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JR九州の観光トロッコ列車「TORO-Q」~今月運行を終えた異色列車

2009-11-30 | 鉄道[九州・JR]

   

今月は名鉄パノラマカー最後の残党として知られ、中間車を先頭車化改造した異端車として知られた名鉄7100系や、神戸のポートライナーで開業当初から活躍し、日本の新交通システム車両としては極めて初期の部類に入る車両だった神戸新交通8000系などが退役した事が話題になっていますが、他に今月退役した車両の一つとして、JR九州の「TORO-Q」が挙げられます。

「TORO-Q」は大分県・湯布院観光のパーク&ライド促進の為に、南由布駅前に観光客向けの駐車場を設置し、由布院~南由布間をピストン輸送する目的で運転されていた列車で、僅かな乗車時間となるこの程度の区間でも、ただの臨時列車で終わらせない辺りは、数々の変り種列車を走らせているJR九州ならではと言えます。

車両基地が大分にある事から、この出入庫を兼ねて全車自由席のピストン列車以外に、大分~由布院間で指定席制の臨時快速列車としても走らせていたのも特徴で、ピストン列車の方は4年程前に青春18きっぷで久大本線を利用した際、由布院駅での待ち時間&青春18きっぷでそのまま乗れるという事もあって、MAKIKYUも一度だけ乗車機会があったものでした。

車両は「TORO-Q」の名前通り、中間に貨車改造のトロッコ車両を挟み、両端に気動車を配す非常に奇妙な編成を構成しており、気動車は既存の旧型気動車・キハ58形とキハ65形を各1両ずつ塗り替えて「TORO-Q」専属としていました。
(「TORO-Q」塗装の気動車は、「TORO-Q」運転日以外の日に大分地区の普通列車として用いられた事もあった様です)

2両の旧型気動車は「TORO-Q」のトロッコ車両や、近年JR九州が走らせている観光列車などとは異なり、車内は特に観光列車向けの改造などは施していないのですが、キハ58形は以前快速「シーサイドライナー」に使用するために改装を施し、特急並みの比較的グレードの高い座席を装備していました。

とはいえキハ58形の豪華な設備は、一区間だけをピストン輸送する列車に必要不可欠とは言い難く、もう1両の気動車であるキハ65形(JR四国→JR九州への譲渡車)は、JR四国仕様のボックス席がそのまま残存するなど、2両の気動車間での設備格差が極めて大きく、この様は老朽車両の寄せ集め列車ならではと言っても過言ではありません。

こんな編成でしたので、キハ58形は非常に乗り得感のある車両だったのですが、一応観光列車だけあって殆どの乗客は物珍しいトロッコ車両に乗車し、外の風に触れながら乗り心地の悪さを楽しんでいる事もあって、豪華な設備も殆ど注目されず、ガラガラで機関車代用状態と言っても過言ではない状況だったのも印象的で、まして設備的にも有り難味を感じる事のないキハ65形などは、観光客人気の面では言うまでもない状況でした。
(余談ながらMAKIKYUが「TORO-Q」に乗車した際はキハ58形に乗車し、時折トロッコ車両の乗り心地も試すという状況でした)

しかしながら元々数が多くない車両の上に、ジョイフルトレインへの改造や廃車が進み、装いこそ異なるとはいえ原型の雰囲気を残す貴重な車両という点では、キハ58形以上に希少で注目の存在でしたが、敢えてこの車両を選んで乗車する乗客がどの程度いたのかも気になるものです。

ちなみにMAKIKYUが「TORO-Q」に乗車した際には、老朽車両の寄せ集めだけあり、この列車はいつまで走り続けるのか…と感じた程でしたので、「車両の老朽化と代替車両が存在しないため」として引退が発表された際にも、特に驚きはしなかったものでしたが、徹底的に拘り抜いた感のあるJR九州の観光列車とはまた違った面白さのある列車が一つ消えていくのは、ちょっと寂しいと感じるものです。

また「TORO-Q」退役後も。由布院パーク&ライド対策のピストン輸送列車が運転されるのか否かも気になる所ですが、今後も由布院~南由布間の臨時ピストン列車を設定するのであれば、自家用車で観光に訪れた人間が、ちょっと列車に乗るだけでも楽しめる様な車両を走らせるなどの工夫にも期待したいものです。
(他所から来た鉄道事情に疎い観光客を喜ばせるには、国鉄型のキハ47形辺りでは当然NGですが、既存の車両でも新鋭のキハ220形200番台辺りなら充分インパクトはありそうですので…)

写真は「TORO-Q」の外観とガラガラのキハ58形車内、観光客が集うトロッコ車内の様子です。



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