晴、7度、78%
私が育った古い家を改築して住み始めました。ほとんどの部屋が畳だった日本家屋です。座敷を除いて間取りも住スペースの広さも変えました。床面積は改築前より狭くなっています。水周りもすっかり換えることになりました。台所はシステムキッチンを入れるつもりでした。ここばかりは私の担当です。幾度もいくつかのシステムキッチンのショールームに足を運びました。あれもいい、これもいい、とイメージが膨らみます。ところがお風呂に至っては、住んでいた香港のマンションのそれしか頭に浮かびません。つまりバスです。
30年間、香港内で住んだマンションは全てほとんど同じタイプのバスでした。移り住んだ当時から、そのバスタイプのお風呂に問題を感じたことがありません。シャワーカーテンを閉めてシャワーを浴びる、お湯張って横になって体を浸ける、違和感なくこの生活でした。当然この家のお風呂もバスのつもりです。私が小さい頃は檜の四角いお風呂でした。何年かに一度お風呂桶を取り替えます。母が亡くなる頃はステンレスのお風呂に変わっていました。このステンレスのお風呂は馴染みませんでした。見た目が冷たく感じます。
お願いした工務店の方にトイレとバスが同じ部屋にあるお風呂場をと話しました。ところがどうもイメージがわからないとおっしゃいます。日本家屋ばかりを造ってみえた方です。そこで、香港の家の風呂場のサイズ、写真を送りました。なにぶんにも、施工主の私達夫婦は二月に一度しか福岡に帰ってきません。
お任せして出来上がったお風呂がこちらです。 確かにバス型のお風呂ですが日本式に深さがあります。私など半分お湯を張ればちょうどです。もちろん横になって入ります。思ったよりやや短めのお風呂桶です。香港の家のお風呂場は全て大理石でしたので、こちらも大理石を貼ってあります。タイルと違って掃除が楽に思います。この風呂桶の横にはトイレがあります。トイレ、洗面台、お風呂が一つの部屋にと思っていましたが、洗面台はお風呂場を出たところにあります。やや駄々広いお風呂場になりました。
広いのでうすら寒く感じます。白い大理石のせいもあります。でもだんだんとこのお風呂にも慣れてきました。引っ越してきて以来、疲れた身体をゆっくりと伸ばして、30分は浸かっています。そのおかげだと思います、このひと月半、元気でいることができました。肩の懲りも腰の痛みもありません。
息子一家は、たっぷりとお湯を張って和式に使っています。そう考えると、この和洋折衷型のお風呂は便利です。一度お湯を抜かないで休んだことがありました。朝起きてきて、残り湯の冷たくなった水でお風呂を洗うのかとゾクッとします。ところが水になってると思って手を入れるとほんのり暖かさが残っています。保温性に優れているお風呂桶です。30分浸かっていても、お湯が冷めません。お湯を足すことがありません。
30年身に付いてしまった習慣はなかなか変えることができません。折り合いをつけながら、日本の生活に馴染み始めました。