイン 面倒ではあるけれど、嫌な人にはなっていない。そして、彼女の欠点を自分の中にも見てしまう。それはジェシカ・チャステインのおかげ。


New Yorkの街並みが素敵。特別美化していないのもイイ。コナーとエリナーにとっては日常の風景なので。自分も一緒にそこにいるかのような自然な感じ。East Village中心に撮影したそうで、エキストラはほぼ実際のNew Yorkerなのだそう。なるほど、だから自然なのね。2人のアパートの部屋も好きだったけど、エリナーの実家が素敵。特にサンルームみたいに大きな窓に囲まれた部屋は居心地良さそう。あの部屋で本読んだり、昼寝したりしたい エリナーの部屋も好き。アンティークっぽいクッションカバーとか、壁に掛けられた絵とか素敵。冒頭のロングヘアに素朴な服装のエリナーも好きだけど、武装したエリナーも好きだった。あの髪型カッコイイ! 細い眉毛に目の周り真っ黒は真似できないけど、ジェシカ・チャステインの個性的な顔立ちに合ってる。服装も大胆になって行くのも分かりやすくていい。


感想書くの時間かかったので、上映もう終わっちゃう これはやっぱり男女で見て、感想話し合うのが楽しいと思う。もちろん女性同士、男性同士で見ても楽しいと思うけど。どちらか1本しか見れないなら、個人的にはHERをオススメする。でも、やっぱり両方見て欲しい! HIMにも書いたけど、ジェームズ・マカヴォイ&ジェシカ・チャステイン好きな方是非!


『ラブストーリーズ コナーの涙/エリナーの愛情』Official site

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