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[脱原発行動] 薄れゆく怒り 安倍政権発足後

2013-03-17 | Weblog

(街頭へ)消さない、官邸前の灯 参加者が激減、でも「脱原発」:

東京・永田町の首相官邸前で、毎週金曜夜に脱原発を訴える抗議行動が始まって間もなく1年。街頭での異議申し立ては政治参加の新しい形として注目されたが、参加者は減りつつある。「灯台のともしびのような存在に」。主催する市民団体や参加者たちは息の長い取り組みを目指している。

 「再稼働は暴挙」「原発依存に未来はない」

 15日午後6時、首相官邸前では太鼓のリズムに合わせた抗議行動が始まり、さまざまなメッセージが書かれたプラカードが掲げられた。東京電力福島第一原発の爆発事故から2年。通算46回目だ。

 昨年6月から参加するヘアメーキャップアーティストの武藤ちづるさん(55)=東京都目黒区=は仲間とフェイスブックで連絡し合い、必ず誰かが官邸前に来るようにしている。「何も言わなくなってしまえば、なし崩し的に原発が再稼働されてしまう」と考えるからだ。

 昨年7月から月1回のペースで参加している森洋一郎さん(28)=東京都内=は自営業。仕事を早めに切り上げて来たが、最近は若い人をあまり見かけなくなったと思う。「放射能の怖さを実感しにくいせいか、関心が薄れている感じがする」。多くの人と問題意識を共有しようと、抗議の様子をツイッターで発信している。

 抗議行動を主催する首都圏反原発連合(反原連)によると、昨年3月末にスタートした時は約300人だった。当時の民主党政権が関西電力大飯原発の再稼働に踏み切る直前の6月末には約20万人に膨らんだが、今年は1万3千~2500人で推移。15日は「約3千人」と発表した。

 一方、警察関係者によると、ピーク時は昨年7月初めの約2万1千人。警察も参加者が減少傾向にあるとみており、「最近は数百人規模」とみている。

 反原連の中心メンバーのミサオ・レッドウルフさんは参加者が減っていることを認めたうえで「脱原発を望む人が減っているわけではない。毎週、行動を続けることで、灯台のともしびのような存在になっている」と話す。

 官邸前に来たことのない人たちに問題を知ってもらおう――。反原連は2月、駅頭などでリーフレットを配る「NO NUKES MAGAZINEプロジェクト」を始めた。

 第1号は「基本編」。原発事故が起きた福島の現状や稼働中の原発の数、原発のコストを分かりやすく解説した。第2号、第3号と配布を続け、仲間を増やしていきたいとしている。

 ■参加やめた人たちは 再稼働、限界感じた 無意味とは思わない

 なぜ、抗議行動への参加者は減っているのか。

 昨年7月を最後に官邸前に足を運んでいないNPO職員の女性(44)=神奈川県相模原市=は「限界を感じた。デモで何かが変わる状況ではなくなった」と打ち明けた。

 原発の再稼働に反対の意思を示そうと、昨年6月から3回ほど参加した。国内では50基の原発がすべて止まり、抗議行動の参加者が回を重ねるごとに増えていた時期だった。「市民の力が政府を動かすかもしれない」。女性は期待したが、大飯原発は再稼働した。

 周囲との温度差も感じたという。フェイスブックで抗議行動のことを投稿しても、反応する友人はごくわずか。「ただ声を張り上げるだけでは意味がない。どうしたら理解を広げられるか考えている」

 グラフィックデザイナーの女性(44)=東京都板橋区=は昨年7月末を最後に参加していない。仕事を早めに終わらせて、5歳の息子とともに官邸前に通ったものの、片道1時間の負担は重かった。さらに昨年12月の衆院選で原発維持を掲げる自民党が圧勝。反原発の思いが反映されなかったと、女性は落胆した。

 でも、声を上げた経験が無意味だったとは思っていない。「今まで政治家は何をやっても国民が文句を言わないと思っていたかもしれないが、もう昔のように黙っていないと認識させることができた」(ASAHI)


[子どもの虐待] 児童の叫び届かず(児童相談所の相次ぐ失態)

2013-03-17 | Weblog

「おねがい たすけて」虐待被害8歳、友達に手紙:

事件は1月23日に起きた。義父の無職松田和幸は、堺市堺区の自宅で1時間半にわたって内縁の妻の小6長女(12)に暴行。ヘアアイロンなどで殴り、タンスにたたきつけるなどし、両目に重傷を負わせた。この時、次女も殴られたが、大きなけがはなかった。

小2次女(8)は事件直前、手紙を友達に託していた。友達の保護者が朝日新聞に証言した。

 保護者によると、手紙を受け取ったのは事件3日前の20日。次女は小学校で、友達に「はい、手紙。読んでね」と、折りたたんだ緑色の折り紙を手渡した。友達は帰宅後、保護者と一緒に読んだ。SOSの言葉が鉛筆で書かれていた。

 「おねがい ガッツ(義父の愛称)から たすけて」

 だが、保護者が堺署に通報したのは10日後の30日。通報が遅れたのは「すぐに動いてくれない」との思いがあったからだという。

 実は、複数の保護者が昨夏には異変に気付き、小学校や警察、児童相談所(児相)に計20回ほど連絡していた。

ある保護者は昨年8月、家に遊びに来た次女から「朝ご飯を食べさせてもらっていない」「(義父に)お皿で殴られた」と打ち明けられていた。同じ頃、別の保護者は、次女の背中にこぶし大のあざが4カ所あるのを見つけた。2人の保護者は昨秋以降、虐待を疑って堺署などに通報したという。 

こうした通報に対して、堺署は昨年12月、家庭訪問で長女と次女、母親(32)と面会し、児相に「また虐待を受けるおそれがある」と通告した。

だが児相は、虐待は常習的ではないと判断し、義父を口頭で指導するにとどめていた。児相は「その当時に考えられる最善の対策をした。しかし、重大な結果に自責の念がある。より良い対処法を検討する」としている。

結局、事件を防げず、堺署が義父を逮捕したのは今月14日だった。(ASAHI)


いまだ児童ポルノ国日本、規制強化で汚名返上なるか(4/1更新)

2013-03-17 | Weblog

 

追加記事:


 

児童ポルノ禁止法改正案提出へ

4月1日 4時23分NHK
児童ポルノ禁止法改正案提出へ
 
自民・公明両党は、いわゆる「児童ポルノ」の規制を強化するため、新たに、子どものわいせつな写真や画像などの所持を禁止する、「児童ポルノ禁止法」の改正案を近く、国会に提出することにしています。

18歳未満の子どものわいせつな写真や画像などの、「児童ポルノ」を巡って、自民・公明両党は、「被害者となる子どもたちをこれ以上、増やさないため、規制強化を急ぐべきだ」として、児童ポルノ禁止法の改正案を今の国会に提出する方針です。
改正案では、今は禁じられていない、子どものわいせつな写真や画像などの所持を新たに禁止したうえで、みずからの性的好奇心を満たす目的で所持した場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を科すとしています。
また、検討課題として、法律の施行から3年後をめどにインターネットでの児童ポルノの閲覧を制限する措置を導入することを挙げています。
自民・公明両党は、改正案を、近く提出し、今の国会で成立させたいとしています。

 


 

記事:児童ポルノ低年齢化で被害深刻、摘発も過去最多

  児童の犯罪被害を巡っては、児童ポルノでも低年齢化やインターネット上での長期間の流出など深刻な事態が続いている。

  昨年(2012年)の1年間に児童ポルノ事件の摘発は、件数が前年比9.7%増の1596件、人数は同24.8%増の1268人で、いずれも過去最多を更新。新たに被害を認定した児童1264人のうち小学生以下は56.3%に達した。

 児童ポルノはファイル共有ソフトなどを通じてネット上で拡散し、一度流通すると被害が半永久的に続く。昨年摘発された事件のうち、28人の被害者については、児童ポルノが5年以上ネット上に流通していた。

 ファイル共有ソフトを利用した事件は過去最高を記録した前年の1.4倍の519件に達した。ソフトの種類は19種類と多様化も進んでいる。

記事:与党、規制強化法案提出へ 

 3月9日、自民、公明両党は児童ポルノ画像の氾濫を食い止めるための児童買春・ポルノ禁止法改正案を今国会にも提出する方向で調整に入った。児童ポルノの提供や販売目的の所持に限らず「単純所持」も禁止し、罰則を科すことが柱。他党にも賛同を呼びかける。

 改正案は個人の趣味で18歳未満の性的な画像などを収集する「単純所持」を処罰の対象にすると明記。違反すれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すとした。現行法は販売や提供目的で所持した場合に限って罰則を設けている。

ただ、2011年、前与党・民主党が「単純所持」の処罰対象を「有償かつ反復」して取得した場合に限る内容の改正案を提出した時には、廃案になった。

 

芸能人ブログ: アグネス・チャン

「児童ポルノに反対してるためにネット上の誹謗中傷が絶えません」:

今月10日付の日経新聞によると、児童ポルノ法改正が本国会提出に与党が調整に入ったと報道されました。児童ポルノの単純所持を禁止する法改正です。 長年、この法改正を求めて来た一人として、期待できる話です。

1998 年、アジアや日本で被害者の実態を知って以来、児童ポルノを反対する姿勢を取るようになりました。その為に私に対するネット上の誹謗中傷が絶えません。 ダメージはもちろんあります。

でも児童ポルノの犠牲者を守るために、自分のダメージは構いません。

G8の国の中で、児童ポルノの所持を違法としないのはロシアと日本だけです。日本も国際法と足踏みを揃え、子供たちに対する性搾取を止めて頂きたいと思います。

今回の国会で提出される法案が可決される事を期待しています。

 

補足:アグネス・チャン(1955年生、カトリック教徒、3男の母親)。歌手、エッセイスト、社会児童心理教育学者。香港から来日し一躍人気アイドルとして歌手デビュー。その後芸能活動を休止し海外留学。カナダ・トロント大学卒業後、米国スタンフォード大学大学院教育学博士課程でPhD(博士号)を取得。教育活動ばかりでなく、貧困や平和へのボランティアやチャリティーなどの社会奉仕活動にも積極的に参加し発言していることでも知られる。

<日本ユニセフ協会大使平和活動>アグネスは1998年に日本ユニセフ協会大使に就任した。就任後、多くの貧困や政治難民の国々を公式訪問し、現地で目にした子どもたちの窮状を広く伝えるほか、日本の平和を目指す提言を行っている。

<児童ポルノ批判活動>アグネスは、児童ポルノの被害者を実際にタイ、カンボジア、フィリピンの現状を見て、児童ポルノに関して厳しい立場をとっている。2008年3月11日には森山眞弓元法務大臣と共に、「児童ポルノの単純所持禁止、児童を性的に描いたものも『準児童ポルノ』として禁止するべきだ」という声明を発表。政府、国会に意見を求めている。NHKの番組『視点・論点』に出演した際にも、「私は子供たちの人権を守りたい」「表現の自由を守りたい」と語り、日本も既に法制化を実現している先進諸国と足並みを揃えるべきではないかと提言している。

 

 


猫かぶりのタカ派安倍晋三、米国が危ぶむその真意

2013-03-17 | Weblog

「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻した」――。2月22日、米国の首都ワシントンでバラク・オバマ大統領との初の首脳会談を終えた安倍晋三首相は、誇らしげにこう宣言した。日本では政治家やメディアがこぞって安倍首相を褒めたたえ、経済・外交大国として「日本は戻ってきた」とする首相の大胆な主張に沸いた。

■    真意をくみ取れない米政府

しかし米国での見方はかなり異なる。ニューヨーク市にあるコロンビア大学のジェラルド・カーティス教授は、安倍政権が「この首脳会談を歴史上重要なものに見せるため」に今回の訪米を演出した、と指摘する。安倍首相が日米の同盟関係を救ったというのは断じて真実ではない。12月の総選挙で安倍氏率いる自民党が民主党から政権を奪うずっと前から、日米関係は十分に安定していた。

 オバマ政権にとって信頼しきれない対象があるとすれば、それは安倍首相その人かもしれない。尖閣諸島を巡る日本と中国の対立があわや暴走しようかというこの時期に、しかも米国も巻き添えを食うかもしれない事態なのに、米国政府は安倍首相の真意をくみ取れずにいる。これまで安倍首相は右派の議員仲間と歴史認識の見直しに向けた動きを推し進めてきた。それが今、歴史認識に関してはトーンを抑えている。

■首相の実利主義は見せかけか

 日本の地位回復を狙う安倍政権は、これまで急速な展開を戦略の柱としてきた。日本経済は長期にわたって停滞に苦しんでいる。デフレからの脱却を目指して日銀に大胆な政策を迫る一方、政府支出の拡大を約束する安倍氏の姿は、「決断力のある指導者」という印象を強めている。株式相場は急騰した。最近の世論調査によると、安倍首相の支持率は70%を超えている。ここ数年間にぶざまな姿をさらした歴代首相、そして2006~2007年の第1次政権で見せた安倍氏自身の悲惨な姿に対する評価と比べると、驚くほどに高い数字である。

 今回の日米首脳会談で安倍首相の評価はさらに高まったようだ。

法政大学の森聡教授はその理由を、安倍氏がイデオロギーではなく実利に従って動く人間だとの印象を与えたからではないか、と分析する。

安倍氏は経済を自らのアジェンダの中核に据えてきた(経済はおよそ同氏の専門分野ではない)。支持率が上がることで自民党内の調和も保たれている。それでも心配なのは、安倍氏の実利主義が上辺のものにすぎない可能性があるからだ。

■理解しにくい歴史認識

 首相就任以来、安倍氏が書いてきたメッセージは、同氏の世間知らずぶりを露呈している。

彼は、1945年の敗戦以前の帝政日本は悪事を働いたことがほとんどないと考えているらしい(この見解は隣国の怒りを買っている)。

さらに不思議なのは、戦後の日本に善い行いがほとんどなかったかのように書いていることだ。

また、「日本という国」を「戦後の歴史による支配」から解放したいとつづっている。

 安倍氏の意味するところが何なのか完全にはわからない。

だが、主な不満は日本国憲法の平和条項に向けられているようだ。

安倍氏から見れば、この条項は敗戦国の日本に米国が無理やり押しつけたものであり、国を骨抜きにした元凶だ。

そして日本の骨抜き状態は1960年代に日本の社会主義者がもたらした影響によってさらに悪化したというわけである。

 だが実際には、戦後における日本の平和主義は国民から高い支持を受けている。

一方で、米国が日本の安全を保障したことによって、戦後の日本は未曽有の経済成長と繁栄を経験することができた。

安倍氏の祖父にあたる岸信介氏(安倍氏と同様に首相を2度務めた*)は、戦後の秩序を構築する上で中心的な存在であった。

安倍氏が率いる自民党とその支持母体である産業界は、戦後体制の恩恵を誰よりも享受した。

■米国の関心はTPPと普天間基地

 通常なら米国も受け入れるであろう安倍氏の思想が今回は歓迎されなかった。タカ派の安倍首相が中国を刺激しかねないとの懸念からだろう。

オバマ政権は、日本国憲法の解釈を見直したいという安倍氏の願望を公然とは支持しないことを明確にした。

安倍氏の目指す解釈の見直しは、日本が集団的自衛権(例えば米国が攻撃を受けた場合に援助に駆けつけるための法的資格)を行使できるようにすることが目的だ。

日中がいがみ合う尖閣諸島(中国名は釣魚島)を日本が治めることについて、オバマ大統領もジョン・ケリー新国務長官も、ヒラリー・クリントン前国務長官ほどには支援を強く約束しなかった。

ケリー氏は、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲であることを改めて確認しただけだった。

 むしろ、米国政府は今回の首脳会談で別の2つの案件に対する日本のコミットメントを引き出そうとした。

1つは、米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)についてだ。安倍首相は慎重に言葉を選びながらも交渉参加を約束した。ただし、最大税率が777.7%であるコメの関税撤廃については何の約束もしなかった。自民党は聖域なきTPP交渉には参加しないと言い続けている。

 もう1つは沖縄の米軍基地移設問題に関するコミットメントである。安倍首相はオバマ大統領に対し、米海兵隊が使用している普天間基地の移設に向けて「具体的な行動をとる」と伝えた。2009年に政権の座に就いた民主党は、この基地移設問題で日米関係を混乱させた。

 安倍氏がしたこれら2つの約束は、どちらも大胆な内容だ。沖縄県民は12月の総選挙では圧倒的に自民党を支持したが、「基地を沖縄本島の人口過疎地に移設する」という方針には断固として反対する。彼らの望みは米軍がこぞって沖縄から出て行くことだ。

 一方、自民党所属の国会議員の5分の3がTPP参加に反対している。7月の参議院選挙を控え、支持母体である保守的な農業関係者の反発を恐れているのだ。

 米国やその他の国で、TPP参加を切望する通商の専門家が日本の参加による交渉の遅れを心配するのは理解できる。日本が参加しなければ、TPP交渉は今年中にまとまるめどがついている。日本が加わった場合、少なく見積もっても2年は交渉が延びるかもしれない。

■参院選後の政策に懸念

 国民と党員からの支持を維持するために、安倍氏は有権者に対して今後も経済を最優先に扱うと伝える必要がある。米国からの帰国後、安倍氏は驚くような政策を展開した。2月28日には、アジア開発銀行総裁を務める黒田東彦を次期日銀総裁に指名した。黒田氏、及び副総裁に指名された岩田規久男氏は、新たな「2%のインフレ目標」の達成に向けて安倍氏が提唱する「無制限の金融緩和」の支持者だ。

 この2人を任命することは、日銀に対して敵対的買収を仕掛けるのと同様の意味を持つ。日銀は、自らが着手した非伝統的な金融政策の利点に対して複雑な思いを抱えている保守的な砦なのである。

 安倍氏は、野党が過半数を占める参議院においても13兆1000億円規模の補正予算への支持を取り付けた。予算案が1票差で可決された時、首相への歓声が上がった。今回の予算を成立させたことで、安倍首相は有能だとアピールすることができた。自民党にとっては、7月の参議院選挙に向けて幸先の良い一歩となった。

 参議院選挙で自民党が勝利し、安倍首相が両院を掌握すれば、日本の政治が直面する行き詰まりを打開できるかもしれない。そうなれば、構造改革を進めることも可能になるだろう。だがそれで勢いづいた安倍氏が全面的な憲法改正に臨んだり、戦時中の残虐行為に関する認識を修正(ましてや転換)したりすれば、日中関係は悪化の一途をたどる。米国が何より懸念するのはまさにその点である。

(The economist)


猫かぶりのタカ派安倍晋三、元衆院議長・河野洋平に聞く

2013-03-17 | Weblog

◇「アジアの中の日本」意識した協調を

◇不条理な事態のまま原発再稼働おかしい

◇解釈による集団的自衛権行使、不真面目な議論

 歴代最長の衆院議長、河野洋平氏(76)は、宮沢喜一内閣の官房長官として従軍慰安婦問題で旧日本軍や官憲の強制性を認めた「河野談話」(93年)を発表、アジア諸国との関係発展に尽力した。09年に政界を引退したリベラル派、河野氏に、安倍晋三政権や改憲論議はどのように映っているのか。松田喬和専門編集委員が聞いた。【構成・瀬尾忠義】

 −−安倍内閣の支持率が続伸しています。

 河野氏 これまでの短命政権と違い、発足後の支持率が発足時を上回っている、けうな政権です。高い支持率の理由は三つ。一つは経済で、株高・円安という数字で見える変化が好感されています。2点目は野党が非力で、期待できないという見方が安倍政権支持を支えています。3点目は安倍首相が「中国、韓国を刺激すべきではない」という米国の忠告を守っていること。安倍氏は不本意かもしれませんが、自分のやりたいことを抑制していることが支持につながっているのでしょう。

 −−自民党はこの3年間で変わったのでしょうか。

 河野氏 今の政策が野党時代に相当磨き上げた政策とは思えず、以前の政策と同じようです。例えば財政出動。公共事業に予算を付ければどのくらいの即効性があるのかは、自民党は何十年もの経験があるのでよく分かる。だから公共事業への対応は手際はいいのですが、効果は限定的ではないでしょうか。

 −−安倍政権の基本は憲法改正を含む保守政治。それを抑制していると党内に不満がたまります。一方、参院選で無党派層を取り込むには主張を抑制しないといけない。ジレンマに苦しみませんか。

 河野氏 安倍政権は「参院選まで安倍カラーは出しません」と言っています。参院選まで「猫をかぶる」とあからさまに言っているわけですよ。これを聞いた有権者が怒ったり、不安を感じたりしないのが不思議です。怒らない理由は、民主党政権が悪すぎたということ。今の政権は実に不誠実でおかしいけれど「今までよりはまだまし」という感じなのではないでしょうか。ここに日本の政治の危うさ、悲しさがあります。

 −−安倍政権は原発の再稼働に前向きです。

河野氏 あれだけの事故を起こし、大勢の人々が古里に帰れない。こんな不条理な事態をそのままにして、原発を再稼働するのはおかしい。「安全審査をしたから大丈夫」と言われても国民は不安です。経済界が燃料を輸入して火力発電をしていたらエネルギーコストが上昇すると主張するのは分かります。ゼロか100かの議論ではなく、中期目標を具体的に策定して方向性を示すべきです。それに放射性廃棄物の問題はまったく解決されていません。たまっていく廃棄物をどうするかという指針も目標もありません。

  ■

 −−中国、韓国は領土問題では自説を強く主張し、関係が悪化しています。

 河野氏 日本は両国に政治家を派遣して関係を改善しようという姿勢を示しています。しかし、両国には「日本は米国の忠告通りに行動しているだけ。本心から関係改善のために一生懸命ではない」と映っているのではないでしょうか。

 −−保守主義者でも太平洋戦争を経験した政治家にはアジアに対する関心、思いやりがあったと思うのですが。

 河野氏 同感です。思いやりというよりも率直に「反省」がありました。1977年、マニラで福田赳夫首相(当時)が演説した「福田ドクトリン」が日本外交にとって非常に重要なんです。「日本は二度と軍事大国とはならない」と宣言しました。それまでのアジア外交の基本的な考えの底流にあった「日本とアジア」という意識を、「アジアの中の日本」に転換した。それが今は「日本とアジア」に戻ってしまいました。

 −−「福田ドクトリン」や「河野談話」「村山談話」はアジア諸国との関係を修復するものですが、自民党幹部らの不穏当な発言で、アジア諸国の不信感は継続しています。

 河野氏 政治家の異質な発言によって日中、日韓関係が崩れ、また修復するということを繰り返してきました。これまで特異な主張や頑固な言い分を持っている政治家がそのような発言をするのだと思っていました。しかし、最近の若い政治家の発言には歴史をきちんと勉強していないのではと思うようになりました。

 日本では韓流ブーム、韓国では日本文化の解放で日本の音楽や映画に触れる人々が増えたことで、草の根レベルで理解は深まっています。しかし、政治家は竹島問題などが浮上すると、やや感情的に、過剰と思える反応をしてしまう。日中関係でも同じですが、一番大事なことはトップ同士が話し合い、大局観を持って協調していくことです。

  ■

 −−安倍首相は憲法改正に積極的です。改正の発議要件を緩和する96条改正は野党の一部も主張しています。

河野氏 何かを変えたいんですね。でも今の憲法によって不自由な生活を強いられている人はいません。憲法は「変えるしかない」という状況になってから改正すればいい。いつでも改正できる状況にしておくことに政治的なエネルギーを費やすのではなく、ほかにもっとやらなければならないことが今の日本にはたくさんあります。

 −−集団的自衛権の行使を容認しようという議論が安倍首相の私的懇談会でスタートしました。

 河野氏 集団的自衛権の行使は憲法を改正しない限り認められません。解釈によって行使を認めることは、憲法を空洞化することと一緒で、不真面目な議論です。これまでの自民党には憲法改正に抵抗する力がありました。特に宮沢元首相や後藤田正晴元副総理は、憲法9条とは外国で武器を使わないことだと整理していました。集団的自衛権の行使を容認すれば、自衛隊が中東まで行って戦争を手伝うことにもなります。

 −−民主党は復活できるのでしょうか。

 河野氏 可能だと思いますが、それには政治家の責任感が重要ですね。鳩山由紀夫元首相が評価されないのは、あまりにも発言や行動が無責任だったからです。昔の政治家は命がけで自分の発言を守りました。日中国交正常化、日中平和友好条約に携わった政治家は推進派も反対派も命がけでしたから。これからは沖縄問題が重要です。基地問題に限定せず、日本の安全保障や日米関係をもう一度、真剣に見直すべき時期なのです。

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 ◇河野談話:従軍慰安婦問題で、慰安婦の管理、慰安所の設置などに旧日本軍が関与し、強制的だったと公式に認めて謝罪した談話。政府調査結果に基づき93年、宮沢内閣の河野官房長官(当時)が発表した。

 ◇福田ドクトリン:1977年8月、福田赳夫首相(当時)がマニラで行った政策演説。軍事大国にならない▽東南アジア諸国との間に相互信頼関係を築く−−などが骨子。

 ◇村山談話:戦後50年を迎えた95年8月15日に政府が閣議決定した村山富市首相(当時)の談話。過去の植民地支配や侵略に反省とおわびを表明した。

 ◇河野洋平1937年神奈川県生まれ。早大卒。67年初当選。76年ロッキード事件を批判して自民党を出て、新自由クラブ結成。86年自民党復党。93年の細川政権では初の野党として自民党総裁を務めた。94年の村山内閣で副総理兼外相。03年から09年までの衆院議長在職は歴代最長。09年、引退。河野太郎衆院議員(自民)は長男。


どうする安倍晋三、若者失業で奨学金滞納-10年で3倍

2013-03-17 | Weblog

奨学金を滞納する人が増えている。

 昨年度の滞納額は、10年前の3倍の約4700億円に達した。長引く不況で収入が減り、返済したくても返せない人が増えたためだ。大学生の3人に1人が奨学金に頼っており、識者からは「返済の負担を軽くする工夫が必要だ」との声が上がっている。

 「大学を卒業して借金だけが残った。いったい何のために通ったのか」。さいたま市のアルバイト女性(26)は、ため息をつく。

 心理学を学ぶため、2005年に埼玉県内の私立大学に入学。しかし、その直前に父親が体調を崩して退職して家計が苦しくなり、日本学生支援機構から卒業まで計約240万円を借りて学費に充てた。卒業して保険会社に就職したが、上司のパワハラに耐えられず、3か月で退社。奨学金の返済が重くのしかかった。

 今の収入は、スーパーのアルバイトで月約11万円。その半分近くが奨学金や生活費の借金返済に消える。女性は「仕事を辞めたのが大きな誤算。今後の生活が不安で仕方がない」と話す。(YOMIURI)