先日「MAKIKYUのページ」では、一昨年内装の木質化改造を施行した一畑電車の5000系電車に関して取り上げましたが、同系は2編成が導入され、内装の木質化改造を施行したのは1編成のみですので、もう1編成は一畑電車導入時仕様のまま活躍しています。
5000系自体が元々観光輸送を考慮した特別仕様車で、特別料金を徴収する列車として運用される車両を除くと、破格の設備を誇る豪華車両となっており、塗装も他車両とは異なる独自塗装を纏うなど、一畑電車の花形的存在と言っても過言ではない車両です。
この事も「しまねの木」を名乗る内装の木質化改造車も、外見はほぼ従来通りのまま活躍する一因なのでは…と感じる程で、現在一畑電車で活躍する2編成の5000系が並んだ姿を見ても、外見は車番と前面に掲げられたヘッドマークの差異を除くと差異を探すのが…と感じる程です。
内装木質化を施行していない編成も、車内に足を踏み入れると座席配置は2+1列配置のクロスシート主体、出入口付近にロングシートを配したセミクロス配置、出入口付近と通路の幅を確保しているのは、車内収受式ワンマン運行となる路線の特性が大きく表れていると感じます。
クロスシートは2人がけ・1人がけ共に進行方向に合わせて向きを変えられるのは、途中駅(一畑口)で進行方向が変わる路線の性質も考慮しているのでは…と感じますが、このクロスシートは1人掛けが転換式、2人掛けが回転式と異なるタイプを用いているのも大きな特徴です。
2人掛けの回転座席は、かつて小田急のロマンスカー・3100形(NSE)で用いられていた廃車発生品で、今日では博物館などでの収蔵車両は別として、現役で用いられる車両は数少なくなってきた非リクライニング仕様となっています。
車両自体も初期の冷房車で天井周りなども現代とは大きく異なるなど、至る所で高度経済成長期を連想させる雰囲気を漂わせており、古参車両好きの方にとっては、非常に興味深い車両なのでは…とも感じます。
ただ一畑電車での導入から15年以上が経過、それ以前の京王時代から数えると45年以上が経過しており、旧営団地下鉄の廃車発生品を用いた下回りも車体以上に古いものです。
京王5000系の地方移籍車でも、近年では同時期に京王から譲渡+旧営団地下鉄の下回りを組み合わせた車両が、富士急行で何編成も離脱しています。
一畑電車でも京王からの譲渡車と同時期に導入された元南海車両の離脱が相次いでおり、東急からの移籍車両に次いで久々の新造車導入が公式発表されるなど、今後急速に車両代替が進む事は確実な情勢です。
先日取り上げた「しまねの木」を用いて大規模な内装改造を施行した編成に関しては、まだ暫くの活躍が見込まれますが、内装木質化改造を行っていない編成に関しては、一畑電車で何時まで走り続けるのかも気になる所です。
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