曇り、14度、84%
香港には競馬場が2つあります。香港島にある古くからの競馬場は、香港島の北、日本人も多く集まるトンローワンから歩いて20分もかからないハッピーバレーにあります。名前が示すように、北向きのトンローワン側をのぞけばすっぽりと小高い丘に囲まれた盆地です。香港島の北を走る二階建てのトラムもこのハッピーバレーを通る路線だけ、直線コースから外れ迂回路のように廻ります。このトラムの2階に乗ると競馬場の中が見て取れます。以前は、競馬の開催日以外は出入りが自由でした。散歩に行く人、見学をする人、ちょっとのぞくことが出来ました。
競馬場のある街、さて、どんなイメージがあるかしら。私は日本の競馬場を知りません。おそらく競馬の開催日はどこの競馬場も似たり寄ったりでしょう。このハピーバレーの競馬場は、夏場の一時期を除き、毎週水曜日の夜に競馬が行われます。水曜日の夕方になると、このハッピーバレーの一帯は、トンローワンから競馬場へ向かう人たちのために、交通規制が入ります。トラムはストップ、車も迂回します。すごい人の流れです。
このハッピバレーの街は、競馬がないときは静かな住宅街です。競馬場の一番奥まったところからは、次第に上向きの坂を上ります。この上の方には日本人学校の小学部があります。以前は、日本人も多く住む一帯でした。このハッピーバレーを見下ろす一本上の道沿いに、大きなマンションが次々に建ったのは、25年程前のことでしょうか。日本人の皆さん、そちらへと住まいを移しました。古くからこの街に住む香港人、そして、西欧人の数が多い街です。この街を歩くと、英語はもちろん、フランス語、イタリア語が飛び交っています。古くからあか抜けた街でした。
バルコニーがついた古い建物。 この2、3階の窓の作りも、一時期の香港の建物の特徴です。こんな低層の建物が、新しい高層マンションの間に残っています。見出し写真の建物とこの2つの建物は隣接しています。
山向きにのぼる山光道。上り詰めたところはジョッキークラブです。このジョッキークラブは以前の厩、レースに出る馬たちはこの道を下りて、競馬場に向かったそうです。
山光道の脇には、ひじょうに中華的な建物があります。 宗教団体が経営する小学校です。 校門です。 こちらは記念館。西欧人たちの間を抜け、真っ赤な校門の小学校へ向かう子供たちのことを考えます。いかにも、香港です。
まだ、日本人の居住者が多かった頃、つまり私が香港に来て10年程の間は、このハッピバレーによく通いました。親しい友人がこの街にずっと住んでいました。おかゆ屋さんもチャーシュー屋さんも名前は変わっても元の場所にあります。毎朝走るボーエンロードから競馬場を見下ろしますが、町中を歩くと、20年以上前のまだ若かった頃の自分が甦ります。今ではジョッキークラブへ食事に行く時に、車で来て車で帰る、通りすがりの街になりました。こんなに長く香港にいようとは、思ってもなかったあの頃です。