MAKIKYUが6月に足を運んだ長崎県・壱岐島を走る壱岐交通の路線バスは、トップドアの兼用車が主流を占めているだけでなく、各種ワンマン機器なども他者ではあまり見られないものが幾つも見受けられます。
ワンマン機器と言って真っ先に思い浮かぶものとしては、運賃箱がその代表格ですが、現在日本国内では全国的に一般的な自動両替装置付きの運賃箱ではなく、国内の路線バスでは余り見かけないただの「箱」となっているのが大きな特徴です。
(壱岐から200km程北方へ行けば、ごく当り前の話ですが…)
マイクロバス・ポンチョに装備された運賃箱などは、主力を占める兼用車の運賃箱に比べると、やや大型になりますが、それでも自動両替機能などは装備しておらず、両替が必要な時には乗務員に申し出て、大きな金額のお金しか持ち合わせていない時は、小銭入りの袋と取り替えて貰う事になります。
(島外から訪問した観光客の場合は、1000円で1日乗り放題のフリー乗車券が毎日利用できますので、両替を申し出る機会はかなり少ないと思いますが…)
壱岐交通の路線バスは、小型の行先方向幕を装備しているのも外観上の大きな特徴ですが、この行先方向幕は手回し式となっています。
そのため前面だけでなく、側面前扉背後にある行先表示も、循環路線などでは運行途中で乗務員がハンドルを回し、表示を変える必要があり、左側最前部の座席に着席していると、路線によっては途中で乗務員氏に一旦席を立つ様に頼まれる事があるのも、他者では余り見られない特徴と言えます。
(他者では手回し式の場合でも、運行途中で行先表示を変える事例自体が少なく、また乗客が着席しているとハンドルを回せない位置に手回し式の側面行先表示幕を装備している事もまずないと思います)
また車内の運賃表示器は、地方の路線バスでは比較的良く見かける小田原機器製の一般的なタイプが主流を占めていますが、中には新型のLCDモニターを用いた車両(ニューエアロスター)も存在しており、離島のバスらしからぬ雰囲気を感じたものです。
ただその一方、6月の訪問時点では各車両共に車内放送は音声合成装置ではなくテープを使用しており、鹿児島県・奄美大島を走る道の島交通の如く放送廃止→停留所名は乗務員によるマイク案内という事例も異例ですが、今年に入ってからMAKIKYUが音声合成装置ではなく、テープによる車内放送を行っている路線バスに乗車するのは初めてと言う状況でした。
(昨年もテープによる車内放送を行っているバスには、潟東や大船渡で遭遇する程度でしたので…)
LCDモニターの運賃表示器を装備した車両でテープによる車内放送、ましてや運賃箱は両替機能のないただの箱で、行先表示幕も手回し式と言うバスは、全国各地を探しても壱岐以外では一体どれだけ…と感じたものでした。