チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

お節句の額、2つ。

2015年02月05日 | クロスステッチ

曇り、13度、65%

 ひと月以上もかけてチクチクしたお節句の額装が出来上がってきました。我が家の初孫は、ひな祭りの半月前に生まれた女の子です。半月でお節句といってもね、とお嫁さんのご実家とも話し、初節句は一年延ばすことにしました。

 私が刺し続けているクロスステッチは、デンマークのものです。細かい目の麻布に、花糸と呼ばれる艶のないコットンの刺繍糸を使って刺していきます。この刺繍は、ゲルダベングトソンという女性が、素晴らしい野の花を刺したことで世界中に広まったといわれていますが、昔からしっかりしたギルド制の中、デンマークの長い冬を過ごす人の手仕事だったと思います。身につける物、持ち物に花柄を持たない私は、せっせとこのゲルダベングトソンの花を刺しては家に飾っています。根っこや球根までデザインされたその図柄は、花を愛した人にしか描けないものに思います。ロイヤルコペンハーゲンの最高のシリーズ、ボタニカ、あの食器の絵柄の通じる花たちです。このゲルダベングトソン、花ばかりかデンマークの地図やアンデルセンの物語を題材に取った図案も作っています。

 さて、初節句にとデンマークにおひな様の図案を頼んだのは昨年の4月でした。そして、半年かけて刺し上げようと、最初のひと針を落としたのは昨年の9月。そのまま放ってあった刺繍をこれは間に合わないと火が付いた様に刺し始めたのは、年末の少し前のことでした。一月半、来る日も来る日もチクチク。

 この図案も色選びも全て、デンマーク人のアイダウィンクラーに依るものです。アイダウィンクラーは、ゲルダベングトソンとともにデンマークのクロスステッチの世界では有名な人で、デンマークの町中の風景をゲルダとともにデザインしたものもあります。

 ひと針ひと針進めて行くうちに、全体像が見えてきます。その頃から、毎日不思議に思うことがありました。デンマーク人のアイダさん、この雛人形の飾りをどのくらい見たのでしょうか。何回、何時間。日本人と変わらぬ感覚で選ばれたこの緋毛氈の色、水浅葱の色。例えば、緋毛氈は、86番の花糸で刺していますが、88番の花糸でもよさそうなところを86番を選んでいる、その目の利き方に驚きました。要するに、日本の色調を日本人でない人が、ここまで再現していることへの驚きです。

  こちらは、20年近く前に自分のために刺した、立ち雛。このデザインは、当時日本で唯一この刺繍を扱っていたところのものです。つまり日本人のデザイン。着物の量感は立ち雛の方がありますが、色調の素晴らしさは今回のものが遥かに上だと思います。

 初節句のお祝いです。私がいつも作る額装とは全く違う色合いを選びました。赤のマットは緋毛氈の色に合わせました。この赤のすぐ下に3ミリ程金のマットが入っています。そして、額は少し掠れたシルバ−です。

 想像以上の出来映えです。そして、思ったより大きな物になりました。ハンドキャリーで運びます。

 

コメント
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