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原発事故、東電の作業計画が破綻(偽装請負で深刻な要員不足に)

2013-03-12 | Weblog

東京電力福島第一原発で働く作業員の要員計画が破綻し、政府が見直し作業に入ったことが分かった。

違法な偽装請負の状態で働く人が約半数に上る疑いが浮上し、適法な作業員だけでは足りない恐れがあるためだ。業界の慣行である偽装請負に依存しない新たな計画を打ち出せるかが焦点となる。

政府と東電は昨2012年7月にまとめた工程表で、年間最大1万2千人の作業員が必要と試算し、2016年までは「不足は生じない見込み」と明記。

福島第一で働く際に必要な放射線業務従事者の指定を昨年5月までに受けた2万4300人のうち、高線量を浴びた人を除く2万3300人を「再び従事いただける可能性のより高い母集団」と位置づけ、要員確保は十分可能と説明していた。

ところが東電が昨2012年9~10月に作業員4千人を対象にしたアンケートで、「作業指示している会社と給料を支給している会社は同じか」との質問に47%が「違う」と回答。

下請けが連なる多重請負構造の中で偽装請負が横行している実態が判明し、経済産業省は2万3300人を「母集団」とみるのは困難と判断して6月までに工程表を見直す方針を固めた。

被曝(ひばく)記録より高い線量を浴びた人が多数いることも発覚し、「母集団」の根拠は揺らいでいる。

舟木健太郎・同省資源エネルギー庁原発事故収束対応室長は「労働環境の改善は重要。工程表全体を見直す中で要員確保の見通しを検討する」と話す。NHK WEB NEWS)

 

関連NHKニュース:

「原発作業員が去っていく、福島第一原発“廃炉”の現実」:

史上最悪レベルの事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所。廃炉を終えるまでには40年もの歳月が必要とされている。

今、この現場で働く作業員を巡って、深刻な事態が起きている。それは放射線の被ばく限度に近づき、仕事を続けられなくなるケースが続出。また待遇の悪化で原発を去る作業員も相次いでいる。

元作業員
「毎日誰かがやめて福一(福島第一)からいなくなる。そういう形が今は多い。」

 さらに、東京電力が当初、確保できるとしていた作業員の総数が実際には少ないことも分かってきた。

 東京電力 原子力担当
「ある一定の幅を持って、不透明な部分はあると思います。長期の人材の確保、これが相当難しくなってくる可能性がある。」

国家的な課題、廃炉を担う人材をどう確保していくのか。現場の実態を検証する。

*“廃炉”の現場 原発作業員はいま 

朝6時。福島第一原発に向かう作業員の志賀央(あきら)さん。地元・浪江町出身の志賀さんは、6年前から下請け会社の社員として原発で働いてきた。原発までは、2時間の道のりだ。

志賀さん
「今日は普段どおりなのでこんなものかなって。遅くなると、もっと進まない。」

原発まで、およそ20キロ。途中、志賀さんは、防護服やマスクなどの装備を整えるためにこの施設に立ち寄ります。照明機器の設置工事をしている志賀さん。装備を全身にまとって行う作業は極めて厳しいものだという。

志賀さん

「全面マスクして線量の高い場所に行く時は、マスクをしながら走らなきゃいけなかったり、慣れていないうちはちょっと厳しい。こんなので作業できるのかなって感じで。実質、夏場30分、1時間やったら、休憩しないと倒れるんじゃないかなって。」

志賀さんの周りではこの半年で、10人近くが福島第一原発の仕事を辞めた。志賀さん自身いつまで、この仕事を続けるか迷っているという。

「将来いつまで原発で作業を?」

志賀央さん
「それはもうわからないですね。ほんとうに考えちゃうとその時には、違う所でやったほうがいいんじゃないかって思ったりする時もあるし、(地元の)友だちとかのためにっていうのもおかしいんですけど、一緒になって頑張っていこうかなって思うんですけど。まとまらないです、先は。」

 

*原発を去る作業員が相次いでいるのは、なぜなのか。

その原因の1つが依然として高い放射線量。地元の元請け企業の1つが取材に応じてくれた。この会社では汚染水から放射性物質を取り除く設備の建設に携わっている。作業員がその日の仕事を終えて、福島第一原発から帰ってきた。 

現場責任者
「今日、被ばくはいくつ?」

作業員
「0.02(ミリシーベルト)です。」

会社では、作業員の1日の被ばく量をすべて記録し、確認している。福島第一原発で被ばくする量は今でも他の原発での作業に比べ、平均で10倍近くになる。

国は作業員に対し1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトという被ばく量の上限を設けている。これを超えると原発で働くことはできない。

この会社では20人いた作業員のうち、被ばく量の上限に近づいた2人を福島第一原発の仕事から外すしかありませんでした。残された作業員も、被ばく量は日々上限に迫っています。

元請企業 梅田義弘さん

「毎日綱渡りに近い部分もあるんですけれど、辞めていく人、配置転換を求める人、いっぱいいます。どうにもならないというか、しょうがないこと。現場としては非常に苦しいところで。」

作業員が原発を去るもう1つの原因が待遇の悪化です。

関西出身の40代の男性です。去年(2011年)の秋から下請け企業の社員として福島第一原発で働いた。週5日の仕事で、当初月給は手取りで、およそ25万円。しかし、その後5万円減り20万円程度に。さらに、今年8月、会社から宿舎の旅館を出て行くとともに食費も自己負担するよう求められました。

「ここは特殊な仕事なので、働いている者にしたらつらいものがある。僕らみたいな人間が頑張っているから、第一原発が落ち着いているわけですよ。そういう人間に対して、そういう状況に持っていくこと自体が理不尽だと僕らは感じています。」

この待遇では被ばくのリスクを背負ってまで働くことはできない。男性は、同僚10人と共に仕事を辞めた。

 

 

*待遇の悪化の背景には何があるのか。

私たち(NHK)は東京電力から直接受注する元請け企業28社にアンケートを行い、15社から回答を得ました。

すると、廃炉に向けた工事の受注単価が最近、下がる傾向にあることが分かりました。単価が下がったと答えた10社のうち8社が理由として挙げたのが、東京電力のコスト削減に伴う競争入札の拡大。

受注競争の激化で単価が下がり、結果として、作業員の人件費に影響が出ていると見られています。影響は、下請け企業の経営にも及び始めています。

この会社では福島第一原発の建設当初から作業を請け負ってきました。この春以降、同じ規模の工事の受注金額が以前より3割ほど下がったといいます。

下請け企業 横田善秀社長

「うちとしては建設から携わっていたので、廃炉まで関わっていたいと思っているが、今のままでは会社の存続が危ぶまれるということで。地元の原子力発電所に携わった会社は同じような状況だと思う。」

さらに、このままでは将来、廃炉を担う技術を持った作業員がいなくなると危機感を募らせる企業もあります。原発の計器の保守管理に当たっているこの会社では事故後、福島第一原発で働く社員を採用できていません。

下請け企業 名嘉幸照会長

「今の状態では将来、若い人が原発に携わる人がいなくなる。これははっきりしている。
トータル的にマンパワーも予算も考えないと、将来どうなるかと危惧している。」

 

*原発作業員 悪化する待遇 

ゲスト野津原有三記者(社会部)

事故のあと、これまで合計で2万人以上が作業に当たっているんですが、どの程度入れ代わっているかという正確な数字は把握されていません。

しかし、取材をしていますと事故から1年8か月経った現在でも、かなり入れ代わりは多いと感じます。特に、放射線量が高い現場では3か月ほどで被ばく線量の限度に近づいて原発を離れるケースもあります。

そして最近、理由として増えているのが待遇の悪化です。VTRで紹介した男性は例外ではなく、地元のハローワークの求人票を見ても1日の給料が1万円前後。月に直して20万円前後というものも、多く出されていました。

●作業員はどんな思いでいるのか

作業員は地元・福島県出身の方が多く、自分たちの作業が地域を守っているという気持ちに支えられています。厳しい環境で仕事をしていますがその支えが失われてきているという声が今、出ています。

例えば、国が直接行う福島県の除染の作業では、日当に加え、国が金額を定めた1日1万円の手当が出るようになっています。

その結果、原発で働くよりも除染作業で働いたほうが高くなるというケースも出てきているんです。

高い線量の中、働く原発の作業員からはなぜ、待遇に差が出るのかという不満の声も出ています。

●作業員が去っていく 問われる東電

東京電力は、これまで人材の確保には問題がないと説明しています。

その根拠は福島第一原発で働くために行う従事者登録を行った作業員の総数です。

東京電力はこの数が当面必要な作業員の数を十分上回っているとして大丈夫だと説明しているんです。

しかし、その説明には根拠が不足していることが、今回私たちの取材で分かってきました。

 

*原発作業員は足りるのか

昨年、東京電力は廃炉作業の見通しを発表した。

「作業員の従事者登録の方が多めになってきております。

今年必要な人数は1万1700人なのに対し、従事者登録をしている作業員は2万4300人いると説明。要員の不足は生じないとしていた。

しかし、福島第一原発では次々に新たな作業が必要になっています。事故後、がれきの処理などを行っていた元請けの大手建設会社です。

「ここが、1班?タンクの組み立て?」「タンクの組み立てですね。」「で、もう1班はここ?」

東京電力から別の作業の要請を受け、対応に当たっている。それが、大量の汚染水を保管するタンクの設置作業です。原子炉建屋の地下で増え続ける汚染水。これをくみ上げ保管する必要に迫られたのです。

大成建設福島地区事務所 東 輝彦所長

「間に合わない場合は昼夜でやったこともありますし、作業員、労務の段取り、調達、職員も各支店からローテーションを組んで、皆が駆けつけてなんとかミッションを達成するということでやってまいりました。」

これまでに設置されたタンクは、900基。今後も、相当数のタンクが必要になると見られています。

当初、計画にはなかった作業員が必要になっているのです。

今、福島第一原発では実際に、どれほどの作業員が働いているのか。

東京電力の内部資料をもとに作成した9月のある1日の作業員の配置図です。黄色で示しているのが作業員。

当初、原子炉建屋を中心に行われていた作業は汚染水のタンクをはじめ敷地内のさまざまな場所に広がっていました。1日に必要な作業員は3000人に上っていました。

東京電力が作業の増加や被ばく限度による交代などを考慮して改めて試算したところ、1年間に必要な作業員は1万8000人であることが分かりました。

これまで発表してきた1万1700人から6000人も増えていたのです。

さらに取材を続けると、ある事実が浮かび上がってきました。

東京電力が確保できるとしてきたおよそ2万4000人は事故以降、福島第一原発で働いたことのある作業員の総数でした。

このうち、1万6000人はすでに従事者登録を解除。

先月(10月)の時点で登録している作業員は8000人しかいませんでした。

必要な作業員が増える一方で確保できる作業員の数が当初の発表よりも少ない実態。

作業員は、本当に確保できるのか。東京電力に問いました。

東京電力 原子力・立地支部 山下和彦部長

「ある一定の幅をもって、不透明な部分があると思う。(作業員は)入れ替えが多くて、他の仕事に入ってまた再登録ということをされていますので、全体としては(登録者数は)そんなに変わっていかないのかなと。」

東京電力は、1日に必要な作業員は3000人のため、8000人を確保していれば短期的には問題ないとしています。

しかし、長期的には懸念があることを認めました。

「必要な作業員が増えていくと、危機感や懸念はどのように考えていますか?」

山下和彦部長
「長期の人材の確保ですね。
これが相当に難しくなる可能性がある。したがって、人材の確保と育成に力を入れていかなければいけない。」

廃炉作業を監督する立場の資源エネルギー庁です。

今後40年続くともいわれる廃炉作業を担う人材の確保について国として、どう考えているのか問いました。

資源エネルギー庁 中西宏典大臣官房審議官

「実態を踏まえて改善すべきは改善すべき点として認識しようと。今どきタイミング的には遅いということもあるかもしてませんけれど、我々はいろいろな所で言われていることに対して、現場の皆様の声にできるだけ耳を傾けることが第一歩だと思う。」

ゲスト安念潤司さん(中央大学法科大学院教授)

●人材確保 把握があいまいになったわけは

登録作業員の数は増減しますし、被災地の一部では復興需要によって人手不足の現象もありますので、なかなかどれだけの人員を確保できるかを正確に予測するのは、確かに難しい作業ではあると思うんです。

ただ、やはり大きな組織というのはどうしても、本部といいましょうか、本社と現場との間のコミュニケーションが十分、うまく取れないと。

本社はどうしても、現場がどういう環境で働いているのか把握していないということがままありますので、それも、やはりあるだろうと思います。

ただ、長期的には今、東京電力の方がおっしゃっていましたが、なかなか不安があるということを率直におっしゃるようになったのは私はむしろよいことだと思います。

●若い人材が集まらないという状況

深刻な事態ですね。すでにご紹介がありましたように福島第一の廃炉だけで40年かかるといわれております。

それから福島第一だけではなくて今後、経年した、年月がたった原子炉が、次から次からと廃炉になっていくわけですから、廃炉のための技術者、作業員はいくらでも必要になるわけです。そうした中で若い人の参入がないというのは大変深刻な事態だろうと思います。

(今、作業をしている方々の知識や経験は)国民全体にとっても宝と言っていいぐらい私は大切だと思います。

●福島第一原発“廃炉” 何が求められるか

難しい問題だと思うんですが、ややセンチメンタルなことを申し上げれば、例えば、福島第一の場合あの現場の作業員の人々の努力のおかげでかろうじて冷温停止状態が保たれているということをよく認識すべきでしょう。

我々は、彼らの努力に対して敬意と感謝を忘れてはいけないと思います。

ただ、やはりなんと言ってもお金が必要です。

賃金の水準は確保しなければいけません。一定の線量になると、職場を離れなければなりませんから、その後の雇用も確保しなければいけません。

さらには、長期的な健康の不安はどうしてもありますので5年、10年をにらんで健康管理をする、医療を提供するといった体制を整えなければなりませんが、いずれにしてもかなりのお金のかかることです。

●今後どのようにお金を確保していくのか

難しい問題ですね。お金は、どうしても必要です。そのお金をどうやって調達するかは基本的には、2つしかありません。電気料金を値上げして、東電自身が確保する。もう1つ、それができなければ税金を投入する。どちらかです。

しかし、現在すでに、東電は一度、値上げをしたわけですし除染も廃炉も、それから被災者に対する損害賠償も皆、東電が負うと。これはなかなか長期間にわたって維持することはできないでしょう。

そうしますと、やはり国が関与せざるをえません。もともと、原発は国策として導入されたものですし、国民全体が利益を受けてきたことですから、その後始末もやはり、国民全体の課題として考えなければいけないんじゃないでしょうか。(責任の主体が東電だけでは)私は、無理だと思います。

●東電 国 “廃炉”の責任は

(東電は)改めて問われるでしょうね。

これは、いろんな形で示すしかありませんがやはり、まだまだ資産の売却や子会社の売却というものの余地はありますし、それに、なんと言いましても、修繕費などの外部からの調達というものの削減する努力も必要です。

さらには、なんと言っても一番大きい燃料費ですが、これをどうやって安く調達するかまだまだ考えなければならない余地があると思います。(もはや、東京電力だけの問題ではなく)国全体の問題です。

 とにかく原発の将来をどうするかということのビジョンをはっきり示して、その中で、福島第一の処理をどのようにするかを位置づける必要があると思います。しかも、それはもう待ったなしの課題です。(おわり)


被災自治体、現場職員500人以上が病で休職

2013-03-12 | Weblog

震災で被害を受けた岩手・宮城・福島の沿岸部の自治体では、今年度だけで少なくとも500人以上の職員が病気を理由に長期間、仕事を休み、このうち半数以上はうつ病などの精神疾患だったことがNHKの調べで分かりました。

復興事業が進むにつれて現場の職員に負担がかかり、長期的な支援が必要な実態が浮き彫りになっています。

NHKが岩手・宮城・福島の37の沿岸部の自治体に取材したところ、去年4月から今年1月までに病気を理由に1か月以上仕事を休んだ職員は、集計がなかった宮城県南三陸町を除いて522人に上ることが分かりました。

休職した職員を自治体別に見ますと、▽仙台市が134人と最も多く、次いで、▽福島県いわき市が100人、▽宮城県石巻市が52人、▽宮城県気仙沼市が35人などとなっています。また、このうち、うつ病などの精神疾患は57%に当たる296人でした。

▽仙台市が82人、▽福島県いわき市が48人、▽宮城県石巻市が28人、▽宮城県気仙沼市が15人などとなっています。

生活環境の変化や体調の悪化などから、震災後、退職する職員も相次いでいて、その数は▽おととし4月から去年3月までに699人、▽去年4月から今年1月までに213人に上っています。

各自治体には、全国から1300人を超える応援の職員が派遣されていますが、まだ必要な数には足りていないということです。

復興事業が進むにつれ、仕事の量とともに、専門知識を必要とする複雑な業務も増えて現場の職員に負担がかかっていて、職員のサポート体制の充実など、長期的な支援が課題になっています。(NHK WEB NEWS)


[巷の噂] 大地震に強い街、全国ランキングーファイブ

2013-03-12 | Weblog

現在、迫りくる大地震は首都直下型だけではない。今や日本は東海、東南海、南海のM8級の巨大地震がいつ起きてもおかしくない状況なのだ。そこで、災害危機コンサルタントの堀越謙一さん検証・監修による、大地震が来ても「最後まで生き残る街」ランキングを作成した。

分析方法は、都道府県単位で大地震のリスク分析を行い、相対的に安全性の高い都道府県の上位から15県を抽出。そのなかの市単位で、生活の利便性および建物安全性を分析し、生活水準が高く、木造率や建物の老朽化率から、倒壊、火災延焼の危険性が低い自治体を抽出。最終的に、これらを偏差値化しランキングを作成した。以下に、その「全国ベスト5」の街を公開する。

【第1位 福岡県福岡市】過去に福岡市を中心とする大地震はなく、大きな被害報告もない。非木造率が高く、老朽化した建物が少ないことからも、建物倒壊、火災延焼などのリスクが低い。また人口当たりの店舗数、商品販売数、医師の数も多い。


【第2位 福岡県久留米市】内陸部に位置しており、周辺の地震による影響を受けにくい。また、安全地盤の地域も多く、火山活動などによる被害が小さいと推察される。1000人当たりの医師数や病院、診療所の数が多く、医療面での充実度が高い。


【第3位 山口県山口市】中国地方は全体的に活断層が少ない。とくに山口県は丘陵地帯が多く、地震発生リスクも低いと推察できる。なかでも山口市は、非木造率や非老朽化率が高い。加えて山口市の失業率は低く、経済自体も比較的安定している。


【同3位 熊本県熊本市】熊本県は丘陵地帯も多く、比較的安定した地盤も多い。大分県から熊本県にかけて小規模地震が帯状に分布しているが、これは阿蘇や雲仙などの火山性地震によるもの。医療水準は比較的高く、老朽化率といった建物の安全性も比較的高い。


【第5位 福岡県筑紫野市】丘陵地での住宅開発が行われるなど、地盤が比較的に安定している地域が多い。過去に起きた内陸性地震も少なく、新興住宅地が多いことから、揺れによる倒壊リスクも少ないといえる。ただし、二日市温泉周辺など旧来からの市街地は、道路幅が狭い地域も存在する。

 

参考記事:ASAHI

津波の被害を受ける恐れがある標高の低い地域に、国内の人口の2割近い約2200万人が住んでいることが分かった。名古屋大教授らが国の資料などに基づいて推計した。東日本大震災後、国や自治体は地震による津波を高く想定し直しており、「津波リスク」に直面する日本の現状が改めて浮かび上がった。

 調査したのは、名古屋大減災連携研究センターの脇田久美子技術補佐員や福和伸夫教授ら。国土地理院が250メートル四方で標高を示した地図や国勢調査(2005年)をもとに分析した。

 その結果、総人口約1億2800万人のうち2180万人が、主に沿岸部に広がる標高5メートル未満の地域に住んでいることが判明。国土面積で3・3%にすぎない場所に、人口の17%が集中していることが裏付けられた。都道府県別では、東京343万人▽大阪306万人▽愛知174万人▽千葉144万人――で、太平洋岸の大都市部がいずれも100万人を超えた。

 東日本から九州にかけての太平洋岸は南海トラフ巨大地震の被害が懸念されており、国の想定見直しで20メートルを超える津波が懸念される静岡で49万人、三重で38万人、高知で14万人が標高5メートル未満で生活。海溝型地震や沖合の活断層での地震による津波が想定される日本海側でも、新潟で63万人、石川で25万人、福岡で103万人に上った。

 津波の危険性がさらに高まる標高1メートル未満は約263万人で、東京、名古屋、大阪で200万人以上を占めていた。5メートル以上10メートル未満は1400万人、10メートル以上30メートル未満は3200万人だった。

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県。標高5メートル未満に住んでいた人の割合は平均7%だったが、それでも多数の犠牲者が出た。今回の名古屋大の調査では、東京、大阪、愛知の標高5メートル未満の居住率は20~30%台と高く、海に近い低地に人口が密集する都市部がより高いリスクを抱える現状が改めて分かった。

 津波の高さや被災程度は地形、防潮堤の整備状況などによって異なる。低地に住む人がすべて危険とはいえないが、福和教授は「低地は津波ばかりでなく、高潮や地震の強い揺れ、液状化などの危険度も高いと考えられる。その点を踏まえた対策が必要だ」と指摘している。

     ◇

 〈津波〉 海溝や沖合の活断層で地震が起き、海底が隆起したり沈んだりして海面が大きく変動した際に発生する波。水深が深いほど速く伝わり、沖合ではジェット機並み(時速約800キロ)になる。速度が遅くなる陸地近くでは、後ろから追いついた波の力でどんどん高くなる。沿岸での高さ以上の標高まで駆け上がることがある。標高が高いほど、津波のリスクは低くなる。