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[脱原発行動] 薄れゆく怒り 安倍政権発足後

2013-03-17 | Weblog

(街頭へ)消さない、官邸前の灯 参加者が激減、でも「脱原発」:

東京・永田町の首相官邸前で、毎週金曜夜に脱原発を訴える抗議行動が始まって間もなく1年。街頭での異議申し立ては政治参加の新しい形として注目されたが、参加者は減りつつある。「灯台のともしびのような存在に」。主催する市民団体や参加者たちは息の長い取り組みを目指している。

 「再稼働は暴挙」「原発依存に未来はない」

 15日午後6時、首相官邸前では太鼓のリズムに合わせた抗議行動が始まり、さまざまなメッセージが書かれたプラカードが掲げられた。東京電力福島第一原発の爆発事故から2年。通算46回目だ。

 昨年6月から参加するヘアメーキャップアーティストの武藤ちづるさん(55)=東京都目黒区=は仲間とフェイスブックで連絡し合い、必ず誰かが官邸前に来るようにしている。「何も言わなくなってしまえば、なし崩し的に原発が再稼働されてしまう」と考えるからだ。

 昨年7月から月1回のペースで参加している森洋一郎さん(28)=東京都内=は自営業。仕事を早めに切り上げて来たが、最近は若い人をあまり見かけなくなったと思う。「放射能の怖さを実感しにくいせいか、関心が薄れている感じがする」。多くの人と問題意識を共有しようと、抗議の様子をツイッターで発信している。

 抗議行動を主催する首都圏反原発連合(反原連)によると、昨年3月末にスタートした時は約300人だった。当時の民主党政権が関西電力大飯原発の再稼働に踏み切る直前の6月末には約20万人に膨らんだが、今年は1万3千~2500人で推移。15日は「約3千人」と発表した。

 一方、警察関係者によると、ピーク時は昨年7月初めの約2万1千人。警察も参加者が減少傾向にあるとみており、「最近は数百人規模」とみている。

 反原連の中心メンバーのミサオ・レッドウルフさんは参加者が減っていることを認めたうえで「脱原発を望む人が減っているわけではない。毎週、行動を続けることで、灯台のともしびのような存在になっている」と話す。

 官邸前に来たことのない人たちに問題を知ってもらおう――。反原連は2月、駅頭などでリーフレットを配る「NO NUKES MAGAZINEプロジェクト」を始めた。

 第1号は「基本編」。原発事故が起きた福島の現状や稼働中の原発の数、原発のコストを分かりやすく解説した。第2号、第3号と配布を続け、仲間を増やしていきたいとしている。

 ■参加やめた人たちは 再稼働、限界感じた 無意味とは思わない

 なぜ、抗議行動への参加者は減っているのか。

 昨年7月を最後に官邸前に足を運んでいないNPO職員の女性(44)=神奈川県相模原市=は「限界を感じた。デモで何かが変わる状況ではなくなった」と打ち明けた。

 原発の再稼働に反対の意思を示そうと、昨年6月から3回ほど参加した。国内では50基の原発がすべて止まり、抗議行動の参加者が回を重ねるごとに増えていた時期だった。「市民の力が政府を動かすかもしれない」。女性は期待したが、大飯原発は再稼働した。

 周囲との温度差も感じたという。フェイスブックで抗議行動のことを投稿しても、反応する友人はごくわずか。「ただ声を張り上げるだけでは意味がない。どうしたら理解を広げられるか考えている」

 グラフィックデザイナーの女性(44)=東京都板橋区=は昨年7月末を最後に参加していない。仕事を早めに終わらせて、5歳の息子とともに官邸前に通ったものの、片道1時間の負担は重かった。さらに昨年12月の衆院選で原発維持を掲げる自民党が圧勝。反原発の思いが反映されなかったと、女性は落胆した。

 でも、声を上げた経験が無意味だったとは思っていない。「今まで政治家は何をやっても国民が文句を言わないと思っていたかもしれないが、もう昔のように黙っていないと認識させることができた」(ASAHI)


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