気 楽 荘

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思いつくままお気楽に。

ブラックアウト

2013年10月13日 | 「 ぶんこ 」
北イタリアとスウェーデンから始まった大停電。
原因も対策も間に合わない中、
冬のヨーロッパで人々は深刻な事態に陥る。
元ハッカーのマンツァーノは停電の中で
明かりを燈していた街灯に不審を感じて
調べ始めた。そしてある結論に達した。
「これは、人為的な破壊工作ではないか?」

「ブラックアウト 上・下」マルク・エルスベルグ著、
角川文庫刊を読んだ。
読み始めは主人公が誰で、どの人物が
絡んでくるのか分からずまごついたが、
マンツァーノが主人公でヒロインがシャノンだと
認識できてからはワクワクしながら読み進めた。
途中、かかわってくる組織のところや
政治的な駆け引きのようなところで
ナナメ読みをしたのだが、
結構、集中して最後まで楽しめた。

この本の中で驚いたのは東日本大震災で
事故を起こしたフクシマ原発のことに触れられていたこと。
「この事故で、世界の人々に原発の脆弱性が
明らかになってしまった」と、原発を攻撃するのには
堅牢な格納容器に守られた原発本体に手を
加えなくても、外部電源を喪失させれば、
壊滅的な被害を与えられるということが世界に
知れてしまったと書かれている。
なるほど、その通りかもしれない。そう思いながら
下巻を読んでいた頃、NHK特集で「原発テロ」なる
番組を見た。
切り口は違うが、原発の外部電源の重要性に対して
ほぼ同じ内容を映すと供に
テロ対策が不十分であることを示す
事件についても触れていた。
「怖いなぁ」と・・・。

話が逸れたが、我々が普通に享受している
サービスのほぼすべてが電気に頼っている事実。
電気と関係ないと思いがちな水道さえ、
電気がなければ、給水ポンプが動かない。
もちろん、トイレも流せないし。
ガソリンスタンドもポンプが動かなければ・・。
パソコンも電気がなければ・・・ネットもそう、
食料も冷蔵庫、冷蔵倉庫が稼動しなければ
食品はカンズメや保存食のみとなる。
驚いたのは、乳牛の搾乳が出来なければ
牛さえも死に至るという事実。

もちろん、ヨーロッパ全域、アメリカにわたる
大規模な停電を起こせる筈がないと
言ってしまったらそれまでだが、
実際に起こったらこんなパニックになっても
おかしくないのでは?・・・・起こるはずがないと
思っていることが、起こった時の被害を
大きくするのではと思わずにいられない
怖さを感じた作品でした。
作者はこれがデビュー作ということなので
次回作が楽しみです。

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